半年後に地球滅亡!ドラマ『隕石家族』が今の日本に投げかけるもの | FRIDAYデジタル

半年後に地球滅亡!ドラマ『隕石家族』が今の日本に投げかけるもの

地球滅亡を目前に、人々のタガが外れ始める!

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ドラマ『隕石家族』で門倉家の父・和彦を演じる天野ひろゆき
ドラマ『隕石家族』で門倉家の父・和彦を演じる天野ひろゆき

毎週土曜の深夜11:40〜に放送されている『隕石家族』(東海テレビ、フジテレビ系)がSNSで「コロナ騒動のようだ」「世情を表しているよう」だと、密かな話題を集めている。確かに私も第一話目の視聴時、

「これ、今の日本と似ている……?」

と、既視感を覚えて少しだけ怖くなった。自粛ばかりの毎日でストレスが溜まっているのは仕方がない。だからといって騒動以前の生活をそのまま続けているのはやはり倫理に反しているのではないだろうか。『隕石家族』はそんな今の日本へ小さく、そしてさり気なく警鐘を鳴らしている。

経済が停止した、りんご1個が4000円近くする恐慌

まずは簡単なあらすじを説明しよう。

“巨大隕石が地球に接近中、半年後には地球滅亡となってしまった日本。来年の今頃にはもう自分はいないと思うと、目標や夢も消えていく。5人家族の門倉家も漏れなく、その状況下に置かれながら毎日を過ごしている。父・和彦(天野ひろゆき)はこのまま家族とその日まで過ごそうと決めていたとき、母・久美子(羽田美智子)が最後には好きな人と暮らしたいと宣言をする”

半年後に全てが終わってしまうのだと、半ばやけになっている日本国民たち。停電や断水は日常茶飯事、万引きも止まらない。これではゴーストタウンだ。

他にもこんなことが起きた。ドラマの季節は春。来年の冬にはもう生きていないのだと、冬物が無料に近い金額で販売されて、高校生が

「結婚できる年齢まで生きられないなら、今すぐ一緒に暮らしたい」

と駆け落ちを考え出す。未来のない毎日に心が疲弊しているのが、伝わってくる。けっしてこのドラマは暗い話ではない。ただタイミングが良すぎたのか、放送時が新型コロナウイルス(以下、新コロ略)に翻弄される日本とぶつかってしまった。隕石は目に見えるものだけど、人々から夢と希望を奪った。国民全員が余命宣告を受けてしまったようなものだ。

新コロは目には見えないし、いつか終わるものかもしれない。でも私たちの目の前に立ちはだかって、次々に自由を奪っていく。日常をさらっていく、という意味では近いものがある。

繰り返すようだけど、ドラマ本体はコミカルな要素が主体なので、恐怖を与える内容ではない。

「もう最後だから」と人間の本性がふつふつと

もうひとつ、ドラマと新コロ騒動がリンクしているのは、人間性が露呈されてしまうことだ。

ドラマでは門倉家の母が「最後なら好きな人と一緒にいたい」と、家族を捨てようとする。これが物語の大きなテーマで、気持ちが揺らぐ母が最終的にどんな道を選ぶのかを毎週綴っている。その傍らで、父が50代になっても毒母に逆らえない生活にブチ切れて

「クソババア!」

と叫ぶ一幕も……。

新コロ騒動と限りなく近さを感じたのは、町内のゴミ捨て問題。苦しい状況下でも規律を守って、住民に仕分けの指導をする主婦(光浦靖子)がいた。でも対するように「もう地球は終わるんだからいいじゃない!」と、いい加減な捨て方をする家庭の主婦もいた。規律を守っている側の主婦が耐え切れなくなり、ついには違反者を土に埋めてしまうという事件が起きてしまう。それも警察に逮捕されても、今は犯罪者が多く、すぐに釈放されるというオチつき。

例えば今なら、政府の要請に従って自宅にいることを心がける人もいれば、平気で出かける人もいる。ゴールデンウィークに旅行を計画している人が、まだ数十万人近くいるという現状を聞いて、本当に恐ろしくなる。小さなことかもしれないが、飲みに行きたい自分を必死に律している立場としては、腹立たしくもなった。その気分の悪さをどこかに訴えようとは思わないけれど、いつか誰かの鬱憤が爆発しそうな予感もする。どうか日本で大きな間違いが起こりませんように。

くどいようだが『隕石家族』は、極めて楽しいドラマである。母親役の羽田美智子は相変わらず聡明で美しいし、父親役の天野くんのお腹ははち切れそうなほど、パンパンで気持ちがいい。

でももし今の風潮に対して、相反する行動をしている“意識”がないのであれば、ドラマから身につまされるものがあるかもしれない。自分たちが住む地球が滅亡する前に自分たちで守るのだ。

※放送予定日時は変更の可能性がありますのでご注意ください。

  • 小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

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