無料配信「ミスチルのライブ」が私たちをあの時代へ引き戻す

ミスチルの2017年のライブに涙せよ!

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
「MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2008」で特別賞を受けた桜井和寿(右から2人目)

自宅の近所にある飲食店と、ウーバーイーツの配達員が揉めていた。コンビニでビニールカーテンがあると聞こえにくいと、店員に文句を言っている客がいた。普通ではない状況下、皆どこかでイライラ、ギスギスしている。

それでも自宅にいることが新コロナウイルス感染に対して、私たちが唯一できる対処法だ。

そんな息苦しい状況を心配する数多くのアーティストたちが、You Tubeで自分たちのライブ動画を配信している。自宅で過ごす時間を少しでも楽しいものに、という彼らからの粋なはからい。その中に『Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25(https://www.youtube.com/user/MrChildren/featured)』がある。3年前、結成25周年を迎えたミスチルが行ったツアー。70万人を動員した彼らのステージを見て、自宅で思わず涙が浮かんだ。

私たちはこの人たちの歌に何度救われたのだろう

2017年の夏、横浜日産スタジアムで行われたこのライブに私は足を運んだ。久しぶりに出かけるミスチルのライブ。SNSで情報収集を重ねて、それなりに心の準備をして出かけたつもりなのに、開始10分後には泣いていた。隣席の客から

「え、もう(泣いている)!?」

驚かれたけど仕方がない。彼らに限らず、どんなシチュエーションでも『周年』と名付けばプレミア感が増す。それが国内でもプラチナチケットと言われるミスチルのライブなのだ。周年ために選ばれた、誰もが知る曲が並んだセットリスト(下記参照)はどのシーンを切り取っても、青春が詰まっていた。

私は『CROSS ROAD』(1993年)をドラマ『同窓会』(日本テレビ系)の主題歌で知って以来、ずっとそばにミスチルの曲があった“世代”である。一時期は合コンで歌ってほしい曲No.1に『抱きしめたい』(1992年)が上がっていたこともある。そして時代は変われど、彼らの人気は衰えることなく、平成生まれにも多くの影響を落としている。

あのback numberもミスチルに啓蒙されたバンドだと聞くと、ただ長く続けているわけではないことがわかる。最前線を降りることなく、後輩もドームライブクラスの人気者なのだ。

この記事を今読んでくれている人で、ライブに出かけたことはないとしても、必ず今までの生涯のどこかで彼らがじわり、と染み込んでいるはず。ライブに行こうとしてもチケットは取れない。Blu-rayはそこそこの値段がするし、やっぱり出かけたから欲しくなるグッズのようなもので、円盤だけにお金を払うのは躊躇するだろう。CSで放送されたこともあるけれど、加入するには料金がかかる。

それが今ならYou Tubeで再生することができる。前編、後編の合計約3時間。曲に、歌詞に吸い込まれて、時間の経過を忘れる。

何でもいいからミスチルの曲を思い出してみて欲しい。私たちは今までの難局を、何度も何度も彼らの曲に救われて、そして立ち上がってきた。

桜井さんの魅力をホルマリン漬けにしたい

……と『Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25』がいかに素晴らしいライブで、一見の価値ありと書いてきた。でも音楽ライターでもない私の書く手が止まらなくなってしまう、その理由の9割を占めているのがボーカルの桜井和寿の存在だ。一言で収めるとするなら“才能の塊”であり、“歩く印税”。これまで紡ぎ出してきた心を震わせる歌詞と曲を並べたら、世間の涙量は1リットルどころじゃ済まない。

そのうえ、悔しいくらいにかっこ良くて……可愛い。配信中のライブを見たら満50歳という年齢を三度見する。あの3時間中のライブで、一番罪を犯していたのは、彼が着ていたVネックのピンクのTシャツだと私は信じて疑わない。一体、何をどうしたらポカリスエットのような瑞々しさをキープしていられるのだろうか。噂でたくさんのビジュアルスタッフが彼についていて、徹底指導をしていると聞くが、そんなありきたりの方法で太刀打ちできるとは思い難い。

ふと思い返すと、私は2017年のライブでメンバー全員が会場に向かってお辞儀をした時に、桜井さん以外の毛髪が普通の50歳の危険状態にさらされているのを目撃してしまったのである。あの30代でも通用する見た目は、やはりボーカルとして“見られている意識”の賜物だろうか?

ただのイチファンの切望。とにかく桜井和寿の愛らしさは、なんとしても後世に語り継ぎ、そして温存していきたい。その様子を配信映像で確認してもらいたいのである。心詰まる自粛中、心の洗濯にぜひMr.Childrenを。きっと翌朝の目覚めはいいはず。

SET LIST
【前編】
1. <Prologue>
2. OPENING
3. CENTER OF UNIVERSE
4. シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜
5. 名もなき詩
6. <MC>
7. GIFT
8. Sign
9. <MC>
10. ヒカリノアトリエ
11. <MC>
12. 君がいた夏
13. innocent world
14. Tomorrow never knows
15. <MC>
16. Simple
17. <VTR>
18. 思春期の夏 〜君との恋が今も牧場に〜
19. 365日
20. HANABI

【後編】
21. <MC>
22. 1999年、夏、沖縄
23. 足音 〜Be Strong
24. ランニングハイ
25. ニシエヒガシエ
26. ポケット カスタネット
27. himawari
28. 掌
29. Printing
30. Dance Dance Dance
31. fanfare
32. エソラ
33. <ENCORE>
34. overture
35. 蘇生
36. <MC>
37. 終わりなき旅
38. ENDROLL

※配信は5月4日(月)に確認したものです。変更の可能性がありますのでご注意ください。

  • 小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

  • 写真時事通信フォト

Photo Gallary1

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事