3密どころじゃない!刺青囚人が超濃厚接触の「刑務所衝撃写真」
周囲の人間と間隔がないほどのスシ詰めで、窮屈な姿勢を強いられる下着一枚の男たち。超濃厚接触にもかかわらす、中にはマスクをつけず両手を背中で縛られている者もいる。彼らの多くが全身に刺青を入れスキンヘッドだーー。
衝撃的な写真が世界に出回った。撮影場所は、中米エルサルバドルの首都サンサルバドルにあるイザルコ刑務所。同刑務所には、1100人以上の服役囚がいると言われる。新型コロナウイルス感染拡大が懸念される中、信じられない“超3密”の光景だ。海外の犯罪事情に詳しい、ジャーナリストの黒井文太郎氏が語る。
「エルサルバドルやメキシコなど中米の国々は、南米からアメリカへの麻薬密輸の中継地点になっています。そのため凶悪組織の構成員は、世界で有数の多さなんです。刑務所には服役囚があふれ超過密。所内の治安・衛生状態は最悪と言われています。消毒液や石鹸の供給もままならず、マラリヤやチフスなど強力な感染症が蔓延することも多い。収拾がつかず、服役囚の健康を気遣うような状況にないんです。
写真を見ると、皆スキンヘッドで同じような刺青を入れています。おそらく中米最大の殺し屋集団『マラス』のメンバーでしょう」

写真が撮影されたのは4月25日。コロナウイルスへの感染を調べるために、服役囚を裸にして座らせたのだという。しかも画像は刑務所内の人間から流れたのではなく、エルサルバドルの大統領府が公開したのだから驚きだ。
「公開の前の週に、一般市民を含め数十人が殺害される事件がエルサルバドルで起きています。同国のナジブ・ブケレ大統領は服役囚からの指示で、凄惨な事件が起きたと主張。刑務所内は超過密状態で、コロナ感染不安が犯罪者の間にも広まっているのを逆手にとり、見せしめの理由で写真公開に踏み切ったんです。撮影された刑務所では、約1100人の服役囚のうち300人がコロナに感染したと言われています」(在米ライター)
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、「中南米の刑務所や少年院は不衛生で過密状態。コロナ感染拡大には最高の条件が揃っている」と注意を喚起。米国のマーシャル・プロジェクトの報道では、同国の刑務所内感染者は1万4500人にのぼり、感染率は一般の3倍近くになるという。
あまりの環境の劣悪さに、中米をはじめとする世界の刑務所で不満が高まり、暴動や脱走事件が続発している。



写真:El SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE/AFP/アフロ ロイター/アフロ