コロナで「反安倍芸人」急増も“役所仕事は狙う”吉本のジレンマ
「安倍さん何考えてるのかな」
5月5日、『ABEMA Prime』(AbemaTV)に出演した芸人の小藪千豊。緊急事態宣言の延長を決めた政府に憤り、
「(国会議員は)今年は給料もボーナスもなし、歳費もなし。足りひんかったら国から借金してくれ。1日伸びていくごとに、どんどんどんどん金がなくなっていったら、さすがに議員の人も、“もうそろそろ自粛ええんちゃいます”ってなると思う。(国会議員は)自分たちは何の痛みもないから。自粛ってお店はこんな大変なんだってわかると思う。それがホンマに腹立つ!」
と不満をぶちまけた。ネット上などでは、小藪の意見に賛同する声が多かったという。
「小藪さんは歯に衣着せぬ物言いが人気でコメンテーターとしても評価が高い。しかし、彼は‘19年11月に厚生労働省が吉本に委託した『終末期を考えるポスター』のモデルでした。患者団体の抗議で中止になったことが話題となりましたよね。半年前には税金が絡んだ仕事をもらっていても、おかしいと思ったら安倍政権を徹底的に紛糾するというのも小藪さんらしいです」(スポーツ紙記者)
吉本興業はこれまで、国や地方自治体から委託される仕事に数多く関わってきた。1つの案件で、数億円から数十億円規模にまで及ぶビジネスがあるとまで言われている。
もちろん、支払われる元は税金であることがほとんどで、これほど“公の仕事”を受注している芸能プロダクションは他に存在しないのではないか、と思えるほど。いわば吉本にとって国は“大のお得意様”ということだ。
しかし小藪をはじめ、ウーマンラッシュアワーの村本大輔や、星田英利なども反安倍発言が有名。先日はオール巨人までもが、星野源の「うちで踊ろう」とコラボした安倍総理の真似をしたパロディ画像をツイッターに投稿し、
《とにかく、国はお金が有るんだし捻出は出来るんだから先ずは真水で20兆円、給付したらどう!》(原文ママ)
と批判したことが話題となった。
「吉本は新喜劇に安倍首相を出演させるなど、政府と距離が近いことをアピールしてきた。税金が絡む仕事の他にも、大崎洋会長は政府の沖縄米軍基地跡地利用の有識者懇談会メンバーにも選出されています。昨年の闇営業で反社との問題が浮き彫りになったときでも、宮腰光寛沖縄担当相は“大崎会長の交代はしない”と言いました。それほど政府と吉本は強固な関係なのです。
しかしすべての芸人に安倍政権をヨイショしろとは言えない。それでも幹部の本音としては“うちは税金で儲けている部分もあるんやから、黙っておいてくれ”と思っているでしょう」(前出・スポーツ紙記者)
ちなみに首相官邸のホームページの検索窓に“吉本興業”と入れてみると280件がヒット(5月7日時点)。重複しているものもあるだろうが、吉本が官邸と近い関係にあることを示す、ひとつの証といえるだろう。
これを各省庁や地方自治体のホームページで検索しても、同様に大量にヒットする。
「日本全国にちりばめられている“住みます芸人”の戦略は、まさにその地方の公的ビジネスを取るためにやっているようなもの、ともいえる。国や地方自治体などとの”役所仕事“を手広く受注することは視野に入れているでしょう」(芸能リポーター)
どれだけ所属芸人が“反安倍”を叫ぼうが、“親”である吉本が政府と蜜月関係であることは、否定できないのでは―。
- 写真:代表撮影/ロイター/アフロ