コロナ禍で芸能界が“不要不急”扱いされてしまう「3つの背景」

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新型コロナウイルスの対応に、芸能界から”NO”の声が上がる安倍政権

なぜ芸能界は救ってもらえないのか――。

欧米諸国に比べ、芸術家やアーティストに対する補償が圧倒的に少ないのが日本だ。

芸能プロダクションの多くが加盟する一般社団法人「日本音楽事業者協会」の会長で、大手芸能事務所「ホリプロ」の堀義貴社長は東京新聞で、エンタメ業界の置かれている状況について、「悲劇的な結末」を意味する「カタストロフ」と表現。コンサートや大規模イベントの中止や延期が5月末まで続けば、約3300億円の損失が見込まれるという。

堀氏は国の公的支援が乏しいことに「ドイツや米国では、外国人アーティストでも早い段階でまとまった金額が国から入金されたと聞いている。エンタメが国の財産だと思っているから手厚い」と分析した上で「(日本は)『クールジャパン』というが、これでは『冷たい日本』だ。海外で稼いでくれと言うのに、死にかかっている時は手を差し伸べない」と批判する。

続けて「エンタメは日本経済にさしたる影響力がないと思っているのではないか。政策を作る側の人は舞台を見に来ないし、テレビドラマもアニメも何十年も見ていないのでは。どれくらいすごいのか分かっていない」と不満をぶちまけた。

同様に政府に苦言を呈するのが、演出家の宮本亜門氏だ。出演したTBS系『グッとラック!』の中で、現状について「先進国の中で、これほど文化・芸術にお金を出さないところはないと思っていました。きっと政治家の皆さんは歌も歌ったことはないし、笑ったこともないのかな。そんなはずはないですよ。こういうときにバサッと『そういう人たち』という切り方をするんですよ」と吐露。何度も「絶望的」という言葉を口にした。

たしかに国の補償は芸能界に限らず、絶望的ではある。ただし、世間やネット上の反応を見ると、必ずしも「芸能界かわいそう」でないのも事実だ。

「堀氏は東京新聞に限らず、共産党の機関紙である『赤旗』に登場し、政権批判を行ってきましたが、その成果は正直芳しくありません。どことなく物言いが“上から目線”に聞こえてしまうのでしょう。おそらく戦略なのでしょうが、完全に作戦ミスではないか。困窮ぶりを示して『お願いだから助けてほしい』とやった方が良かったと思う」(スポーツ紙記者)

2つ目に国民感情として、芸能人やアーティストを「特権階級」「上級国民」とみなしていることも大きい。ネット上の批判もこれが最多。

サラリーマンの月給以上をわずか1日で稼ぎ、外車に乗り、いい家に住んで……。ほんのひと握りの一流芸能人のイメージをそのまま芸能界全体に当てはめている人が多いため、「それで困ったら補償しろはありえない」となるのだ。前出スポーツ紙記者は、

「本当に困っているのは、裏方のスタッフさんたち。いくらタレントがいても、彼らがいなければ作品は完成しない。このままでは専門技術を持った裏方さんたちが見切りをつけて業界から足を洗ってしまう。本来、彼らにスポットを当てるべきなのに、そうした議論にならないのも問題だ」

と話す。欧米と違って、慈善事業に対する取り組みも不足していた。テレビ関係者が指摘する。

「向こうでは海外セレブと慈善事業はセット。何億も稼いで、すべてフトコロに入れるのはありえない。アンジェリーナ・ジョリーやナタリー・ポートマン、ジョージ・クルーニーらハリウッドスターは慈善団体に巨額の寄付をしている。セレブは社会的弱者のためにお金を使うのがステータス。それに比べると、日本はここ数年でようやく『社会貢献』というワードが出始めたレベル。やっている人はやっていますが、浸透はしていない、というのが正直なところではないでしょうか。欧米で俳優やアーティストが国民から認められているのは、そうした文化の違いもある」

残念ながら、政府の対応を見る限り、芸能領域の補償優先度はこれからも低いままだろう。前出のテレビ関係者からは、

「最近は素人に毛が生えたレベルのタレントやアイドルがどんどん出てきていた。ある意味、今回のコロナ禍は大規模な業界リストラという風にも捉えることができる」

という声もある。エンタメ業界が新時代に突入したことだけは間違いない。

  • 写真代表撮影/ロイター/アフロ

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