たった1℃で変わる!賢者の入浴法でストレス解消、免疫力強化

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外出自粛が続き、運動不足の毎日。ストレスもたまり、体調も乱れがちだ。そんな毎日で、ぜひ見直してほしいのがお風呂の入り方。ふだん何気なく入っているお風呂だが、入り方でその効果は大きく変わる! リラックスだけではない、免疫力も上げるというお風呂効果を、お風呂研究20年、温泉療法専門医の早坂信哉氏に聞く。

「世界最大の露天風呂」として、旅行者に人気のアイスランドの“ブルー・ラグーン”。実はこの風呂、天然温泉ではないとのこと! お湯の温度は場所により変わるが、38~40℃に保たれている。今回紹介するすべての症状に効果ありだ

実験データで判明! 「40~41℃のお風呂に10分」入るとウイルス感染予防の効果

お風呂に入ると体が温まり、血液循環がよくなることは、広く知られている。温熱効果で体の隅々まで血液が行き渡ることで酸素や栄養分なども体中に運ばれ、体はすっきりリフレッシュする。

「血液循環がよくなることで、体中に運ばれるのは酸素や栄養分だけではありません。免疫細胞もその一つ。血管が広がり、血液の流れがよくなる結果として免疫細胞が全身をくまなく駆け巡り、感染に対する抵抗力が増すと考えられます」(早坂信哉氏 以下同)

それだけではない。体を温めることによってNK(ナチュラルキラー)細胞などの免疫細胞が活性化するというのだ。NK細胞とは、全身をパトロールしながら、ガン細胞やウイルス感染細胞を見つけ次第攻撃するリンパ球。新型コロナウイルスにおびえる我々にとって強い味方となる免疫細胞だ。さらに、入浴中は唾液中に抗ウイルス作用があるIgA抗体が増えることも研究でわかっているという。

「入浴がウイルス感染の予防になるという理由はほかにもあります。喉や鼻、気管支には、異物を排出する細かな毛(線毛)が生えた線毛細胞がありますが、乾燥していると、線毛運動が十分に働かず、異物をガードすることがむずかしくなります。ところが、入浴中に湯気を吸いこむと線毛運動が正常化し、感染症に強くなります。日本ではあまり意識して行われていませんが、海外の温泉では慢性気管支炎などの治療の一環として、温泉の湯気を吸いこむ吸入療法が行われているほどです」

なんと、お風呂に入ると免疫力が強化されるというのだ。

「免疫力を上げるためには、お風呂の温度も大切です。粘膜免疫の立役者IgA抗体を増やすためには40℃のお風呂に10分、線毛運動を正常化させるためには41℃のお風呂に10分入るとよいという実験データがあります。42度以上になると逆に免疫を抑制する方向に働くので、40~41度のお風呂に10分程度入るようにするといいでしょう」 

たった1℃。だが、この温度差の違いが効果を左右するのだという。

ヨーロッパの温泉といえばイタリアが有名だが、フランス、スペインなど各国に温泉や温泉療養施設がある。写真は、セルビア共和国の首都ベオグラード近郊にある泥温泉。ミネラル豊富な泥は、さまざまな静脈疾患、リウマチ、坐骨神経痛、視力障害に効果があるといわれている

症状別の効果的な入浴法。ポイントは、「お風呂の温度」×「つかる時間」

【肩こり:40℃×10分】肩が温まったら、軽い運動をして血流を促す。慢性的な人は毎日の入浴を

テレワークなどで会議も何もかも机の前で行う生活。肩こりに悩まされている人も多いだろう。肩こりは、肩の周辺にある僧帽筋などの緊張により、血流が悪くなることから生じる。また、さまざまなストレスにさらされていると、体を緊張させる交感神経が優位になり、肩こりしやすくなるのだとか。

「まず肩までつかって、じっくり温めること。ぬるめのお湯につかることで副交感神経が優位になり、心身のリラックス効果を生み出します。40℃のお湯に10分くらいつかってください。肩が十分に温まったところで、肩を回したり、上げ下げして軽い運動をしましょう。慢性的な肩こりに悩んでいる人も、毎日40℃のお風呂に入ることで、肩こりを緩和することができるでしょう」

【エコノミークラス症候群:40℃×20~30分】水圧を活用して、脚にたまった血液や体液の循環を

外出自粛、テレワークと、歩かず、座りっぱなしの毎日が続くと、心配なのがエコノミークラス症候群。そんな不安解消にも入浴は有効だ。

「40℃のお湯をたっぷりはり、のべ20~30分入浴することで、足に水圧がかかり、足にたまった血液や体液が心臓に戻り始めます。お風呂の中で足の曲げ伸ばしをしたり、足先から心臓に向かって体液を押し流すようにマッサージすれば、より効果が高まります。続けて20~30分入る必要はないので、汗をかいたら湯船から出るようにしてください」

【眼精疲労:38~40℃×15分】蒸しタオルやマッサージを併用するとより効果的だ

眼精疲労の原因の一つは、目の周囲の血行が悪くなるから。

「血流をよくし、目の周辺に酸素を送り、疲労物質を取り除くという意味で入浴は眼精疲労緩和にも有効です。血行をよくするために、入浴しながら蒸しタオルを目に当てたり、目の周囲をマッサージすると、より効果的です。38~40℃のお湯に15分ほど入り、蒸しタオルとマッサージを交互に行ってみてください」

【不眠症:40℃×20分】就寝の1~2時間前が効果的。ストレス解放されることで創造的なひらめきも

新型コロナウイルスのせいで、思うように行動できず、悩みも多い。ぐるぐると同じことを考えてしまい、寝付けない人も多いだろう。

「そんなときこそ入浴です。一人でゆっくりできるバスルームは情報を整理するのにもってこいの場。不安をやわらげ、リラックスすることでα波が出やすくなります。脳のストレスが少なくなるため創造的になり、固定観念にとらわれている脳には出てこないアイデアもひらめきやすくなります。40℃のお湯に20分、途中、汗ばんだら一旦湯船から出るようにしましょう。寝る1~2時間前につかることで、ちょうどベッドに入る時間に体温が下がり、スムーズに眠りに入ることができます」

【うつ状態:38~40℃×20分/42℃×5分】うつの状態によって入浴法も変わってくる

一口にうつ状態といっても、イライラと焦燥感がある場合と、何もやる気が起きない場合がある。

「焦燥感がある場合は、交感神経が優位な状態になっているので、38~40℃のお湯に20分ほどゆっくり入りリラックスさせます。やる気が起きないときは、交感神経に働きかけシャキッとさせるために42℃のお湯に5分ほど入るといいでしょう。お風呂でリラックスすることは、うつ病の予防にもなります。自分が好きな香りの入浴剤を入れると、より効果的です」

【便秘:38~40℃×15~20分】副交感神経を優位にして、ストレス解消を

便秘にはさまざまな原因があるが、精神的なストレスも一因。

「38~40℃のお湯に15~20分入ることで、副交感神経が優位になり、緊張しにくくなります。おへその周りを『の』の字を描くようにマッサージすると腸が刺激され、便秘が改善します」

ただし、頑固な便秘に悩んでいる人は、大腸の病気がないか、一度受診したほうが安心だ。

【ダイエット:食前に40℃×15分】入浴でカロリーは消費しないが、食欲を抑える効果あり

やせようと思って、お風呂で一生懸命汗を流している人もいるかもしれないが、

「お風呂に入っただけでは、ほとんどカロリーは消費しません。汗をかいて、たとえ体重が減ったとしても、水分が失われているだけで、水分をとれば元に戻ります」 

どうやら入浴自体でやせることはできないらしい。

「ただ、食前に40℃のお風呂に15分入るのはダイエットに効果があります。入浴によって体の表面に血液が回る分、一時的に胃や腸の働きが抑制されて、食欲を抑えることができるからです。食後30分ぐらいに入っても、代謝が上がり血糖値の急な上昇が抑えられますが、食前の入浴のほうが効果的です」 

2019年12月、北朝鮮メディアがオープンを大々的に報じたヤンドック温泉リゾート。スキー場や乗馬施設も併設しているこの施設は、朝鮮人民軍を動員しておよそ1年の短期間に建設したという

毎日家にいると、なんだか面倒になってシャワーですませてしまいたくなるが、お風呂こそコロナに打ち勝つ大きな武器になりそうだ。

早坂信哉 温泉療法専門医。東京都市大学人間科学部教授。生活習慣としての入浴を医学的に研究する第一人者。著書に『たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法』(KADOKAWA)、『入浴検定公式テキスト』(日本入浴協会)、『最高の入浴法』(大和書房)など。

  • 取材・文中川いづみ写真アフロ

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