亡くなった力士・勝武士さんは「高田川部屋の盛り上げ役」だった | FRIDAYデジタル

亡くなった力士・勝武士さんは「高田川部屋の盛り上げ役」だった

28歳の早すぎる死に悲しみの声

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「初っ切り」はベテランの域に入っていた

本来であれば大相撲夏場所が開かれているはずの5月13日、日本相撲協会から力士の訃報が発表された。亡くなったのは、高田川部屋に所属する三段目力士の勝武士(しょうぶし、本名・末武清孝さん)。死因は新型コロナウイルス性肺炎による多臓器不全、28歳だった。角界はもちろん、日本のプロスポーツ選手でも新型コロナによる初めての死者となった。

訃報は13日に正午すぎに報じられた。午後、高田川部屋を訪れると、入口の扉は閉ざされたまま。5階建ての建物には、屋上のベランダに洗濯物がわずかに干されているだけで、人の出入りもなく静まりかえっていた。

日本相撲協会の発表によると、勝武士が38度台の熱を出したのは4月4日から5日にかけて。4日間受け入れ先の病院が見つからなかったという。4月10日にPCR検査で新型コロナウイルスの陽性が判明。集中治療室で治療を受けていたが、5月13日午前0時30分に都内の病院で亡くなった。

「勝武士は山梨県甲府市出身。高田川部屋には中学卒業後に入門しました。初土俵は平成19年春場所で、最高位は東三段目11枚目でした。身長165センチの小兵力士で、巡業や花相撲では、相撲の所作やいろいろな珍手・禁じ手を面白おかしく紹介する『初っ切り』の土俵に立ち、その演じぶりはベテランの域に入っていると好評でした。

また、地方巡業の際に行われる高田川部屋とその後援者との激励会では、いつも率先して場を盛り上げて、後援者からも『こんなに面白い力士がいるんだ』と評判でした。本当に残念でなりません」(角界関係者)

高田川部屋では高田川親方(元関脇安芸乃島)と、十両の白鷹山が新型コロナウイルスに感染。協会は2人と、幕下以下で感染していた力士4人の退院を4月30日に発表していた。

相撲部屋では基本的には共同生活が行われており、いわゆる「3密」は避けられない。ちゃんこ鍋もみんなで箸をつつく。稽古は濃厚接触そのものだ。

高田川部屋をはじめ、コロナ問題が深刻化して以降、どのような環境下での生活が行われていたのかは定かではないが、突然すべての生活様式を変えるのは困難だっただろう。

もちろん、角界も対策を採っていなかったわけではない。新型コロナウイルスの感染が広がってからは、各部屋ではシコやテッポウなど、体を合わせない稽古を中心に行っていたほか、外出も控えていたという。

「とはいえ、幕下以下の力士はマスクはしても基本的に大部屋で雑魚寝、というところもある。しかも、たくさん食べて大きな体を作るために、若くして内臓疾患や糖尿病を患っている力士も多いのが事実。どれだけ対策を講じても、一度感染してしまうと、最悪の事態を招くのか…とショックを受けています」(同前)

勝武士も糖尿病を患っていたと報じられている。あまりに突然すぎる死に、力士の間にも大きなショックが広がっていることは間違いない。

日本相撲協会は緊急事態宣言が延長された5月4日に、2週間遅れでの開催を予定していた大相撲夏場所の中止を決定。7月19日に初日を迎える予定の場所は、名古屋から東京の両国国技館に会場を変更して、無観客での開催を目指す方針を打ち出している。ただ、申し合いやぶつかり稽古ができない状況は続く。

勝武士が亡くなったことを受けて、協会は希望する力士や親方など全員に、新型コロナウイルスの感染歴を調べる抗体検査を実施すると発表した。検査を終えるまでに1か月はかかる見込みだ。今後は各部屋での生活様式にもさらなる防止策を求められることは間違いない。

残念でならない勝武士さんの突然の死。本場所開催をはじめ、角界全体に大きな影を落とすことは避けられないだろう。

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