コロナ禍「引きこもり体質」ゆえの罪悪感から解放される人が続出

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4月7日に緊急事態宣言が出されてから、1ヵ月以上が経過した。季節は春真っ只中。本来ならば、4月は咲き誇る桜の下で宴が繰り広げられ、GWの行楽地はどこも家族連れやカップルの姿で埋め尽くされている……はずだった。

「せっかくいい天気なのに、家にいるなんてつらすぎる」「早く友だちと遊びに出かけたい!」などという外出自粛に対する嘆きの声が聞こえてくる一方で、経済面は別として、“外に出かけられないこと”自体が苦にならない人の声も意外と多い。

GW中、横浜・八景島シーパラダイスではオタリアが外出自粛を呼びかけた 写真:つのだよしお/アフロ

4月の自殺者が大幅に減少したワケ

「天気のいい日でも、家にいることに罪悪感を感じないなんて最高か」
「やっと私の時代が来た!」
「無駄な会議や打ち合わせが減って精神的に楽になった」
「自分のためだけに時間を費やせることが、こんなにも幸せだと思わなかった」
「付き合いで行かなくてはいけない飲み会がなくなってホッとしている」

ひとりが好き、人付き合いが苦手、読書やゲーム好きのインドア派など、そもそも“家にいること”を精神安定剤として生きてきた人たちにとって、この自粛要請は、「不謹慎かもしれないけれど、私にとってはうれしいこと」だという人もいる。

実際のところ、新型コロナウイルスに感染した、休業や解雇を言い渡された、育児をしながらリモートワークに勤しんでいる、職業柄、危険を冒して働かざるをえないなど、困難に見舞われている人たちが大勢いる中で、自粛要請を喜ぶこと。果たしてそれは“不謹慎”だと言い切れるのだろうか。

厚労省によると、4月の全国の自殺者数は前年の同月に比べて19.8%減ったという驚きのデータが出ている。少なくとも直近5年間では最も大きな減少幅だそう。その理由として挙げられたのは、自殺の要因が、職場や学校にあったのではないかということ。つまり、リモートワークや休校により、その悩みを回避できた人が多かったのではという見解だ。

“リア充・非リア充”の定義自体がもはや時代遅れ?

また、海外ドラマ『NCIS』のアビー役で人気の女優ポーリー・ペレットは、『USAトゥデイ』のインタビューで、「私は悪名高き引きこもり。どこにも行きたくないときは、いつも言い訳をして断ってきた。でも今はする必要がない。生まれて初めて私はクールな存在なの」と語っている。

SNSを開けば、家族や友だち、恋人と出かけている楽しげな投稿が次々とタイムラインに流れてくる中、「家にいる自分」に後ろめたさを感じてきた人は少なくない。今までなら前者を“リア充”後者を“非リア充”と呼んでいたけれど、「その考えがすでに時代遅れでは?」と語るのは、『女を忘れるといいぞ』(KADOKAWA)、『孤独も板につきまして 気ままで上々、「ソロ」な日々 』(大和出版)の著者・あたそ氏だ。

「そもそも『リア充・非リア充』という定義がすでに古い気がしていて、自分の主軸がしっかりしていて、ちゃんと好きなものがあれば、他人の行動に揺さぶられることはないはず。人の投稿を見て何か負の気持ちを抱くということは、人と一緒にいること、何か目立つ行いをすることに自分が価値を感じているからなのでは? 

外出自粛要請のあるなしに関係なく、自分が好きで家に引きこもっているのなら、外に出ないことに罪悪感を覚える必要はないと思います」(あたそ氏 以下同)

話が少し逸れるが、SNSで他人と自分を比較しがちな人に対しては、

「InstagramやFacebookは、主に人に報告できるような行動を取ったとき、オシャレな行動を起こしたときに投稿するものだと思うので、自分が楽しそうに見える環境にいなかった場合は、多少自尊心が傷付けられてしまうのは仕方のないことかもしれません。

逆に、自分が“楽しい気持ち”を投稿しているとき、かつての自分と同じく誰かの自尊心を傷付けているのかもしれないな、とは思います。

他人が投稿する素敵な手料理や手作りケーキの写真を見て、『私は女子力が低い』『女らしくない』と劣等感を抱くのなら、自分も同じように料理やケーキ作りに挑戦すればいい。もちろん私自身は料理やケーキ作りができることを女子力が高いとも女らしいとも思いませんが、なりたい自分の像がすぐそばにあって負の気持ちを持つのなら、まずやってみる。もしその考え方が不自然だと思うのであれば、自分ら声を上げ、周りからでも少しずつ変えていけばいいのではないでしょうか」と語った。

1日中すっぴんパジャマ、あてなきインスタパトロール、ネットフリックスの海外ドラマでうっかり徹夜、自分用のフレンチトーストを夜な夜な仕込むなどなど……ステイホーム中に感じた“心地いい自分時間”を、自粛要請が解除されたあとも忘れずに、胸を張って優先したい。なぜなら、あたそ氏も指摘するように、自分が好きでしていることに“後ろめたさ”を感じること自体が、そもそもおかしいことなのだ。

物理的にも心理的にも距離をとることを強いられた他人との関係。そこで感じる「自分の本心」をしっかり見つめることが、これからの生き方を変えるきっかけになるかもしれない。

 

あたそ 神奈川県横浜市出身。非モテや容姿にまつわる女子ネタを中心に切れ味鋭いツイートが人気。フォロワー数は現在11.5万人超え。普段は会社員として働く傍ら、たまにインターネット上であれこれ文章を書いたりトークイベントを開いたりしている。好きな飲みものは酒。自分の思ったこと・感じたことをきちんと文章で表現してくことと、健康が当面の目標。著書に『女を忘れるといいぞ』(KADOKAWA)、『孤独も板につきまして 気ままで上々、「ソロ」な日々 』(大和出版)がある。

  • 取材・文大森奈奈

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