黒川検事長「賭け麻雀で辞任」で菅官房長官が危機に陥る可能性 | FRIDAYデジタル

黒川検事長「賭け麻雀で辞任」で菅官房長官が危機に陥る可能性

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なぜこのタイミングで…

黒川弘務東京高検検事長がゴールデンウィークの最中、検察担当の新聞記者らと「賭け麻雀」に興じていたのではないかという疑惑を、5月21日発売の週刊文春が報じ、衝撃が走っている(https://bunshun.jp/articles/-/37926)。

新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言下で、多くの国民が我慢と窮乏の日々を強いられている中、検察幹部が「賭博罪」が適用される可能性のある「賭け麻雀」をしていたら、看過できる問題ではない。まして、政府与党が5/18、国会に提出していた「検察庁法改正案」の成立を断念したばかりのタイミングだからなおさらだ。

法務・検察に詳しい永田町関係者は言う。

「黒川検事長は1月末の定年延長閣議決定後、国会が大荒れになったこともあり、しばらく大人しくしていましたが、コロナでメディア取材も制限される中で気が緩んでいたのでしょう。もともと好きな麻雀をやってしまったようです。

しかし、このタイミングで平然と『賭け麻雀』に興じていたとなると、前代未聞の不祥事。黒川検事長は辞任の意向を固めましたが、東京高検検事長の任命責任だけでなく、定年延長の閣議決定をした内閣の判断自体にも疑問符がつきかねません」

黒川氏と雀卓を囲んでいた「三密違反」のメンバーはいずれも法務・検察を担当する現役記者またはOBだとされており、ここで「口を割る」と、今後の法務・検察取材活動に支障をきたすおそれもある。したがって「賭け麻雀」だったかどうかの真相は、簡単には明らかにならないと思われたが、法務・検察の事情聴取に対して、黒川氏本人が賭け麻雀を認め辞任する旨を述べたとも報じられた。

麻雀でいえば予期せぬ「放銃」。思わぬところで振り込んで敗北を喫し愕然となる状態だが、自業自得だ。

しかし、問題は黒川氏一人の去就に留まらないだろう。今国会での成立が断念されたとはいえ、検察庁法改正案は「廃案」ではなく「継続審議」になる予定。検察官人事をめぐる問題は、秋以降の臨時国会に先送りにされることになっている。今回の検事長賭け麻雀問題は、一般の国家公務員法改正も含めた今後の法案審議スケジュールに狂いを生じさせ、その影響で検察庁法改正案がお蔵入りする可能性もある。

黒川氏は、あれだけ大騒ぎとなった閣議決定による定年延長をまっとうすることなく、検察から去ることになるわけだが、大山鳴動したあげく「賭け麻雀で検事長辞任」とは、何とも言えない拍子抜けの感が否めない。

ポスト安倍を巡る、国民不在の権力闘争

もともと検察庁法改正案は、検察官の定年を65歳に延長するとともに、内閣や法務大臣の判断で、さらに最高で3年の定年延長を認めるという特例措置を導入するものだった。

しかし、5月8日に国会で実質的に審議入りすると、1月末に行われた黒川検事長本人の定年を延長する閣議決定を受けた直後の法改正であったことから、「安倍政権による検察人事への政治介入を狙ったものではないか」という疑問の声が上がるようになった。

小泉今日子、きゃりーぱみゅぱみゅから元プロレスラー高田延彦に至るまで、多くの芸能人がツイッターで抗議の声をあげ、松尾邦弘元検事総長ら有力な検察OBが反対の声明文を出すに至った結果、当初、5/20に強行採決して衆議院を通過させる日程を描いていた安倍政権は、今国会での成立断念に追い込まれたのだ。

先の永田町関係者はこう指摘する。

「今回の検察庁法改正案の成立断念は、菅義偉内閣官房長官が一敗地に塗れたに等しいという声が永田町では多いのです。

黒川氏の定年を延長する閣議決定もそうですが、従来の改正案にはなかった『特例措置』を急遽追加させたのは誰かといえば、総理か官房長官以外にいません。内閣法制局の審査がいったん終わっていた法案の内容を変えるという荒業が許されたわけですから。

その安倍総理と菅長官の関係は、昨年秋の内閣改造後、著しく悪化していました。ポスト安倍を担う後継者として、総理の意中の人物は岸田文雄政調会長。しかし、菅長官は岸田氏を評価しておらず、岸田幹事長実現を阻止。我こそは次の総理に、という野望を隠そうともしなくなりました。

昨年の内閣改造で、菅さんが法相に押し込んだ側近の河井克行氏がスキャンダルで失脚。広島地検の捜査で逮捕されるか否かの瀬戸際になっていますが、菅長官は転んでもタダでは起きない叩き上げ。コロナ対策の30万円給付金が土壇場でひっくり返され10万円の給付金になりましたが、岸田政調会長のメンツを潰した黒幕は、創価学会・公明党に太いパイプのある菅長官だという声もあります。

検察庁法改正案の成立断念に加えて、黒川検事長が辞任に追い込まれたとなると、今度は逆に、菅長官のメンツが丸潰れになります。官邸の中には、こうした次期総理をめぐる『シーソーゲーム』を見ながらほくそ笑んでる人間がいる可能性があります」

ポスト安倍を巡って、繰り広げられる権力闘争。しかし、コロナの緊急事態が続く中で、国民そっちのけで権力闘争にかまけているとしたら、不義不道と言う他ない。

  • 取材・文レイモンド・ベーダー

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