再選危機のトランプがツイッターと「大激突」の舞台裏

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トランプ米大統領がSNS大手の法的保護を制限する大統領令に署名  写真:AFP/アフロ

トランプ大統領とツイッターが大モメだ。他のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)企業も巻き込んでバトルとなっているーー。

そもそもは、トランプが5月26日に「郵便投票」について、「郵便受けは盗難に遭い、投票用紙は偽造される上に違法にコピーされ、不正に署名されるだろう」とツイートしたのが発端だ。

これに対してツイッター側が「郵便投票について真実を知ってください」という注意書きを沿え、各ニュースサイトなどから郵便投票の正確な知識を得るよう促すリンクをトランプのツイートに加えるという措置をした。

これに対してトランプが反撃。28日には、SNS企業に与えられているSNSユーザーの投稿に対する責任を負わずに済む「通信品位法230条」について、免責による保護を制限する大統領令に署名した。ツイッターだけでなく、Facebook、Googleなどが懸念を表明している。

そもそも、トランプは「郵便投票」について、そんなにムキになったのか?

アメリカ大統領選挙も 選挙運動や投票の際に3つの密(密閉・密集・密接)を避けられない点が懸念されている。

アメリカの期日前投票の仕組みは、州によって法律が異なるが、大きくは、期日前に実際に投票所に行く方法と、郵便投票の2種である。郵便投票は、自ら郵送で投票用紙を事前請求する手間は掛かるが、それ以外は比較的簡単だ。

郵便投票なら3密を回避できる。ミシガン州は、新型コロナウイルス対策として郵便投票を促し、有権者に郵便投票の申請書を有権者に送付した。ところがトランプは、それを投票用紙を送ったと勘違いし、「不正投票を促すならば、補助金を停止する」と反発し、ミシガン州などを脅している。投票率がアップすると、トランプ率いる共和党が不利になる、との予測があるからだ。

センサス(アメリカ合衆国国勢調査局)の調べによると、期日前投票などを行う人は年々増えてきており、2002年では14.2%だったが、2018年には39.8%まで上昇した(投票所での期日前投票も含む)。

逆にトランプをはじめ共和党側が求めているのが、選挙で必要になる「写真付きの身分証明書提示」の強化だ。

身体に障害がある者、低所得層者、若者(アメリカは18歳から投票可)などが、写真付きの身分証明書を保持している率は低くなる。実はこうした人たちこそ民主党支持者が多い。トランプは、あの手この手で、共和党の不利は回避しつつ、民主党を不利にしようとして来た。

大統領選の予想は、民主党のバイデン候補が有利との見方が出ている。去年の秋には55%の投票数を獲得すると予測されていたトランプだったが(オックスフォード・エコノミックスの調査)、コロナ禍以降の4月のワシントン・ポスト紙の調査では43%まで落ちた。

トランプへの不信感が高まった背景には、アメリカのコロナの患者数と死亡者が世界1位になり、失業率が上昇したことにある。コロナ禍が始まってからの4月の寄付金集めでは、バイデン候補が43ミリオンドル(約43億円)と、トランプの16ミリオンドル(約16億円)と倍近くを集めている。

再選の危機に焦ったトランプが「郵便投票」をめぐる各州の動きを牽制しようとしたのが発端だったワケだが、さらに新たな事態が発生し、ツイッターとの関係はますます泥沼化している。

ミネソタ州ミネアポリスで白人警官に膝で首を押さえつけられた黒人男性フロイドさんが死亡した事件を受け、全米に抗議デモや暴動が拡大。これに対しトランプは「州兵を送り込む」「略奪が始まれば、発砲が始まる」とツイッターで警告した。

ツイッター側は29日に「暴力を賛美する内容を禁止する利用規定に違反した」という理由で、トランプのツイート上に警告を記載し、クリックしないとトランプの発言が閲覧できない措置をした。

拡大する抗議行動、SNSとのバトル、さらにWHOや香港をめぐる中国とのあつれきーー。国内国外を巻き込んだトランプの大統領選は11月3日の投票日を目指して、3密状態のまま続いている。

  • 杏レラト

    (あんずれらと)アメリカ南部在住。雑誌「映画秘宝」(扶桑社)、「ユリイカ スパイク・リー特集」(青土社)、「ネットフリックス大解剖」(DU BOOKS)などに執筆。著書に『ブラックムービー ガイド』(スモール出版)。

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