前代未聞のリモート新作をつくった『カメ止め』監督を直撃

映画業界を少しでも明るくすべく“逆境フェチ”の上田慎一郎監督が挑戦した全編Zoom撮影のリモート映画

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距離が離れた人も出演できるのがリモート映画の魅力。「国境を超えた映画制作に挑戦したい」と意欲を見せた

「新型コロナウイルスの影響で、映画業界は危機を迎えました。そんな暗い空気を少しでも明るくしたいと思い、4月3日に今回の企画を思いついたんです。やるからには、1日でも早くみんなに届けたい。本来は数ヵ月かかる編集をなんとか5日間で仕上げ、着想から1ヵ月足らずの5月1日に公開までこぎつけました」 

こう話すのは、映画監督の上田慎一郎氏(36)。’17年にわずか300万円の予算で映画『カメラを止めるな!』を制作。同作は公開当初は小規模上映ながらクチコミで人気が広がり、30億円超の大ヒットとなった。

そんな彼が次に仕掛けたのは、ビデオ通話アプリ「Zoom」を使って、キャスト・スタッフが一度も会わずに撮影するリモート映画『カメラを止めるな! リモート大作戦!』。本作はYouTubeに公開されるや、Twitterの日本トレンドにあがり、現在では40万回を超える再生回数を記録している。

またしても世間を騒がせた上田監督だが、彼は自らを「逆境フェチ」と呼ぶ。

「映画を作るにあたり、自らをあえて〝逆境〟に置き、自分の創作意欲を刺激するようにしています。『カメ止め』のときも、無名の俳優と超低予算というチャレンジングな環境があったからこそ、あそこまで話題になる作品が作れた。今回も、コロナという逆境の中でのチャレンジです。

そもそも、リモート映画制作って、普通の映画制作とは方法からしてまったく違う。一から勉強をし直す必要がありました。そこで参考にしたのがユーチューバー。彼らの動画は基本的にカメラ目線で、視聴者に対して語りかけるようにして撮っているんです。そのほうが視聴者との親近感が生まれる。だから、『リモート大作戦』も、ほとんどカメラ目線で撮りました」

完全リモートでドラマを作るよう依頼された映像ディレクターが主人公のドタバタ劇。全世界から300人以上が出演するなど、リモート映画ならではの演出も見所だ。コメディなのだが、視聴者からは「感動した」というコメントがたくさん寄せられているという。

「映画のラストで、ヒロインの子がコロナが落ち着いたらやりたいことを話すシーンがあるんです。そのセリフが刺さったという感想が多かった。今って、『STAY HOME』のスローガンのもと、家に籠(こも)って我慢しなきゃって空気がある。

『旅行に行きたい』とか『スポーツ観戦したい』って言いづらいですよね。でも、それを息苦しいと感じている人もいる。ラストシーンを通じて、その息苦しさから少し解放してあげられたことが『感動』に繋がったんだと思います」

本作で世間に一石を投じた上田監督。彼の「挑戦」はこれからも続く。

仕事デスクで作業をする上田監督。『リモート大作戦』の打ち合わせはここからZoomに繋ぎ行っていた
『カメ止め』のヒロイン・秋山ゆずきさんは、本作でも重要な役どころだ。公開から2週間後には英語字幕版を作成しYouTubeで公開した
「Zoomを使った他の作品はワンカットで撮ることが多いが、『リモート大作戦』では意図的にカットを割っている」と監督は話す
『リモート大作戦』のクランクアップを祝した打ち上げもリモートで開催。本作の肝となる「コチョコチョポーズ」をする出演者たち

『FRIDAY』2020年6月12日号より

  • 撮影高橋正男(上田監督)

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