渋谷区ご自慢の新庁舎で「漏水発覚」!区の対応と答えは…

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渋谷区のホームページに掲載されている「新庁舎の案内」。この新しくてきらびやかな施設のウラで漏水が起こっていたとは、なんともいえない気分になる…

「一番良いのは窓口のワンストップサービス。まさしく区民ファーストの視点」

昨年1月、渋谷区の新庁舎を視察した小池百合子都知事は、記者団から感想を聞かれこうほめたたえた。18年10月に完成した渋谷区新庁舎は、地下2階地上15階建て。2階には障がい者福祉課、介護保険課、生活福祉課をまとめ、来庁者が専用ブースに座ったまま福祉関係の職員が入れ替わることで、各種手続きや相談に対応できる「ワンストップサービス」を取り入れている。

8階には防災課、安全対策課を置き、災害時に対策本部となる会議室には、区内の被害状況や避難場所の様子が把握できる大型LEDモニターを設置。災害時の防災の司令塔として、まさに「防災行政拠点」を思わせる機能を備えている。

区民サービスの向上を目指したワンストップサービスに、大型モニターまで備えた防災拠点としての機能――小池都知事が称賛するのもわかるが、実はこの新庁舎、いくつもの「漏水箇所」を抱えていることが指摘されている。

渋谷区庁舎問題特別委員会委員として、庁舎建設の問題を追及している堀切稔仁・渋谷区議が語る。

「そもそもの建て替えの理由は、2011年の東日本大震災で、当時の区庁舎が国の耐震基準を満たしていないことが確認されたからです。その観点から造られた新庁舎は、本来なら一世紀は使える頑丈なシティホールになるはずです。

それが、昨年9月に私が情報公開請求で入手した資料で、3フロアー計17箇所で漏水が起こっていたことが確認されたのです。さらに今年4月に入手した補修工事の図面では、漏水箇所が4階から15階まで12フロアーに増え、漏水箇所に加えて応急処置をした箇所が215箇所もあったことがわかりました。

しかも区は、こうした漏水の実態を、われわれ区議はもとより、区民にもいまだに公表しないままなのです」

堀切区議が昨年9月に入手した資料は、「渋谷区役所庁舎棟漏水についてのご報告」と題した、新庁舎の建設に携わった建設会社が作成したもの。作成日は、昨年の5月22日付だ。

「工事はとっくに終わっているのに、春ごろに工事会社の人たちがやたらと庁舎に入ってきて、深刻そうな顔で何かを確認している。6月の区議会幹事長会で、区の総務部長は漏水の事実は認めましたが、原因や場所など詳細は何を聞いても答えなかった。それで、工事に関する情報公開請求をしました。そこでこの『報告書』を入手し、初めて漏水の実態が分かったのです。ですが、区からはその後も報告がないままです」(堀切区議)

この報告書は漏水が各フロアで起こっていることを示すとともに、「確認を要する個所数」が庁舎全体で約580箇所もあることを伝えている。報告書が出された3か月後には補修工事が行われたが、「防災行政拠点」をうたう渋谷区新庁舎として、区民は心もとなく思うのではないか。

「建築構造物に関しては専門家の分析が必要と判断し、一級建築士の岩山健一氏に5月の報告書をもとに『建物調査報告書』を作成してもらいました。また、岩山氏には補修図面も精査してもらい、漏水の原因とその補修方法について専門的な知見から分析してもらいました。この分析で、新庁舎は根本的な問題を抱えていることがわかったのです」(同前)

岩山健一氏は、(株)日本建築検査研究所の代表。平成11年に同社を立ちあげて以降、建設市場における欠陥建築物の発生予防と、その解決の支援を行っており、これまでに2000件を超える手抜き・欠陥建築物の回復、救済を多数手がけている。

岩山氏が調査を行ったところ、窓の上のサッシの部分に致命的な欠陥があったことが判明。さらに庁舎外壁に設置されたバルコニーを支えるために鉄骨が庁舎内部から外壁を貫通しているが、この貫通部分の隙間からも漏水が起こる構造が確認されたという。岩山氏がこう説明する。

「漏水は各階の上部と下部それぞれに見られました。特に鉄骨の隙間からの漏水は深刻で、普通はこの漏水が起こらぬように、鉄骨貫通部分の外側と内側に『止水シーリング』という二重加工を施すのですが、新庁舎では本来行うべき内側の防水加工が施されていなかったようです。なぜこんなことになったのか不明です。

昨年8月に慌てて止水処理をしたようですが、その資料を確認しても、十分な補修が行われたとは思えない。十分な止水を行うには、内部を一度壊して再度工事を行わなければなりません。

それをやらない以上、私はこの新庁舎には『構造的な欠陥がある』といわざるを得ないと思っています。まだ遅くありません。いまからでもいいので、第三者機関を交えて再度詳細な調査を行い、内側の止水処理工事をきちんと行うべきだと思います」

岩山氏の指摘に対し、渋谷区はどう答えるのか。「漏水問題について把握しているか」「なぜこのようなことがおこったのか」「補修工事の内容」「事実であるならなぜ公表しないのか」などを紙面で問い合わせたところ、以下の回答が返ってきた。

<令和元年5月21日に区役所新庁舎において発生した一部漏水につきましては、同年8月5日から8月27日までに施工業者が工事請負契約に基づく瑕疵担保責任により対策工事を実施し是正が完了しております。

施工業者の報告によりますと、漏水の原因は、メンテナンスバルコニーの外壁を貫通する鉄骨部分の周りのシールの一部が、塗布した錆止めの成分の作用により、剥離したためとのことです。

区有施設においては、工事が原因と考えられる不具合が発生しました場合には、速やかに施工業者に対し調査と必要な対策を求めていますので、新庁舎においても同様の対応をしたものです>(渋谷区広報コミュニケーション課)

漏水の事実を認め、その対応を行ったとしているが、漏水が発生した理由や、補修の内容、金額、漏水の事実を公表しない理由について回答がなかった。

岩山氏は「渋谷区の回答なるものは、聞かれたことに対しての答えになっていない。そもそも外壁を鉄骨が貫通するような設計の場合は、貫通部の止水・防水に通常以上の注意を払うのが当たり前」と、区の回答に憤りを隠さない。

漏水ぐらいは大した問題ではない、ということなのかもしれない。しかし、であるならばなおさらその事実を公表して、万全の対処を行えばいいだけのことだ。新庁舎のウリはワンストップで行政サービスを受けられることだが、問題が起きたときに、一度立ち止まればそれでいいというような「ワンストップ」の姿勢では、区民からの信頼が得られるかは疑問だ。

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