“100億円男”松本人志が長者番付1位を奪取した「あの日」
芸能リポーター・石川敏男の芸能界”あの出来事のウラ側は……”④
<芸能リポーター・石川敏男の芸能界”あの出来事のウラ側は……”④>
コロナウイルスで仕事にありつけない芸人に一人あたり上限100万円を無利子で貸し出すと打ち上げた、人気お笑い芸人ダウンタウンの松本人志さんに、売れない芸人仲間から喜びの声が上がっている。
3月から吉本興行の劇場も閉鎖し、テレビ出演も皆無。若手には「無いないづくし」の現状がもたらされた。食うにも食えない状況の芸人が山ほど生まれた。
いままでも売れない芸人は、飲食店などでアルバイトを続けながら人気者になる夢を見てきた。それが、コロナで飲食店のアルバイトなどもバッサリ切られてしまったのだ。
芸人らからは廃業するという声もちらほら出てきている。「おもろいやつ」という条件は付いているが、将来性のある若手を「救いたいという思いが強いようだよ」と、松本さんをよく知る関係者は言う。
松本さんの男気に、芸人仲間のたむらけんじさんは、
「松本さんは、お金を貸すのにはルールがあって、担当税理士さんとお話ししてはったようです。『1000人だから10億やん』と言っていた」
とさらりと話していたことも暴露。松本さんと同期のトミーズ雅さんが
「100億円貯金がなかったらせいへんやろな」
とたむらさんに質問すると、「100億円持つ男だったんですわ」と、きっぱり。松本さんがどのくらいの資産を持っているかオレは詳しく知らないが、昔資料を調べた限りでは、かなりの額の貯金がありそうだ。
今でこそ正式な公表はしなくなったが、‘47年から‘05年までは、高額納税者(長者番付)は公開されていた。俳優・タレント部門で長年1位を獲得していた女優の三田佳子さんから、その座を奪ったのがダウンタウンの松本人志さんと浜田雅功さんの二人だった。
‘95年に1位が松本さん、2位が浜田さん。当時、所得番付の納税額からマスコミが出した推定年収を見た松本さんが、
「これ意外と下回っている(少ない)」
と、つぶやいているのを聞いたという芸人仲間もいた。
三田さんは当時息子のスキャンダルがあったことも関係し転落、1位になったのが松本さんで2億6340万円。2位の浜田さんが2億3641万円。それから約25年、みのもんたさんや「とんねるず」の二人に1位を明け渡したこともあったが、間違いなく5位以内に君臨してきた。
収入も当時よりは増えているのだろう。だから、芸人仲間が言う「100億円の貯金がある」という話も、まんざら遠い話ではないのかもしれない。
それにしても、金利はなくても5年以内に返済という条件を守れる芸人はどのくらいいるのだろうか。
「松本さんは、返せない芸人がいることも頭に入っていると思う。その借りたお金で、どのくらいの若手芸人が、お笑いのために本気で生きるのかを見たいと考えているんですよ」
という吉本関係者。松本さんの表に出ていない話では、東日本大震災や阪神淡路大震災の時に、そっと寄付していた話を各方面からも聞いていた。
そんな松本さんの願いを叶えるためにも、コロナが落ち着いたら“本当の芸を持った”新しい芸人が、世に出てきてほしい―。
- 文:石川敏男(芸能レポーター)
- PHOTO:坂口靖子
芸能レポーター
‘46年生まれ、東京都出身。松竹宣伝部→女性誌記者→芸能レポーターという異色の経歴の持ち主。『ザ・ワイド』『情報ライブ ミヤネ屋』(ともに日本テレビ系)などで活躍後、現在は『めんたいワイド』(福岡放送)、『す・またん』(読売テレビ)、レインボータウンFMにレギュラー出演中