コロナ不況の明暗 「吉野家」が堅調で「スシロー」大苦戦の理由

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テイクアウトが好調で客足の絶えない吉野家。コロナ不況を乗り越えさらなる成長が見込まれる

「肉だく牛丼のテイクアウトですね。お待たせしました!」

東京都心の駅前にある牛丼チェーン「吉野家」の店内は、昼時を過ぎても賑わっていた。店で食事をすませる客もいるが、注文の多くはテイクアウト。新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛要請で高まる「お持ち帰り」需要に、うまく対応しているようだーー。

帝国データバンクによると、コロナ不況の影響で倒産した企業は222社(6月5日現在)。そのうち居酒屋やレストランなどの外食産業は30件と、ホテル・宿泊業に次ぎ2番目に多い。逆風にもかかわらず、なぜ吉野家へ足を運ぶ客が絶えないのだろうか。経済ジャーナリストの松崎隆司氏が解説する。

「今年3月の売上高は前年比約98%、客数は100%と、ほぼ前の年の実績を維持しています。要因は二つあります。最大の理由は、テイクアウトの需要に対応できていることでしょう。吉野家の売上のうち、5割から6割はお持ち帰りです。コロナ不況になる前からテイクアウトを想定した品揃えをし、店内で食べるのと味が変わらない。多少冷めても、客は自宅で店と同じ品質の牛丼を食せます。店員も容器にご飯と牛肉を入れるだけで、手間もかかりません。

二つ目の要因が店舗の小ささです。1フロアー丸々借り切っている居酒屋などより、賃料が安い。営業自粛に追い込まれても、被害が比較的少ないんです。コロナ不況に耐え抜き、今後はさらなる成長が見込まれます」

4月の客数は前年比45%

3月、4月は苦戦を強いられたスシロー。5月に業績が改善。逆襲に転じつつある

堅調な吉野家に対し、大きなダメージを受けているのが回転寿司業界の王者「スシロー」だ。スシローは今年2月まで、28ヵ月連続で既存店の売上が前年比を上回るプラス成長。ライバルの「くら寿司」や「かっぱ寿司」を、大きくリードしてきた。それが……。

「3月の売上高は前年比約91%。4月にいたっては同58%、客数は45%にまで落ち込んでいます。印象を悪くした要因が、3月に明らかになった兵庫県内の店舗での男性アルバイトのコロナ感染でしょう。他の回転寿司チェーンが営業自粛を進める中、スシローは店を閉めず売上を伸ばしていました。そんな中アルバイトのコロナ感染が判明し、一気に客足が遠のいたんです。

回転寿司チェーンは生モノを扱うため、ウイルスに対し慎重な対応が求められます。回転レーンでネタが外気にさらされ続けるのも、イメージ悪化につながりました。4人が向かい合う席が多いのも、敬遠された要因でしょう」(松崎氏)

吉野家との違いも大きく影響していると、松崎氏は分析する。

「テイクアウトの売上比率の差です。吉野家でお持ち帰りで注文する客は半数以上いますが、スシローでは1割ほど。店内での食事が主流なんです。外出自粛要請は、大きな痛手だったでしょう。テイクアウトするにしても、寿司は家に持ち帰る間に鮮度が落ちてしまうというイメージがある。スシローにとっては、マイナス要素ばかりだったんです」

もちろんスシローも、手をこまねいているワケではない。

「ウーバーイーツなどのネット注文サイトと提携し、『スシローデリバリー』というテイクアウトサービスを強化しています。また従業員の消毒も徹底。本部がビデオカメラで、スタッフの手洗いをチェックするシステムを導入しているんです。おかげで5月の売上高は前年比約81%、客数65%と大幅に改善。人々が外出を再開するとともに、業績は再び上昇傾向にあります」(松崎氏)

コロナ不況の逆風をモロに受けたスシローが、体制をたて直し逆襲に転じる。

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