えでやぐやぐすべ…?難解「方言自粛メッセージ」わかりますか?

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緊急事態宣言が解けたとはいえ、第二波の兆しもみえる新型コロナ。「三密」は間違いなく今年の流行語大賞にノミネートされることでしょう。

さて、そんな中で、ジワジワ人気が出てきているのが「ご当地〝自粛〟メッセージ」。お国言葉で自粛要請をPRしようという試みが、各地で行われているのです。

「〇〇県よいところ」「ようこそいらっしゃいました」といった、通常の言葉とは違う〝非日常〟な言葉だけに、地元民でないと理解できない感覚が面白い。さっそく見ていきましょう。

トップバッターは秋田県。緊急事態宣言発令を受けて、県知事が「そもそも普通の時も人が歩いてませんので……」とボケてしまう能天気ぶりが話題になった県です。その秋田県下、人口5万人弱の能代市が作った缶バッジは期間限定プレゼント品でした。

「緊急事態宣言が発令されて、GWの帰省や旅行が自粛になりました。そこで都会で自粛生活をがんばっている人たちに故郷の能代弁でエールを送ろうと缶バッジを企画したんです」(同市の人口政策・移住定住推進室の小野さくらさん)

「むったりえさいだ」は「ずっと家にいるよ」。ずっと=むったり、家=え、いる=いだ、ということ。あべは安倍じゃなくて、「歩く、いく」という意味

缶バッジで使われている言葉は次の通り。

●「えでやぐやぐすべ」→訳「家でゆっくりしようよ」

●「むったりえさいだ」→訳「ずっと家にいるよ」

●「おめ ちけど! おめも ちけ!」→訳「お前、近いぞ! お前だって近い!」

●「しったげ 密だ!」→訳「とても密だ!」

●「前見て あべ!」→訳「前を見て 行こう!」

ひと目みただけでは、とても理解することはできません。

締め切りの5月31日までに2200個、遠く台湾からも申し込みがあったそう。

「一番人気は『おめ、ちけど!』でした。直接言いにくいことをバッジが言ってくれてありがたかった、という感謝のメッセージも届きました」

なるほど。おめちけど! は、チケットあるよ! じゃないんですね。秋田に行ったら気をつけましょう。

山形のバッジは、高級さくらんぼ「佐藤錦」の産地として有名な寒河江市にある若月印刷が作成。コロナ退散のアマビエとヨゲンノトリをイラスト化しています。

バッジに書かれている「そどさいぐなは~」は「外に行かないようにしよう」という意味で、「そど(外)さ行ぐな」に、やんわり感を盛れる語尾「は~」をつけています。

「4月中旬にツイッターでサンプル画像を掲載したところ問い合わせが相次ぎ、5月から販売をしています。GW以降は、移動自粛のため帰省を諦めた学生さん用に送る、という親御さんが増えました。県外に住むお孫さんたちのためにと10~15個まとめ買いされたおじいちゃんもいましたね。自粛生活のお守りがわりになっているかと思うと嬉しいです」(若月印刷、菊池達也さん)

文字が妙に妖怪っぽいアマビエバッジ。効き目ありそう!
ヨゲンノトリは安政4(1857)年に現れ、翌年のコレラ流行を予言したという霊鳥。黒と白の二つの頭を持つといわれる。「だにゃ~」は山形弁で「ですよねぇ?」と同意をもとめる接尾語。「疫病退散するといいですよねぇ~」という感じだろうか

5月中旬に全国紙でも取り上げられたのが、超難解津軽弁バッジ。「いづだかんだあさぐな」「たがればまいね」……ぜ、全然わからない!?

「感染防止を訴えるキャッチコピーは『ステイホーム』とか『ソーシャルディスタンス』とか英語ばっかりだし、テレビで映っていた渋谷スクランブル交差点のがらんとした風景なんて、ふだんの弘前の光景そのままだし」

と笑うのは、津軽弁バッジを作った「おみやげTシャツ田村商店」の田村訓さん。

「満員電車なんか、そもそもありえないし、三密といわれても弘前の人にはピンとこないんですよ。だけど『たがればまいね(たがる=集まる、まいね=だめだ)』って言われれば、あぁ、集まったらだめってことか、って状況を理解できるんです」

アマビエが書かれている「たがればまいね」。たがる=集まる、まいね=だめだ、という意味だそう。たがれば、と語尾が変化しているのですな
「不要不急で出歩くな」バージョンの背景に描かれているのは……? 「〝どこかの知事〟バッジ」と命名されている

バッジには、津軽弁、標準語、英語のほかに、外国人にも読んで面白がって貰おうとローマ字表記まで入っている念の入れ具合。それにしても、「たがればまいね」って、単語、どこで切れるんでしょう?「いづだかんだ」が不要不急、でしょうか?

ちなみに正解は、

●「いづだかんだあさぐな」→訳「時間に関係なく(いづだかんだ)出歩く(あさぐ)な」

●「たがればまいね」→訳「集まって(たがれ)は(ば)だめだ(まいね)」

難解です。

東北一の大都会、仙台で人気なのは、アマビエこけし。写真のキャラクターはTシャツをはじめとするさまざまなグッズとして展開されています。「んでまず」は「それではこれでさようなら」という別れのことば。

「もともと人気があった〝仙台弁こけし〟のアマビエ・コスプレ版として登場させました。自粛生活でストレスがたまったりしたときにほっこりしてもらおうと可愛く、ゆる~くを目指しています」(エントワデザイン代表取締役・佐藤寛和さん)

テレワーク中に、このTシャツを着てオンライン会議に出席したら「かわいい!」と評判になったという報告も。

「んでまず」は、「それではこれでさようなら」という意味。海に棲むというアマビエが海に帰る=コロナ終息祈願の一言だとか

さて、こちらは九州。ご当地弁なら負けていないと名乗りをあげたのは、佐賀県武雄市です。

もともとご当地方言ガチャを作っていた市観光協会が作ったばかりの「自粛マグネット」が6種類。

武雄市の「自粛メッセージ」マグネット。ストレートすぎる「すーすーすー」がカワイイ
武雄弁オリジナルマグネットガチャ。「方言の使い方マニュアル」が丁寧です

それぞれの言葉と意味は、

●「うちにおらんば」→訳「家にいなさい」

●「こえたっちゃなか?」→訳「太ったんじゃないですか?」

●「すーすーすー」→訳「すぅすぅ(換気)するね」

●「ひっつかんごと」→訳「距離をとってください」

●「いそがんっちゃろ?」→訳「不要不急ですよね?」

●「ぞんこぞんこ」→訳「密です!」

実は、このご当地自粛マグネット、なんとFRIDAY編集部が各県にたずねた「ご当地弁での自粛メッセージはありますか?」の質問に「そうか、その手があったか!」と即商品化したという品なのです。なんというフットワークの軽さ! というわけで当然ながらマスコミ初登場です。

宮崎県からは、これまたユニークな回答が。実は中央官庁である農林水産省が妙に攻めてるyoutube動画を作っていることをご存知でしょうか? 広報室が自分たちをネタにして省内であれこれとトピックスを見つけてくるPR動画です。

その1本で、宮崎県出身の江藤農水大臣にご当地弁で新型コロナに関する自粛注意メッセージを話してください!とお願いしているのです(「大臣にアフレコしてみた」で検索可能。このアフレコも結構大胆だったためか、後日、広報担当者が大臣に呼び出された顛末もアップされています)

ここまで紹介してきましたが、鹿児島県観光協会から「これは同時通訳がなければ絶対にむりでしょう」と自信満々の推薦がありました。

それが「鹿児島弁をしゃべる犬&猫 コロナに負けるな!」動画(「音速の鹿児島弁犬おやじ」&「ニャンどんの部屋」)です。鹿児島弁ネイティブの方が作成しているのですが、すごい!これは……たしかに全然わかりません。

かつて大日本帝国海軍が防諜防止のため薩摩弁を使ったというエピソードを彷彿とさせる難解さです。完全字幕つきですが、ヒアリングむずかしか~! 両方とも大人気で犬は第4弾、猫は第6弾まで登場しています(6月6日現在)。

ワクチン開発もまだまだかかりそう。「withコロナ」はしばらく続きそうです。「距離をとって」と言いづらいとき、さまざまなご当地言葉でゆる~く呼び掛けてはいかがでしょうか?

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