首都高「ルーレット族」対オービス駆使する警察との大バトル現場
コロナでガラガラの首都高を暴走するルーレット族。移動オービスで取り締まるも引っかかるのは――
「ゴ~~」という轟音が後方から聞こえた瞬間、2台のクルマが続けて隣の車線を走り去り、あっという間に姿が見えなくなった。緊急事態宣言下、5月の首都高速道路での出来事だった……。
首都高の都心環状線を猛スピードで周回走行する「ルーレット族」が増えている。コロナショックによって交通量が減った中、深夜ドライブで気晴らしする「走り屋」が増加しているのだ。
一方で警視庁は取り締まり強化のために「移動オービス」を増設しているという。警察OBで交通事故調査解析事務所代表の熊谷宗徳氏はこう語る。
「ルーレット族は一般車両を煽(あお)る行為はしないので、速度違反で検挙するしかない。覆面パトが後ろにつくと絶対にバレて速度を落とすので、そうなるとやはり一番有効なのは移動オービスなんです」
だが、5月末の金曜日、本誌は首都高速で、「走り屋」と思われるクルマが、これ見よがしに移動オービスの付近でだけ低速で走行している様子を目撃した。
「首都高では移動オービスを設置できるポイントが限られています。しかも走り慣れている人は、まず制限速度以下で1周して下見をするうえ、SNSなどで仲間と設置場所について情報を共有しているんです。実際に移動オービスに引っかかっているのは、首都高の事情に詳しくない一般のドライバーが多いのではないでしょうか」(自動車ジャーナリスト・加藤久美子氏)
夜の首都高は今もガラガラ。ルーレット族と警察のバトルは続きそうだ。


『FRIDAY』2020年6月19日号より
撮影:結束武郎