佐藤健、窪田正孝、吉沢亮が競演!7年前の「お宝映画」がスゴい | FRIDAYデジタル

佐藤健、窪田正孝、吉沢亮が競演!7年前の「お宝映画」がスゴい

『カノジョは噓を愛しすぎてる』(2013年公開。監督:小泉徳宏/脚本:吉田智子)の贅沢な味わい

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テレビドラマ『恋はつづくよどこまでも』が社会現象化した佐藤健、NHK連続テレビ小説『エール』が人気を博す窪田正孝、出演映画『キングダム』の続編製作が発表された吉沢亮。押しも押されもせぬ人気俳優たちが、夢の競演を果たした映画を、ご存じだろうか。

■ ©2013青木琴美・小学館/「カノジョは嘘を愛しすぎてる」製作委員会 ■発売元: フジテレビジョン
■ ©2013青木琴美・小学館/「カノジョは嘘を愛しすぎてる」製作委員会 ■発売元: フジテレビジョン

2013年の2月に公開された音楽ラブストーリー『カノジョは噓を愛しすぎてる』。同名マンガの実写映画化作で、前年に『るろうに剣心』(12)に出演し、人気が爆発した佐藤が主演を務めた。興行収入は17.8憶円(2014年の日本映画では18位)。十分ヒットの域だが、もし仮に今公開されていたら、窪田と吉沢のブレイクが手伝って、さらに数字を伸ばしていたことだろう。今となっては、全員が“朝ドラ”経験者でもあり、知名度は当時とは比べ物にならない。

『カノジョは噓を愛しすぎてる』の物語を簡単に説明しよう。話題曲を連発する音楽バンド「CRUDE PLAY」の楽曲を手掛ける、小笠原秋(佐藤)。彼はかつて「CRUDE PLAY」のメンバーだったが、メジャーデビューの際に曲の演奏をプロのミュージシャンに差し替えられたことに絶望し、バンドを脱退。その後、天性の声を持つ女子高生・小枝理子(大原櫻子)と出会い、彼の日常は大きく変化していく。

秋に代わって「CRUDE PLAY」に加入した天才ベーシスト・篠原心也を演じるのが窪田。秋を凌駕する演奏の才能を持ち、理子をめぐって争うライバルポジションだ。奇しくも窪田は佐藤主演の『るろうに剣心』では、回想シーンで剣心に斬られる悲劇の武士を演じており、不思議な縁を感じさせる。同時に、2012年から2013年における窪田自身のステップアップをも示している。

ヒロイン理子のバンド仲間の男子高校生・君嶋祐一を演じたのが吉沢。ライダーシリーズを除けば本作が3作目の劇場映画出演であり、東宝の配給作品は初めて。芸能界入り4年目のまだまだ“期待の新人”枠だが、こちらも理子をめぐって秋と対立する役どころであり、秋に向かって「オヤジじゃん!」と言い放つシーンも用意されている。劇中バンド「MUSH&Co.」名義でCDも出しており、ミュージックビデオではギターをかき鳴らす姿も確認できる。

つまり、佐藤・窪田・吉沢は、本作である種の“恋敵”を演じていることになる。公開時に注目されたのは、佐藤のキャリアでは珍しい恋愛映画への挑戦、本作でデビューした大原櫻子、“噓”がキーワードになった切ない悲恋を描いたストーリー等だった印象だが、今となっては、この3人の関係性を中心に観る人が多いのではないだろうか。それほどに、佐藤・窪田・吉沢が共演する機会は今となっては激レアだ。

窪田が扮する心也は、秋の“後釜”であり、日ごろから意識しあっている複雑な関係性。秋が仕事に難色を示すと「その話、横からかっさらってもいい?」とあおり、理子のプロデュースを行うことになった際には「彼女は僕がもらいました。僕の宝物にします」とほれ込む。その後、秋に向かって「渡さないよ、君には」と宣戦布告。全編にわたって、2人の対立構造が描かれているのだ。

テレビドラマ『デスノート』で視聴者を驚かせた狂的な熱演や『エール』のような味わい深い妙演で知られる窪田だが、本作では眼鏡をかけたクールなキャラクターを演じており、穏やかな口調の中にも敵意を感じさせるという、かなり珍しい役柄に挑んでいる。

厭世的な天才肌に扮した佐藤との火花を散らす演技対決は、本作の大きな見どころだ。窪田は本作の出演後、NHK連続テレビ小説『花子とアン』で、花子の幼なじみ木場朝市を演じ、お茶の間にも知られる存在へと躍進を遂げる。

対して吉沢は、フレッシュな“青さ”全開で佐藤にぶつかっていく。前述の「オヤジじゃん!」もそうだが、テレビ局のトイレで秋にばったり出会うシーンではニート呼ばわりし、警戒心むき出しでかみつく。直情型のキャラクターを爽快に演じており、「スカウトされたんだよね」とドヤ顔で自慢するシーンなど、非常に微笑ましい。

今や圧倒的美男子として人気を博す吉沢だが、本作でもその輝きは十分に感じ取られる。何しろ佐藤演じる秋の対抗馬として観客を納得させなければならない立ち位置の中、その役目を視覚的にもしっかりと果たしたといえるだろう。終盤には野外ライブのシーンも用意されており、ギターを懸命に弾く姿が印象的だ。

吉沢はその後『アオハライド』(14)、『オオカミ少女と黒王子』(16)とマンガの実写化作に次々と出演。前者では本田翼、東出昌大が演じたメインカップルの友人でムードメイカー、後者では二階堂ふみ、山﨑賢人扮するメインカップルに割り込むおとなしい同級生を演じている。

■ ©2013青木琴美・小学館/「カノジョは嘘を愛しすぎてる」製作委員会 ■発売元: フジテレビジョン
■ ©2013青木琴美・小学館/「カノジョは嘘を愛しすぎてる」製作委員会 ■発売元: フジテレビジョン

ちなみに、「CRUDE PLAY」の残りのメンバーは三浦翔平水田航生浅香航大が演じており、相武紗季や反町隆史も出演している。本作の監督を務めた小泉徳宏はのちに映画『ちはやふる』3部作を大ヒットに導き、脚本を担当した吉田智子は、2017年の映画『君の膵臓をたべたい』も話題に。スタッフ陣も飛躍している点は、興味深い。

映画やドラマで脇役を演じていた若手がその後急激に伸びていく現象は、往々にしてあるものだが、とりわけ『カノジョは噓を愛しすぎてる』の共演は、実に豪華だ。当時伸び盛りだった佐藤、ブレイク前夜にあった窪田・吉沢のパフォーマンスは、さながらタイムカプセルのよう。改めて今の感覚で観てみると、感慨深いものがあるに違いない。

SYO:映画ライター 公式サイト Twitter

  • SYO

    映画ライター。1987年福井県生。東京学芸大学にて映像・演劇表現について学ぶ。大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション、映画情報サイトでの勤務を経て、映画ライターに。現在まで、インタビュー、レビュー記事、ニュース記事、コラム、イベントレポート、推薦コメント、トークイベント登壇等幅広く手がける。

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