「フツーの大学生」23歳がボーガンで家族3人を殺害するまで | FRIDAYデジタル

「フツーの大学生」23歳がボーガンで家族3人を殺害するまで

小学校の卒業文集には「いつか、なりたい者になります」と記していた

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高校時代から5年間働いていたガソリンスタンドが2年前につぶれてから、野津英滉容疑者はバイトもしていなかった
高校時代から5年間働いていたガソリンスタンドが2年前につぶれてから、野津英滉容疑者はバイトもしていなかった

「『助けて!』という悲鳴が聞こえたかと思うと、野津(のづ)のおばあさんの家から女性が飛び出してきたんです。首には赤い羽根のついた矢が刺さっていました。すぐにパトカーと救急車が駆けつけて、あたりは騒然。そんな中に家の玄関で、女性を睨みつけている男がいた。女性が『あの子にやられた』と男を指差すと、数人の警官が彼を取り囲み、手錠をかけたんです。パトカーに乗せられる前、男は抵抗するそぶりもなく、ただじっと自宅を見つめていました」(近隣住民)

6月4日、兵庫県宝塚市内の住宅街で、23歳の若者が母、祖母、弟、伯母をボーガンで射撃するという衝撃の事件が起きた。容疑者の野津英滉(ひであき)は、昨年9月まで神戸市内の大学に通っていたいわゆる〝フツーの大学生〟だった。

「英滉容疑者と弟、祖母の3人で暮らす家で事件は起きました。当日は近くに住む容疑者の母親も来ていたようです。朝10時頃、英滉容疑者はボーガンを手に1階の居室にいた祖母を射殺。その後、浴室前で弟を撃ち、近くに住んでいた伯母を電話で呼びつけて射撃。最後に、実母を撃ち殺したようです。伯母は撃たれたあとに逃げて家から飛び出し、何とか一命をとりとめました。頭を撃たれた母と祖母はその場で絶命。弟は搬送先の病院で死亡しました」(全国紙社会部記者) 

なぜ、英滉容疑者はこんなにも凶悪な犯行に及んだのか。背景にあるのは、弟への劣等感と自分を認めてくれない母親ら親族への不満だったと思われる。

英滉容疑者が小学生時代に住んでいた県営住宅の近隣住民が回想する。

「外回りの営業をしていたお母さんと二人の息子さんの3人家族。離婚していて父親はおらず、家庭は裕福そうではなかった。お兄さんは物静かで、挨拶してもペコッと頭を下げるだけ。〝おばあちゃん子〟だったみたいで、近くに住む祖母の家によく遊びに行っていましたね。一つ年下の弟さんはハキハキ挨拶する明るい子で、小さい頃からバスに乗って遠くの剣道場まで稽古に行っていました」

中学進学後、英滉容疑者は弟と比較されることが増える。中学の同級生が語る。

「野津はサッカー部に入ったものの、1年の途中から幽霊部員でしたね。勉強熱心でもなく、放課後は帰ってゲームをするような目立たないタイプでした。弟も同じサッカー部でしたが、レギュラーとして活躍していた。友達も多く、兄と違って〝クラスの人気者〟って感じでした」

英滉容疑者は高校卒業後、複数の大学に落ち、ようやく神戸市内の大学に進学を決めた。高校時代の友人が言う。

「野津と最後に会ったのは2年ほど前。地元の友達と飲んだとき、『大学になじめない』『プライベートの友達はいない』とこぼしていました。その後も飲み会に誘ったのですが、パタリと連絡がとれなくなった。LINEも未読のままです」

学費未納が原因で、昨年9月に大学を除籍となった英滉容疑者。一方の弟は、建築の専門学校を出て、今春に大手ハウスメーカーに就職している。母親は意見をしっかり言う厳格な人として近所でも有名だったという。コロナ禍でステイホームが続く中、家庭内で日々将来について 咤され溜まっていた英滉容疑者の不満が、やがて殺意へと変わったのか――。

〝将来の夢をいつか必ず見つけて。なりたい者になります〟

小学校の卒業文集にそう記していた英滉容疑者。なりたい自分になれなかったことを家族のせいにして犯行に及んだのだとすれば、あまりにも身勝手だ。

事件が起きた祖母宅。2年前に英滉容疑者が引っ越して以来、夜間に響くバイク音に近隣住民は迷惑していた
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小学校の集団登校でも一人距離をあけて登校していた英滉容疑者。大人数になじむのは苦手なタイプだったようだ
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「恋愛の話はあまりしたがらないタイプでした。僕が知る限り、恋人がいたことはないと思います」と高校の友人
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小学校の卒業文集に寄せられた英滉容疑者の作文。他の作文に「何かを変えたいと思えば全て自分で変える」とも
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『FRIDAY』2020年6月26日号より

  • 撮影加藤慶(2枚目写真)

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