大阪の中心都市で起こった「コロナ禍で賭け麻雀疑惑」騒動の深層 | FRIDAYデジタル

大阪の中心都市で起こった「コロナ禍で賭け麻雀疑惑」騒動の深層

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(写真はイメージです)AFLO
(写真はイメージです)AFLO

すべては、1人の市職員が居酒屋で語った“創作話”から始まったというーー。

人口80万人を誇る大阪の中核都市・堺市である「疑惑」が浮上し、その真偽を巡り騒動が起きている。緊急事態下のGW中に、市会議員と市職員4名の計8名が、3密状態の中で「賭け麻雀」に興じていたのではないか…というものだ。疑惑を向けられた議員らは真っ向からこれを否定しており、コロナ対応に追われる堺市では混乱が生じている。市役所関係者が嘆く。

「維新の会の池田かつし議員が、『自民党に所属する堺市議4名と、市の職員計8名で賭け麻雀をしていたのでは』と議会で追及したことがきっかけとなりました。市民の方からも問い合わせがあり、コロナ対応で業務量が劇的に増えている中なのに…と職員も疲弊しきっています」

賭け麻雀といえば、東京高検の黒川弘務検事長が、緊急事態下に産経新聞記者や朝日新聞社員らと麻雀をした問題で辞職したのが記憶に新しい。

6月8日の議会でこの疑惑を追及した池田かつし市議は、「外出自粛要請中に市民の模範たるべき議員と市職員が麻雀をしていたなら、コンプライアンスの面に加え、倫理的にも看過できません」と憤る。

その一方で名前をあげられた市議4名は会見を開き、疑惑を真っ向から否定した。地元メディアの取材に対してもこの疑惑を否定しており、「事務所には麻雀卓を置いたこともない。あ然。なんでこうなるのと」と話す議員もいるなど、両者の主張は真っ向からぶつかっている。7月13日には本件を調査するための議員総会が行われるまでに至ったというが、いったいなぜ、こんなことになったのか。騒動の裏側を追った。

事の発端は、市内の飲み屋での何気ない会話だったという。5月19日、大阪維新の会に所属する青谷幸浩市議、市のA職員、民間人の馴染みのメンバーで会食をしていたという。当日の様子を、青谷市議が振り返る。

「ちょうど飲食店の営業が20時~22時に伸びたタイミングでした。これまでもこの3人で度々食事をしており、その日も他愛のない世間話をしていたんです。『GWも家に籠もりっぱなしで、しんどかったよね』という話から、突然A職員が『実は僕ら麻雀してましてね。3万負けたんで次はリベンジします』と話し出した。

まだ黒川検事長の事件が明るみに出る前で問題意識もなく、どんなメンバーで、誰が勝ったの? とか話していていたくらいです。その時に市議4人と、市の職員4人の名前、開催されていた場所まで話をしてましたね。彼の同期の議院事務局の人間に誘われた、と。ところが翌日に黒川さんの事件が報じられて、『昨日、あの職員から聞いたのとまったく同じ話やな』とピンときまして。2日後にA職員と、共通の知人である池田議員と3人で話しをすることになりました」

池田氏はこの職員に対して「上長に報告して、処分も含めた対応を考えるべきだ」と忠告。A氏はその助言に従い、実際に上長に報告した。すると、その後A氏の態度が変わったと、前出の池田議員は指摘する。

「中立であるべき議会事務局の職員が特定の政党関係者と懇意にしているだけでも、倫理的に疑わしい部分もある。それが自粛期間中であれば尚更です。

A職員とは付き合いもあったので、『市の方に内部通報し、もし後悔しているなら自分で処理した方が良い。それが責任の取り方だ』と伝えたら、決意を固めた表情で『わかりました』と言っていた。ところがその翌々日に彼と会うと、『すいません、あれは嘘でした』と急に言動が変わった。何が原因か分かりませんが、その変化には戸惑ってしまいました」

賭け麻雀が行われたかどうかは、あくまで当人同士の自己申告でしか判断できないうえ、A職員が現状その事実を否定しているのだから、それを受け入れるしかないだろう、という見方もある。一方で、職員の話が突然「作り話でした」となるのは不自然だと感じる部分もある。真偽を確かめるべく、A職員にも話を聞いた。

「前提としてですが、私が池田かつし議員を個人的に応援していまして、他の議員や職員とも広く人付き合いをして欲しいという思いがあったんです。それで自分を大きく見せたくて、『私はこういった議員さんともお付き合いがある』ということを示したかった。そういう気持ちがある中で、先々やろうとしていた麻雀の話を、さもあったことのように話してしまった。

今年の1月くらいに8人のメンバーで麻雀をしようという話が同期からあり、それが新型コロナウイルスの影響で、3月にしよう、5月にしよう、って伸びていった。5月7日には、その同期から『また落ち着いたら(麻雀)やろうな』という電話がありました。私が話してしまった『5月3日』という日付に関しては、その同期が7人のメンバーさんとお話しする機会があったようで、その話を聞いていたこともあり、この日にちが私の頭の中にインプットされていたからです。

予定としてはだいたいこの辺りで、というのが決まっていて、不安から前もって場所を見に行ったんです。それを呑みの席でポロッと口に出してしまいました」

3万円、という負けた金額などの具体的な数字に関してはこう説明する。

「私自身も心の準備というか、どれくらい用意しとけばいいのか分からなかったんですが、とりあえず3万円くらい用意しとけばよいのかな、と思っていた。結果の部分は、自分が負けたという話の方が面白いというか、自分自身も(あまり麻雀の)経験がないので負けるやろ、と思っていたのでそういう話をしてしまった。市議の方、市職員の方、みなさんのお名前を出してしまったのは大変申し訳ないと自覚しています。また、市民の方々に不信感を抱かせてしまう行動を取ってしまい責任を感じています」

本件は、市のほうでも事実関係を調査中ということで堺市に取材を申し込んだところ、市役所の総務局人事部の担当者が取材に応じた。

「当該の職員4名に関しては、5月25日頃から確認も含めて既に複数回の聞き取り調査を行っています。職員はいずれも否定しており、事実認定が出来ていません。こういう形で不利益処分はできず、現段階での処分は考えておりません。作り話をした、という職員に関しては、その理由は説明せずに、否定を繰り返している状況です。

今後議会の方での追及は続くと聞いておりまして、市としては新たな事実が判明したり、調査に値するような情報が出てくれば、当然改めて調査はしないといけないとは考えております」

追及する側と「疑惑でもなんでもなく、作り話だ」と否定する議員らの間で、議論は衝突している。7月13日には議員総会が開かれ、本件に関する調査が行われる予定だという。新事実が明かされるのか、それとも疑惑は完全に否定されるのか。こちらも注視していきたい。

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