撮影のプロが指南!30代・40代のZoom映えテクニックとは?
悩めるアラサー、アラフォー世代のために。ファッション誌のベテランスタッフ座談会
長い在宅勤務中、Zoomなどを使ったWeb会議が習慣化したビジネスマンも多いことだろう。アフターコロナの新しいライフスタイルにおいては、社内会議だけにとどまらず、プレゼンや商談、面接など、今後ますます利用機会が増えると予想される。
そんな中、デジタル機器を使いこなし、自撮り慣れしている10〜20代に比べ、動画に映る自分を見るに堪えないと嘆くアラサー、アラフォー世代が多い。写真と違い、ごまかしがきかない動画で、少しでも相手に好印象を与えるための映えテクとは?

今回は長年、ファッション誌のモデル撮影に携わってきたプロフェッショナルを招き、「Zoom映え」を考えるリモート座談会を開催。参加メンバーはファッションフォトグラファーN氏(40代男性)、ヘア&メイクアップアーティストA氏(30代女性)、ファッションライターK氏(40代女性)の3名。
まずはライティング、カメラ位置、背景を考察
K:在宅でのZoom映えと聞いて、真っ先に思い浮かぶのはラインティング。フォトグラファー的に何かコツはある?
N:すでに多くの人が取り入れているけど、顔映りをよくしたいなら、デスクライトを活用すること。天井からのライトは光が回りにくいから、それにプラスして、デスクライトで前斜め上から顔に向けて光を当てるようにするといい。
K:実は洗面所の照明が“映え効果抜群”と聞いて試してみたの。確かに顔映りはすごくいいけど、あそこでWeb会議するのはさすがに厳しい。だから洗面所を参考にしてデスクライトを足してみたら、自然光や天井の照明だけのときより顔映りがパッと明るくなった。
N:蛍光灯の光はビジネス向き、白熱灯は落ち着いた印象になるから、シーンに合わせて使い分けるのもあり。
A:顔に向かってライトを足すと、向きによって顔のテカリがすごく目立ってしまうことがあるので、Web会議前に皮脂をしっかりオフしておくといいですよ。
K:なるほどね。あとさ、カメラの位置も重要だよね?
N:ライティングより、むしろカメラ位置の方が重要。カメラを目線より下に置くとやっぱり偉そうに見えるし、上すぎると子供っぽくなるよ。
K:でもカメラを上にした方が、ほうれい線が目立たなくなって若見えする気が。
N:何事もやりすぎは不自然。特に仕事で使うなら、そこはしっかり考えないと。パソコンの置き場所を箱や本を使って調整するか、椅子の高さを変えて、カメラの位置を目線と同じか少し上くらいに持ってくるのがベスト。
K:では背景は?
N:やっぱり白壁前が見やすい。打ち合わせなんかだと背景の情報は少ない方が集中できるし。茶色いドアなんかを使って背景を暗くすると、顔色が白くなるという効果もあるから、どういう風に見せたいかで、そこも変わってくるかな。
髪型、メイク、ファッションはどうするべき?
K:ところで女性のZoomメイクは濃いめがいいって聞くけど、それについてはどう?
A:モニター越しだとどうしても顔色はくすんで見えるし、のっぺりした印象になります。大人ならなおさら。でもだからといって厚塗りする必要はなくて、赤みのあるチークとリップ、あとハイライトを上手に使って、血色感やツヤ感、立体感を出すようにするといい。男性も顔のテカリを抑えることと、眉毛を整えるくらいはぜひやっていただきたいです。
K:ヘアスタイルについて、気をつけた方がいいことってあるかな?
A:ヘアは特に前髪が重要。前髪が長いと目元に影ができて、目も小さく見えてしまうので、サイドに流すとか、おでこを出すようにした方が映りは断然よくなります。
K:Zoom映え用のアプリとか出てるみたいだけど。
A:少し前までSnap CameraというアプリのMakeup Coolがすっごく便利だったんですけど、Zoomのアップデイトで使えなくなっちゃったんですよね。
N:Snap Cameraほどではないけど、Zoom内の”ビデオフィルタを適用する”(Windowsの場合は”外見を補正する”)をオンにすると、ほんのりフィルターがかかって、肌がきれいに見えるから試してみるといいよ。これは男性にもおすすめ。
K:最後にWeb会議時の映えファッションについて、何かご意見は?
N:Zoom打ち合わせをやってみて思ったのは、黒とか濃紺は避けたほうがいいってこと。この業界、もともと黒の着用率が高いけど、パソコンのカメラでは素材感やディテールが全部つぶれちゃう。せっかくいい服着ていても、よさが全然伝わらない。
A:黒は下手をすると怖い印象になりますよね。女性の部長クラスの方なんかは威圧感が余計に強くなる。
N:そう。ライティングに手をかけないと濃い色は難しい。
K:だからと言って白がいいわけでもないでしょ? 白は顔色を明るく見せるかと思いきや、白壁を背景にするとぼやけるし、なんか不健康な感じになる。
N:自然と青みがかかることを計算すると、映える色は薄いブルーやグリーン、あとピンクとか。
K:ビジネスマンならそういう色のシャツで、爽やかに見せるのはいいかも。ストライプのシャツもよさそう!
A:私は服の色だけでなく、上半身勝負だからこそ、特に女性の衿開きが気になります。暑くなってネックラインが広く開いたトップスやキャミドレスを着る方が増えましたが、肌見せ分量が多いとなんかいやらしくなると言うか。
N:分かる。嫌でもそこに目がいくし、あれ? それも狙い? って余計な深読みまでしてしまう。上司とのWeb会議でそれはNG。
K:今の10代、20代は子たちは動画慣れしているから、ここで話したことくらい知ってて当然なのかもしれないけど。この歳になって改めて動画に映る己の姿を見て絶望している世代としては、人を不快にさせない最低限のマナーくらいは身につけていかないとね。

長引くコロナ対策により、リモートワークが主流になる職種はもちろん、これからはオンライン飲み会も頻繁になっていくだろう。そんな時もこの「Zoom映え」テクが必ずや役立つはず。
取材・文:葛畑祥子