阪神・原口 ガンから復帰1年「大病後も変わらぬ正捕手への情熱」 | FRIDAYデジタル

阪神・原口 ガンから復帰1年「大病後も変わらぬ正捕手への情熱」

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大腸ガンを乗り越え一軍に復帰した原口。マジメな性格で練習熱心。チームメイトからの信頼も厚い
大腸ガンを乗り越え一軍に復帰した原口。マジメな性格で練習熱心。チームメイトからの信頼も厚い

「多くの方から『復帰して1年だね』と声をかけてもらいました。すごく昔のことのように感じますけど、まだ1年なんですね……。野球ができる喜びを、日々感じて楽しんでいます」

6月6日のソフトバンクとの練習試合で3安打3打点の活躍を見せた阪神・原口文仁(28)は、試合後、感慨深そうに語った。

1年前の6月ーー。原口は自身がガンであると公表してから、131日ぶりに一軍のグラウンドに立った。原口の大腸に異変が見つかったのは19年1月。前年末に受けた人間ドッグで、ガンと診断されたのだ。

「原口はツラくても、弱音を吐くような選手ではありません。そんな彼が『最近ちょっと疲れやすい』『いくら寝てもアクビが出る』と漏らしていたんです。大丈夫かなと、心配はしていました。ガンが判明した時ステージは3Bまで進み、スグに手術を受けたんです。

それが2ヵ月後の3月には、トレーニングを再開した。命にかかわる大病ですから、精神的にもキツかったハズ。それでも同じガン患者の人たちの励みになればと、厳しいリハビリや半年間の抗ガン剤治療に耐え抜いたんです。原口でなければ、あれだけ早期の一軍復帰は叶わなかったでしょう」(球団スタッフ)

原口は一軍復帰のロッテ戦(19年6月4日)の9回に代打で出場し、フェンス直撃の二塁打を放つ。5日後の日本ハム戦では、同じく代打でサヨナラ安打。今季はガンの経過観察を受けながらフルメニューの練習をこなし、ファンに完全復活を印象づけた。だが、本人は納得していないようだ。

矢野に「捕手で勝負したい」と直訴

「自身のポジション、捕手へのこだわりが強いんです。原口は14年に肩や腰を痛め一度、自由契約となり育成選手として再契約しています。その後は首脳陣に故障を気遣われ、一塁や代打での起用が多くなった。本人は悔しかったのでしょう。現監督の矢野(耀大)さんがバッテリーコーチに就任すると、『捕手で勝負したいです』と直訴したそうです。

原口は帝京高校時代、父親に自宅裏へ照明付き練習場を作ってもらい、睡眠時間3時間で毎日練習を続けたというガンバリ屋です。周囲が『大病後なんだから』と諌めても、本人はヤルからには正捕手を狙い猛練習を続けている。本人は、こう話しています。『キャッチャーとしてスタメンで出て、フルでマスクをかぶりチームが勝った時は本当に嬉しいです。打った打たないは関係ない。そこにやりがいを感じるんです』と」(スポーツ紙担当記者)

原口のリードは、投手陣からの評判も良い。6月13日に行われたオリックスの練習試合に先発し5回を完璧に抑えた岩貞祐太は、報道陣にこう語っている。

「原口の配球が冴えていたと思います。テンポよくリードしてくれたので、うまくいったかなと思う」

進行ガンの発見から5ヵ月で一軍復帰。さらに1年後に正捕手の座を奪取。そんなサクセスストーリーは実現するのだろうか。同じ捕手出身で、阪神でコーチ経験のある達川光男氏が語る。

「阪神には強肩強打の梅野隆太郎という、絶対的な捕手がいますからね。正直、レギュラー獲得は難しいでしょう。ただ原口は自分を前面に出さず、投手ファーストでリードする。投手としては投げやすいでしょう。パンチ力があり打撃もいい。チームや梅野が不調になった時のために、欠かせない存在ですよ。劣勢の場面でも、原口がグラウンドに姿を見せただけで球場の雰囲気が変わるからね。ガンを経験して、発言もより謙虚になった。病気と闘う人の励みになるプレーをしてほしいです」

6月19日にようやく開幕するプロ野球。ガンを乗り越えた男が、次の目標に向かって必死のプレーを続けている。

  • 写真時事通信社(阪神タイガース提供)

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