外国人観光客がいない夏は「今年だけ」なら今行くべき場所は? | FRIDAYデジタル

外国人観光客がいない夏は「今年だけ」なら今行くべき場所は?

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6月19日からの“移動制限解除”で、旅行も徐々に

新型コロナウイルスの感染拡大による移動自粛を経て、6月19日から段階的に制限が緩和される。旅行が好きな人にとっては、一時期はどこへも行けない日々を悶々と過ごしてやっと、という思いも強いだろう。

2019年GW後半の京都。右肩上がりで増え続けた外国人観光客によるオーバーツーリズム、「観光公害」が問題となっていた(写真:アフロ)
2019年GW後半の京都。右肩上がりで増え続けた外国人観光客によるオーバーツーリズム、「観光公害」が問題となっていた(写真:アフロ)

今年の夏の旅行は「国内旅行」が中心となる。しかも、インバウンド(訪日旅行)の外国人旅行客がいないため、近年、とても混雑していた国内の旅行先などに、少なくとも今年の夏はインバウント客がいない。通常なかなか予約が取りづらかったホテルや旅館、レストランなども、まさに訪れるチャンス。 “コロナ自粛”で疲弊ぎみの日本国内で、おすすめの旅行先を紹介する。

トリップアドバイザー発表の外国人に人気の日本観光スポットは?

まず、インバウンドで人気が高かった日本の観光スポットを、改めて振り返っておきたい。

広島の宮島・厳島神社は、多言語対応、無料Wi-Fiの整備などインバウンド対策も功を奏して人気に※画像はイメージです
広島の宮島・厳島神社は、多言語対応、無料Wi-Fiの整備などインバウンド対策も功を奏して人気に※画像はイメージです

「Tripadviser」が2020年4月に発表した「旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本観光スポット 2020(Top30 Attractions in Japan by International Travelers 2020)」によると、1~10位は以下の通り。

  • 1位 広島平和記念資料館(原爆ドーム、平和記念公園等含む)(広島県広島市)
  • 2位 伏見稲荷大社(京都府京都市)
  • 3位 箱根彫刻の森美術館(神奈川県箱根町)
  • 4位 東大寺(奈良県奈良市)
  • 5位 兼六園(石川県金沢市)
  • 6位 新宿御苑(東京都新宿区)
  • 7位 日光東照宮(栃木県日光市)
  • 8位 人形ミュージアム(石川県金沢市)
  • 9位 姫路城(兵庫県姫路市)
  • 10位 高野山 奥之院(和歌山県高野町)

11位以下では、京都や東京、広島、奈良、金沢、富士山周辺などがラインクイン。これらの観光スポットを訪れたいなら、インバウンド再開前に行ったほうが良い。

【参考】 旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の観光スポット 2020

今だからこそ行くべき場所、まずは「京都」

「インバウンドで混んでいるから」と、国内旅行で誰もが足を運びづらかったのは「京都」ではないだろうか。

ここ数年、京都はどのエリアも外国人観光客がとても多かった。JR京都駅前のバス乗り場は大きなスーツケースを手にした外国人であふれ、バスはいつも混んでいて乗るのも一苦労。バスを日常で利用する地元から苦情が出る“観光公害”も広まり、深刻な問題となっていた。嵐山・嵯峨野で有名な竹林の小径、伏見稲荷大社の千本鳥居などは“インスタ映え”狙いの外国人も多く訪れ、とてもゆったり散策できる状況ではなかった。

京都・伏見稲荷大社の千本鳥居は“インスタ映え”として大人気だった
京都・伏見稲荷大社の千本鳥居は“インスタ映え”として大人気だった

さらに、ホテルの価格は軒並み高騰。かつて、京都ならではの魅力でもあった、日常と喧騒から離れて落ち着いた“侘び寂び”を感じる雰囲気からもかけ離れてしまっていた。

京都では現在、観光客が激減した状況で、以前の京都らしい静かな日常が戻ったとも聞く。今後、国内からの観光客が増えることが想定されるものの、以前よりバスなどの混雑もないだろう。ホテルは実はコロナ前から供給過多で、これから開業するところもある。予約が取りづらかった人気の宿泊施設に加え、「新しい客室に安価で快適に泊まる」のも狙い目といえる。

京都・嵯峨野にある竹林の小径。早朝から夜まで観光客が多かった
京都・嵯峨野にある竹林の小径。早朝から夜まで観光客が多かった

北陸新幹線で「金沢」、癒しを求めて「高野山」はいかが? 

ランキングの10位以内に入っている中で「金沢」もおすすめだ。2015年の北陸新幹線の開業で首都圏からのアクセスが便利になった一方、インバウンドでも人気となり、訪れるチャンスを逃していた人も多いはず。兼六園や21世紀美術館、さらに、和倉温泉や能登半島など今ならのんびり観光できる。日本海の海の幸も絶品だ。

2011年、アメリカの旅行雑誌『Travel + Leisure』で「世界で最も美しい駅14選」6位に選ばれた金沢駅(写真:アフロ)
2011年、アメリカの旅行雑誌『Travel + Leisure』で「世界で最も美しい駅14選」6位に選ばれた金沢駅(写真:アフロ)

また、「高野山」は、車がなくても電車とバスでアクセスでき、京都や奈良などよりは小さな山内に見どころが点在する。欧米人曰く“スピリチュアル”な雰囲気が直に感じられ、心身ともに癒される。日本人は日帰りで訪れるのが多いものの、山内の宿坊に泊まって早朝に山内を散策するのもとても良い。特に、高野山一帯は夏でも大阪より5~10度近く気温が低いため、近場の避暑としても一押し。

高野山は弘法大師が開いた“天空の都市”といわれ、荘厳な雰囲気が漂う
高野山は弘法大師が開いた“天空の都市”といわれ、荘厳な雰囲気が漂う

中国人観光客に人気だった場所はちょっと異なる 

一方、中国人に人気が高い日本の観光地は、全体的なインバウンドでの人気とは、若干異なる。中国最大の検索サイト「バイドゥ」(百度)が発表した「2019年訪日中国人の検索動向ランキング」が詳しい。

【都道府県 検索ランキング】

  • 1位 北海道
  • 2位 東京都
  • 3位 京都府
  • 4位 沖縄県
  • 5位 大阪府

【観光地・名所検索 ランキング】

  • 1位 河口湖(山梨県)
  • 2位 富士山(静岡県・山梨県)
  • 3位 東京スカイツリー(東京都)
  • 4位 皇居(東京都)
  • 5位 お台場(東京都)

発表資料によると、東京や大阪だけでなく地方への動き、瀬戸内の島々や東京から足を運べる観光地の検索ニーズが高まっているとも指摘する。

【参考】中国人は日本の何が好き?? Baidu Japan、2019年訪日中国人の検索動向ランキング発表

北海道や富士山などはホテルの相場下落も

夏の「北海道」は、インバウンドだけでなく、日本人にも従来から人気が高い。今年はそのインバウンドがない分、人気の宿泊施設やレストランなどが例年よりも予約しやすいと考えられる。避暑としても最高の環境で、グルメのレベルは全国で群を抜く。

函館山からの夜景。インバウンド客にとても人気が高かった場所の1つ
函館山からの夜景。インバウンド客にとても人気が高かった場所の1つ

また、世界文化遺産の「富士山」も、インバウンドで人気が高い場所だった。特に、河口湖は富士五湖の1つで富士山の山ろくにあり、最寄りの富士急行・河口湖駅をはじめ、富士山の絶景スポットで知られる大石公園、遊覧船など、一時期は「右も左も中国人」というほど人があふれ、マナーも問題となっていた。入国制限が緩和されれば、再び人気スポットとなるのは間違いなく、美しい富士山を静かに楽しみたいなら今夏ぜひ訪れたいところ。

国内のテーマパークも、徐々に再開の動きが見られる。大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は、6月8日に再開。入場できるのは、当初は地元や近隣の在住者らが対象だが、段階的に広がる予定。USJも近年、インバウンドがとても多かった場所で、しかも当面の間、入場制限を行って混雑を避ける対策が施されるため、以前より快適に楽しむことができる。

USJは6月19日から、入園可能者を関西2府4県に住む人に拡大。それ以外の在住者の入場は当面認めない方針だ(写真:アフロ)
USJは6月19日から、入園可能者を関西2府4県に住む人に拡大。それ以外の在住者の入場は当面認めない方針だ(写真:アフロ)

地元民などを対象とした近場での観光の割引をチェック

新型コロナウイルスによる感染拡大で、日本国内の観光業は多大な影響を受けた。その一方、近場の移動から徐々に制限が緩和されると同時に、「県民限定割引」といった都道府県内の在住者らを対象とした宿泊や観光でのツアー代金などを自治体が助成する動きが、全国的に見られる。

例を挙げると、北海道では道民の道内旅行に「どうみん割」として最大1万円割引、京都府は関西在住者に対して府内での宿泊割引(上限2500円)や特産品の提供、石川県は県民と県内の宿泊施設限定で宿泊費の最大半額補助(上限15000円)など。また、山形県はいち早く、観光施設で使える2000円分のクーポンを1000円で販売する「県民県内お出かけキャンペーン」などを5月半ばから始めて早速好評を博した。

6月半ば現在、すべての都道府県で実施されているわけではないものの、近場で観光したい場所や泊まりたいホテルなどがあれば、都道府県のホームページなどでぜひ調べてみてほしい。積極的に利用する価値は大いにある。

■記事中の情報、データは2020年6月19日現在のものです。

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  • 文・写真Aki Shikama / シカマアキ

    旅行ジャーナリスト&フォトグラファー。飛行機・空港を中心に旅行関連の取材、執筆、撮影などを行う。国内全都道府県、海外約40ヶ国・地域を歴訪。ニコンカレッジ講師。元全国紙記者。

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