“演出の鬼”松本潤が有料配信ライヴにワクワク体操を組込んだ意味 | FRIDAYデジタル

“演出の鬼”松本潤が有料配信ライヴにワクワク体操を組込んだ意味

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15日にYouTubeで公開されたダイジェスト映像を皮切りに、16日から21日まで6日間にわたって、Johnny’s netオンラインで、ジャニーズ事務所所属のグループによるライヴ配信が行われている。

ジャニーズ事務所が横浜アリーナで収録したライブを有料配信する「Johnny’s World Happy LIVE with YOU」が、16日に初日を迎えた
ジャニーズ事務所が横浜アリーナで収録したライブを有料配信する「Johnny’s World Happy LIVE with YOU」が、16日に初日を迎えた

DAY1に登場したのは、デビュー25周年のV6と、次代のジャニーズを担うKing&Prince、そして“国民的アイドル”嵐の3組。V6の、年輪を重ねてしか醸し出せない滋味溢れる歌とダンスとトーク、このタイミングで「Full Circle」などという、V6の“今”をギュッと詰め込んだようなスーパークールな新曲をぶっ込んだサプライズと悪魔的な安定感に痺れ、King&Princeの圧倒的なキラキラ感と世界に打って出ても通用しそうなスキルの高さ、病気療養中で不在のメンバーへの尊敬と愛を込めて、彼の分のスタンドマイクを用意するエモーショナルな演出など、若手のトップとしての風格を存分に発揮した後、満を辞して、嵐の登場と相成った。

二宮が放った言葉「これが嵐です」の意味

1曲めが「a Day in Our Life : Reborn」だったのは、同じ日に、V6のライヴがあることを考慮したからだろうか。

「a Day〜」といえば、岡田准一と櫻井翔が共演し、脚本家・宮藤官九郎の出世作となったドラマ『木更津キャッツアイ』の主題歌である。当時は、岡田の主演ドラマの主題歌がV6ではなく嵐であることが不思議だったけれど、ドラマに登場する草野球チーム「木更津キャッツアイ」=通称キャッツの面々とその生き方がHIP でHOPだったせいか、バンビこと櫻井のラップが、熱血で滑稽でハートフルで切なすぎるドラマに、震えるほどマッチしていた。

世界的なDJを招いて生まれ変わった「a Day〜」は、英語詞など、ちょっと“よそ行き”な感じになるのかと思いきや、今まで当たり前のように聞き流していたそれぞれのパートの輪郭がくっきりと浮かび上がり、「きっとまた巡り合うSomeday」の言葉が、いろんな意味で嵐の5人との約束のように思えた。

続いて、“これから暑くなっていく時期に合わせて”「夏疾走」。MCの後には、「嵐のワクワク学校」から生まれた、「ワクワクHappiness体操2020」を披露した。

正直、自分たちのツアーの1コーナーならいざ知らず、「30分弱という限られた時間の中で、体操をやる意味とは?」と戸惑ったファンも多かったのではないだろうか。何を隠そう、筆者もその一人だ。

でも、体操そのものは見ていてとても楽しく、さっきまで音楽の申し子のようだった大野智が、なかなかに戸惑いながら、規則正しく体を動かそうとしている瞬間のギャップも笑えたし、この体操のリーダー的立ち位置の相葉雅紀が、彼らしく正しくテンパリながら、とても生き生きしていたこと。体操が終わった後、「予想以上に辛かったでしょう、ごめんなさい」と頭を下げたことなども印象的だった。

でも、何より心に残ったのは、二宮和也の「これが嵐です」という言葉だ。「これが嵐です」の「これ」とは何を指すのだろうか。

MCで5人は、「嵐のワクワク学校オンライン」の話をしながら、口々に「楽しかった」と語っていたが、そもそも「ワクワク学校」という企画自体は、嵐ファンにとってみれば、年間行事の一環ではあったけれど、ライヴのチケット争奪戦に比べたら当選しやすく、「行ったら結構楽しめたよ〜」ぐらいの緩めのイベントだったはず。でも、今年のワクワク学校は、オンライン上だったこともあり、“嵐と一緒に学ぶ”意味合いが、普段より強く感じられた。彼らの本来の狙い通り、知識欲や、学習欲をちゃんと刺激されたのである。

嵐は“学ぶこと”をエンタメに昇華した最初のアイドル

嵐に限らず、アイドルという存在には、普段からいろいろ教えられることが多い。もちろん、漫画だって小説だって、ドラマだって映画だってJ-POPだって、クラシックだってスポーツだって、それを好きな人にとっては、常に“気づき”がある。その対象にのめり込むことが、“新しい何かを見つける”ことにつながり、それが救いになる。だから、もっともっと対象のことを深く知りたくなる。

「ワクワク学校」に話を戻せば、嵐というグループは、“学ぶ”ことをエンタメに昇華した最初のアイドルなのだと思う。櫻井を除けば、大野も、二宮も、相葉も、松潤も、“勉強”なんてものは苦手だったはずだ。でも、それぞれに自分たちなりの才能を開花させ、社会的な影響力が強まっていくとともに、必要なことは全身全霊で学んでいって、今がある。

彼らはアイドルだから、「最初からできました」「もともと知ってました」なんてことは言わない。彼らのすべての表現には、覚悟があるのだ。その成長と葛藤の過程を見せていくことも自分たちの仕事であると。

キンプリがデビューした頃、二宮が「最近の後輩たちは、デビュー直後から歌もダンスも一級品ですごい。ただ、それだと我々の時のように、成長を見守る楽しみがないのかもしれないけど」と発言していたことがある。

あの、“ステージ演出については鬼”の松本潤が、30分弱のパフォーマンスの中に、「ワクワクHappiness体操2020」を組み込んだことは、そこに、他には替えがたい嵐らしさを感じたからだろう。期間限定とはいえ、まだまだYouTubeで「嵐フェス」も「untitled」も公開されている。完成されたステージではなく、“今”“ここ”でしか表現できないこと。それが、松潤にとっての、ひいては嵐5人にとっての「ワクワク体操」だったのではないだろうか。

実際、アーカイブになってみると、一人ひとりのバテ方や、苦手な動きなどが繰り返し見られて、中毒性がある。「その前に、一緒に体を動かして欲しいな」と彼らは思うだろうが。

ワクワクという言葉の語源は、水などが湧き上がる様を模して、知りたいと思う気持ちや、高揚した感情が心の中から外へと、激しく流れる様子を表しているという。カッコいいとか、可愛いとか、面白いとか、美しいとか、楽しいとか、幸せとかを感じる以上に、ワクワクする。それが、嵐と一緒にいるということ。

湧き上がる感情が、嵐のように大きな渦を巻いて、もう止められなくなること。それが、きっと何よりの“嵐らしさ”だ。嵐とはつまり、人間が持つあらゆる感情を蓄えた「ワクワクの泉」なのである。

  • 取材・文喜久坂京

    ジャニヲタ歴25年のライター。有名人のインタビュー記事を中心に執筆活動を行う。ジャニーズのライブが好きすぎて、最高で舞台やソロコンなども含め、年150公演に足を運んだことも。

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