女性の水着に裸の合成写真…金与正が激怒した「韓国のビラの中身」 | FRIDAYデジタル

女性の水着に裸の合成写真…金与正が激怒した「韓国のビラの中身」

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怒りが収まらない金与正氏。韓国から撒かれたビラの中身があまりに卑劣かつ卑猥だというのが理由の一つだ
怒りが収まらない金与正氏。韓国から撒かれたビラの中身があまりに卑劣かつ卑猥だというのが理由の一つだ

韓国の文在寅大統領を「吐き気がする」「ムカつく」「鉄面皮」と罵倒し、南北共同連絡事務所を爆破ーー。北朝鮮の金正恩委員長の妹・金与正氏の言動がエスカレートしている。6月16日には、軍事境界線近く非武装地帯への侵入を予告。「南朝鮮と決別する時だ」と、国内外に呼びかけているのだ。

与正氏が激怒するキッカケとなったのが、5月に脱北者団体によって散布されたビラだ。温和な態度で韓国でも人気の高い与正氏の態度を一変させたビラとは、いったいどんな内容なのか。『デイリーNKジャパン』編集長の高英起氏が語る。

「北朝鮮では絶対的な存在である、金ファミリーを誹謗する内容が書かれていたそうです。正恩氏は不倫の子で、父親の正日氏は旧ソ連の野戦病院生まれだと。それだけではありません。中には正恩氏の妻・李雪主氏や側近男性が裸で寝ころがる、合成写真も飛ばされたと言われています。あまりにも卑猥で、北朝鮮にとっては最大の侮辱でしょう」

ビラが北朝鮮に与えたインパクトは計り知れない。スマホの普及で、ビラを手にした人々が撮影。北朝鮮のネット社会で「最高指導者への批判文書」が拡散したからだ。看過できない影響があったことも、与正氏が怒る理由の一つだと言われる。だがビラが撒かれるのは、今回が初めてではない。

「北朝鮮と韓国のビラの応酬は歴史が長い。70年前の、朝鮮戦争(50年~53年)中に始まりました。当初はお互いの兵士の戦意を削ぐため、いかに相手が残忍な行為をしているか内外に伝えるプロパガンダ的な要素が強かった。韓国側から撒かれたビラは1000種類、10億枚以上になると言われます。朝鮮戦争が『ビラ戦争(Leaflet War)』とも呼ばれた所以でしょう」(高氏)

戦後もビラの応酬は続き、徐々にお互いの思想、体制の優位性を主張する性格を帯びていった。高氏が続ける。

「60年代から70年代にかけては、共産主義が最も勢いがあった時期です。韓国より北朝鮮のほうが経済力があり、自分たちの国がいかに素晴らしいかと宣伝していました。『我々は民衆中心の国である』『医療費もかからず公害もない』と。正恩氏の祖父に当たる金日成氏の思想に憧れ、北朝鮮に渡った韓国国民も少なからずいると言われています」

初めてみる若い女性の身体

80年代に入ると、韓国が「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を遂げる。韓国側からは、自国の自由さ、物資の豊富さを誇るビラが多く散布され始めた。

「中には美人タレントの水着写真もありました。洗練された美しい女性の身体に、前線にいた若い朝鮮人民軍兵士はさぞ驚いたことでしょう。北朝鮮では、女性が肌を露出した写真の流通は禁止されていますから。彼らにとって、女性の肌を見るのは初めての経験だったかもしれません。

韓国はビラだけでなくラジオなどでも、北朝鮮の民衆に訴えかけます。『あなたがたは指導者に虐げられている』『韓国に来れば飢えることはない。労働ノルマを達成せずに収容所へ送られることもない』と。こうした宣伝の影響で、脱北者の数はどんどん増えていきました」(高氏)

00年代になるとビラにUSBメモリーやSDカードをつけ、金ファミリーがいかに独裁的か、韓国がどれほど豊かか映像でもわかるようになる。たび重なるビラ攻撃に、与正氏はイライラを募らせ怒りを爆発させたのだろうか。高氏は「過激な反応を示した北朝鮮にも狙いがある」と話す。

「目的は二つあります。一つは与正氏の力をアピールすること。彼女が正恩氏の後継者であることは、ほぼ間違いないでしょう。過激な言動で韓国を非難し実際に行動に出ることで、自身の指導力を内外に示そうとしているんです。

二つ目は韓国への強い意思表示です。18年9月に南北首脳会談が行われてから、両国の関係になんら進展はありません。米国や国際社会の手前上、韓国は独断で動くことができない。そうした現状に、北朝鮮が不満を露わにしてしていると思われます」(高氏)

ビラは紙切れに過ぎない。だが、そうしたアナログな宣伝手法が、北朝鮮の指導体制と南北関係を大きく変えようとしている。

  • 写真EPA=時事通信社

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