「新曲がハーフミリオン」でキンプリ世界進出の可能性が見えてきた

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King & Princeの新曲「Mazy Night」が売れている。

発売第1週でハーフミリオン突破は、デビュー曲の「シンデレラガール」以来だそうだ。もちろん、単純な“売り上げ”の面では、今年1月にリリースされたSixTONES(ストーンズ)とSnowManのデビューシングルが通算で164万枚だというから、デビューは「ご祝儀買い」を是とするジャニヲタの生態を知らない人からすれば、「大したことないのでは?」と思うかもしれないが、実はこれは、「嵐が活動休止した後のジャニーズを担うのはキンプリ」と確信させるのに十分な数字なのである。

2月下旬、Sexy Zone中島健人とのW主演ドラマ『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)のロケ撮影で、猛ダッシュを繰り返していたKing&Princeの平野紫耀

デビュー以来、「Memorial」「君を待ってる」「koi-wazurai」と、見事に“Love & Smile”なジャニーズ王道路線を歩んできたキンプリ。シングルのジャケット写真も、テーマカラーはキラキラ眩しい“ピュアホワイト”がメインだ。平野紫耀が主演した映画『かぐや様は告らせたい』の主題歌の「koi-wazurai」で5人が身につけているジャケットはネイビーが基調だが、いかにもセレブリティらしい刺繍の入ったクラシックなデザインになっている。

それが、「Mazy Night」では笑顔を封印し、曲自体もキンプリ 史上最高難度と言われるダンスに挑戦しているのだ。デビュー3年目、5枚目のシングルにしてここまで大胆な路線変更は、ジャニーズとしては珍しい。が、彼らのライヴに足を運んでいる人、またはライヴ映像を見たことがある人なら、「待ってました!」という思いだったのかもしれない。というのも、そもそも「Mazy〜」のような最先端のサウンドに乗ってガシガシ踊る路線こそが、キンプリの実力と才能を最も発揮できるものだったからだ。

非ジャニヲタをも唸らせた「シンデレラガール」の衝撃

アメリカに次いで、世界第2位の音楽市場を持つ日本においては、ポピュラー音楽はK-POPのような「輸出産業」ではない。とりわけジャニーズは、その60年近い歴史の中で、ファンがタレントを応援することで一緒に成長していけるような、そんなシステムを確立してきた。SNSが発達するずっと前、ジャニヲタは自担グループの楽曲を盛り上げるべく、せっせとリクエスト葉書を書いたり雑誌の内容に感動した時は、編集部宛にお礼状を書いたりしていた。

デビューシングルの「ご祝儀買い」も、そういう昭和から連綿と受け継がれてきたジャニヲタ的“ヲタ活”の名残だろう。実際、デビューした後に大ブレイクし、デビュー当時の限定盤CDやグッズが、プレミアのつくお宝になるなんていうことも少なくない。

それにしても、キンプリの「シンデレラガール」は衝撃だった。まるでディズニーのお伽話から抜け出したようなルックスで、“ジャニーズソングの決定版”ともいうべきキラキラした楽曲を歌う6人。当時、それまでジャニーズに興味がなかった層からも「シンデレラガール、いいよね」という感想を何度となく聞いた。

メンバーの岩橋玄樹の発案で、ファンのことを「ティアラ」と呼ぶなど、ジャニヲタからすれば“王道中の王道”ともいうべき路線を歩む彼らが、何故こんなにも大衆の心を惹きつけるのか。その理由としては、彼らが実力派揃いで、かつ多面的なキャラクターを持っていたことが大きかったのではないだろうか。

ジャズミュージシャンで文筆家の菊地成孔は、ラジオで「シンデレラガール」とキンプリ を絶賛していたが、そのコメントの中にも、ダンススキルの高さや、王子様一辺倒ではない点などが挙げられている。「『シンデレラガール』も、実は2番のフリがカッコいいんだよ」とマニアックなところを突いていた。

昨年、ファーストアルバムが発売された際にリード曲となった「Naughty Girl」も、それまでのシングルとは路線の違う、大人っぽいダンスチューンだった。向上心の強い彼らは、ことダンスに関しては貪欲で、常に世界の最先端の音楽シーンをチェックし、自主的にダンスレッスンに通うなどしていると聞く。

「一緒に成長する」ことを楽しむ従来のジャニヲタからすると、カッコ良すぎる曲、最先端すぎる曲は、「自担が遠くに行ってしまいそうで嫌だ」と拒否反応を起こすのではないか。――あくまで邪推だが、ジャニーズ事務所やレコード会社は、そんなことを懸念してこの2年間、シングルでは“Love & Smile”路線を貫いていたのだろう。とはいえ、時代とともに、ジャニヲタも進化しているのかもしれない。「Naughty Girl」以上にダンス的にハイブロウな「Mazy Night」は、結果、熱狂を持って受け入れられた。

ジャニヲタが愛でる“拙さ”皆無のパフォーマンス

さて、先日の有料配信ライヴで、初めてキンプリ のライヴを目にした人は、その楽曲のバリエーションに驚いたのではないだろうか。「シンデレラガール」「Memorial」「koi-wazurai」と、スイートな曲が3曲続いた後、Jr.時代から歌い継がれる岸優太と神宮寺勇太のPrince2人による「Prince Princess」では、病気療養中の岩橋玄樹のマイクスタンドも用意されるという憎い演出で、ヲタ心をくすぐった。

平野、永瀬廉、髙橋海人によるKingは、「CHANBARA」で殺陣とHIP HOPを融合させたようなハードなダンスを披露。ダンスに関してはグループトップの実力を誇る髙橋海人が“他担狩り”(優れたパフォーマンスで他メンバーのファンの心を奪うこと)する瞬間である。

続く「YOU WANTED」では再び5人になり、「Mazy Night」と合わせ、5人が“Cool & Wild”な部分を爆発させたかと思うと、「Love Paradox」ではわちゃわちゃ、ラストはバラード「King & Prince, Queen & Princess」で締めくくった。披露された全ての曲に魅せどころ、聴かせどころが満載で、楽しさと同時に「この子たち、すごい」という驚きが胸に押し寄せる。

彼らを見ていると、拙さやあどけなさのようなものを愛でるのがジャニヲタである時代は、“半分”終わったのかもしれないと思う。キンプリのパフォーマンスにはそういう未熟さは一切ないけれど、それは伸び代がないこととイコールではない。むしろ、彼らが目指している表現と今の間には、無限の伸び代が広がっている。

もし、ファン(ティアラ)が彼らに今よりさらに素晴らしい景色を見て欲しいと願うならば、どこかのタイミングで、キンプリは世界に打って出るべきだ。それは別に国内での活動を疎かにするという意味ではなく、もっと積極的に海外、とくにアジア圏には彼らの音楽を発信していった方がいい。それは、「シンデレラガール」に代表されるアニメから飛び出したような王子様感こそ、“ガラパゴス日本”ならではのものだからだ。

以前、世界のヲタを取材したときに、韓国人の嵐ファンから「嵐の中では松潤の人気がとくに高い」と聞いたことがある。「ああいう絵に描いたようなキラキラした王子様キャラは、韓国にはいないから」だそうだ。

確かに、BTSのようなHIPHOP系のダンスグループの場合、ゴリゴリなカッコよさや激しさはあっても、ジャニーズのようなキラキラの明るさはない。筆者が取材した韓国人女性は、「嵐に会いたい」という理由だけで、日本に留学していた。

もちろん、韓流にハマって韓国に留学した日本人も多いだろうが、ここ何年かは、嵐や関ジャニのライヴで外国人に遭遇することも珍しくはないし、ジャニーズのYouTubeチャンネルのコメント欄に様々な外国語が飛び交っているのを見ると、海外でも、「ジャニーズ」は一つのキラキラアイドルブランドであると認識している人は少なくなさそうだ。世界中に一定数の“キラキラ王子好き”はいるはずなのである。

今年デビューしたSixTONESやSnowManも、海外進出を狙っているジャニーズグループだろう。ただ、「シンデレラガール」と「Mazy Night」の両方を表現し尽くせるアイドルグループは、キンプリ しかいない。「こんなの見たことない」という新鮮な驚きと「そうそう、こういうのを待っていたんだ」という無意識のノスタルジー。アンビバレントな感情をダブルで掴むことのできる彼らこそ、次代のジャニーズを担う逸材なのである。

  • 取材・文喜久坂京

    ジャニヲタ歴25年のライター。有名人のインタビュー記事を中心に執筆活動を行う。ジャニーズのライブが好きすぎて、最高で舞台やソロコンなども含め、年150公演に足を運んだことも。広くジャニーズの素晴らしさを知ってほしいと思い、FRIDAY デジタルにジャニーズのコラムを寄稿することに。

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