手越祐也なきNEWS 配信ライヴから予測する「これから」

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ジャニーズの配信ライヴが熱い。

“凌ぎを削る”とはまさにこのこと。3月末から4月初頭にかけて行われた無観客ライブはYouTubeでの無料配信だったために、まずは、「世界を元気に!」という意図のもとでセットリストが組まれた印象だった。

2016年ジャニーズ事務所恒例の初詣での私服姿。右から、増田貴久、小山慶一郎、手越祐也

今回は、有料(売り上げは新型コロナ感染症に従事する医療関係者に寄付される)ということもあってか、各グループとも「いかにファンを満足させるか」という点のみならず、「他グループのライヴも同時に配信される中、自分たちのファンではない人たちにも興味を持ってもらえるように」という意図のもと、それぞれが、わずか30分の中に、徹底的に“自分たちらしさ”を追求した構成になっているのだ。

DAY1の「V6 King&Prince  嵐」は、ジャニーズの“ダンス”の本質のようなものに触れられる豪華すぎるラインナップだったし、DAY2の「KAT-TUN Sexy Zone 関ジャニ∞」は、「一つのアイドル事務所の中に、なぜここまでの振り幅が!」と驚嘆するような、怒涛のキャラクター祭りだった。そんな中、DAY3にHey! Say! JUMPとジャニーズWESTに挟まれて登場したのが、手越祐也を欠いた“3人のNEWS”である。

手越祐也というエースを欠いたNEWS

エース不在――。そんな絶体絶命のピンチの中で、彼らはどんなパフォーマンスを見せるのか。こと“歌”に関しては、6人時代と比較すれば、ツアーごとに歌唱力を上げてきたメンバー揃いだ。多分心配はない。もちろん、手越と増田貴久(以下“まっすー”)は元々“歌うま”として認められていたから、「テゴマス」というユニットも誕生したわけだが、4人の時の手越は、上手いのはわかるけれどちょっとウザいぐらいの声量だった(あのウザいキャラクターが“声”に表れていた、もちろんいい意味で)。ツアーを重ねるごとに、小山慶一郎や加藤シゲアキへの信頼が増していったせいか、4人の声量はどんどんバランスが取れていったものだ。NEWSのライヴの楽しみは、そんな、“チームの成長”を目撃することにもあった。

こと“人気”の面においても、NEWSのライヴにおける一番人気は、手越ではなくまっすーだった。ファンなら、手越のことはみんな好きだ。あの、自由なキャラクターを面白いと思っているし、エースとして信頼もしている。でも、ヲタを味方につける才能は、手越よりまっすーのほうがずっとある。

歌だけでなく、ダンスもとても魅力的だし、ファッションセンスもあって、ガタイも良い。手越のみならず、不祥事の多いメンバーのことを、海のような深い心で許してきた(手越はかつて、「望んでセンターになったからには、俺はNEWSのシールドになる」とまで発言していたが、シールドになっていたのは常にまっすーのほうだった)。手越が強いのは、NEWSのファン以外にも広く興味を持たれていること。その一点に置いて、彼は絶対的エースだったのだ。

さて、配信ライヴでの3人のパフォーマンスだが、収録があった時点ではおそらく、手越は退所の意思を固めていなかったのではないだろうか。少なくとも、3人に退所の意向は伝えていなかったのではないだろうか。というのも、3人のパフォーマンスが終わった18日夜9時の時点では、「手越は戻ってくるんじゃないか」と筆者が感じたからだ。

ライヴは、NEWSの4人が作詞作曲を手掛けた「クローバー」(※2020年3月4日発売の最新アルバム「STORY」収録)でスタートした。クローバーの4つの花言葉を4人でパート分けし、“希望”を加藤が、“誠実”をまっすーが、“愛情”を小山が、“幸運”を手越が、それぞれファンからのメールも参考にしながらまとめた歌詞だという。その中に、「これが僕の居場所」という歌詞があって、まるでそれは手越に向かって歌っているように聞こえた。「お前の居場所はここなんだよ」と。

2曲めの「Weeeek」は、NEWSのファンじゃなくても、ジャニーズが好きじゃなくても、きっと誰もが「いい曲!」と思うような、とてつもなく普遍性のある曲だ。2008年のカウントダウンライヴで、まだ山下智久も錦戸亮も所属していたNEWSがこれを披露した時、その夜で一番東京ドームが揺れたことをよく覚えている。その多幸感は、SMAPなら「SHAKE」、嵐なら「Happiness」に匹敵するだろうか。たった一曲で、ライヴの高揚感がマックスになる。どのグループも、喉から手が出るほど欲しい曲だ。そんな神曲を2曲めに持ってきた時、「これも、“辞めちゃったらもうこの曲を歌えないんだぞ!”という手越へのメッセージかもしれない」などと、筆者は勝手に邪推していた。

続いての「エンドレス・サマー」は、6人時代での最後のアルバム「LIVE」(10年)に収録され、「NEWS BEST」のファン投票1位に輝いた人気曲である。自分たちがもしありふれた大人になっても、心の扉は、少年の頃の眩しい夏に繋がっていると歌う、これもある意味、“原点回帰”を連想させる曲だ。

そこから、3人のソロ曲を披露するのだが、筆者はSMAPの時代から、グループの中のソロコーナーがあまり好きではない。もちろん、たまにビックリするほどグッときたり、お腹がよじれるほど笑えるソロもあるので侮れないのだが、5人なり7人なりの個性あるメンバーが揃う中で、それぞれのソロが“全部イイ”となることは滅多にないからだ。ただ、この日の3人のソロには、気迫が溢れていて、3曲ともとても見応えがあった。小山は自分の見せ方を熟知していたし、加藤は「伝える」ということをとても大事に歌っていたし、まっすーは、「たとえ今この命尽き果てても、我が歌唱に悔いなし」とでもいうような、魂の歌声だった。

さて、ラストは「U R not alone」(17年リリースのアルバム「NEVERLAND」収録)である。「Weeeek」同様、GReeeeNの作詞作曲によるこの曲は、「フルスイング」「生きろ」など、泥臭い応援ソングの多いNEWSの楽曲の中でも、飛び抜けて「NEWSの生き様」がヴィヴィッドに描かれている。本来の歌割では、終盤、大サビを手越から順番に歌っていくのだが、この配信ライヴでは、その手越のパートは誰も代わりに歌わなかった。しつこいようだが、そんな演出もまた、「4人でNEWSなんだよ」と、3人が手越に向かって歌っているような気がしたのだ。

メンバーが減るたびに結束を強めてきたNEWS

NEWSのファンは、5月末に、SNSを使って「NEWS CLOVER PROJECT(4人のNEWSを応援するプロジェクト)」を立ち上げており、たとえばYouTube上では、プロジェクト発足から3日間で全世界から集まった3700人分のメッセージを、ファンが歌う「U R not alone」に載せて公開している。文春記者の直撃にも「ファンのことは裏切らない」と発言していたぐらいだし、もし、このYouTubeや3人でのライヴ配信を手越が見ていたとしたら、大丈夫、きっと彼は帰ってくる。17日夜の時点では、そんな確信すらあった。

“手越退所”が発表されたのは、翌日だった。

あのライヴがいつ収録されたのかは分からないが、ライヴの出来いかんに関わらず、手越の心は決まっていたのだろう。「ジャニーズでやりたいことは全てやった」と思ったのかもしれないし、配信ライヴ後にすぐ退所が発表されたことは、好意的に解釈すれば、「もうNEWSは俺がいなくても大丈夫」と思ったからかもしれない。実際、「東京ドームで5万人を熱狂させたい!」などと、会場の規模に拘らなければ(筆者の印象としては、会場の規模に一番拘っていたのが手越だった)、NEWSは、3人でも十分にやっていけるだろう。

次のライヴで、3人が「U R not alone」を歌うことを想像しただけで泣けるし、同時に、満席になった会場で、3人で「クローバー」や「エンドレス・サマー」や「U R not alone」を歌うところを絶対見たいと思うからだ。

手越の発した「ファンのことは裏切らない」というコメントの中の“ファン”とは、あくまで“俺のファン”であって、“NEWSのファン”という意味ではなかったのかもしれないと、今は思う。自分自身のことが大好きで、スーパーポジティヴな彼のことだ。おそらく、自分の置かれた場所で、大輪の花を咲かせようとするのだろう。ただ、“NEWSの手越”を、仲間と共に、「U R not alone」を熱唱する手越を好きだった多くのファンに対しては、これからどんな誠意を見せるつもりなのだろうか。

NEWSは、メンバーが減るたびに結束してきた。それは、かつて一つの巨大なファンクラブ「Y O U&J」に所属し“3ユニ”と呼ばれたKAT-TUNや関ジャニ∞にも言えることだ。ジャニーズのグループは、センターや人気メンバーがいなくなったからといって、パワーダウンすることはない。むしろ、一人ひとりの成長や成熟は著しくなり、豊かになる。「今俺たち絶好調だぜ」なんて浮かれているグループにこそ、明日はないのだ(そんなグループはジャニーズには今も昔も存在しないが)。

現に、17日に配信された関ジャニ∞5人でのライヴは、バンド演奏こそなかったが、文句なしに“関ジャニ∞のすべて”が表出していた。5人での「大阪ロマネスク」も素晴らしかった。

手越が、この先どんな活動をしていくのかはわからない。でも、すべては起きてしまったことだ。落胆してもしょうがない。少なくとも、まっすーとカトシゲは人事を尽くしている。ならばあとは天命を待つのみ。そして、手越もまた人事を尽くしていってほしい――。老婆心ながら、今はそう願うばかりだ。

  • 取材・文喜久坂京

    ジャニヲタ歴25年のライター。有名人のインタビュー記事を中心に執筆活動を行う。ジャニーズのライブが好きすぎて、最高で舞台やソロコンなども含め、年150公演に足を運んだことも。

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