コロナと「米中対立」で復活する業界&日本企業の注目株60

ハイテク、半導体、防衛関連、ファクトリーオートメーションほか、注目銘柄を解説

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米中の対立が激化している。もともと貿易摩擦が生じていたところに、新型コロナの感染が拡大し、米中の溝は修復不可能な状態だ。証券アナリストでTIW社長の藤根靖晃氏が言う。

「トランプ大統領はファーウェイなど中国の通信機器メーカーを『知的財産を盗み、技術移転を強要する企業』だと批判し、市場から排除する手法を取っています。さらに今年5月にはファーウェイが半導体を調達できないように輸出規制もかけました。今後はさらに米中のデカップリング(分断)が進み、ハイテク企業は米国向けと中国向けで二重に投資しなければいけなくなるでしょう」

その上で藤根氏は、半導体検査装置のレーザーテックや半導体製造装置の東京エレクトロンに注目する。

次世代移動通信システム「5G」の導入が進むにつれ、半導体需要は高まっていくが、米中が対立した状態なら日本企業が漁夫の利を得るかもしれない。経済アナリストの田嶋智太郎氏が解説する。

「詳しい説明は省きますが、最先端の半導体を製造するためには、オランダのASML社しか作れないEUV(エクストリーム・ウルトラバイオレット=極端紫外線)露光装置が必要不可欠です。そのASML社がEUV露光装置を作るために必要な部材を供給しているのはほとんどが日本企業なのです。具体的には信越化学工業や東京応化工業といった銘柄が挙がります」

一方の中国も自前で半導体を確保せねばならず、それには日本企業の技術が欠かせないという。

「日本の半導体メーカーの最大の顧客は中国企業で、たとえば、ローツェやサムコ、芝浦メカトロニクスといった名前が挙がります。注目しているのは半導体商社の伯東。ここは昨年、米中対立が激化しているときにも中国のハイテク企業に半導体を卸していた、腹の据わった会社です」(株式アナリストの鈴木一之氏)

ミサイルを作る三菱電機

これまで世界で負け組だった日本のハイテク企業も、米国による中国排除で復活の目が出るかもしれない。

「富士通はエリクソンと連携して、NECはサムスンと組んで巻き返しを図っています。富士通は5G対応基地局制御装置をいち早く商用化して、NTTドコモに納入している」(前出・藤根氏)

米中が貿易摩擦のみならず、軍事的な緊張まで高まれば、防衛関連銘柄の株価が反応するはずだ。

「防衛といえば、三菱重工業が思い浮かびますが、国産ジェット『スペースジェット』が悲惨なことになっているので買いづらい。防衛関連で株を買うなら、三菱電機でしょう。サイバー攻撃を受けてミサイルの情報が漏洩した問題が起こりましたが、同社はフィリピン政府から高性能レーダーシステムを受注している防衛装備品メーカーです」(藤根氏)

米中対立にコロナ禍も加わり、世界的なサプライチェーンの見直しが急務となっている。要は、中国依存からの脱却だ。投資情報会社ラカンリチェルカ社長の若杉篤史氏がこう分析する。

「中国にある工場を国内に戻すか、中国以外のアジアへ移すかの方法が考えられますが、いずれにしても、新型コロナの影響も考慮し、工場の高機能化と無人化は不可欠となっていく。ファクトリーオートメーション(FA)関連の企業が活躍するチャンスは大幅に拡大します」

今回、最多となる4名が揃って推奨したキーエンスはその筆頭だろう。FAセンサーの大手で業績は絶好調。同社社員の平均年収は2000万円を超える、ピカピカの会社だ。

中国人はユニクロ大好き

中国は一足先にコロナ後の新しい日常に戻りつつあるが、国外旅行が解禁されるのはいつになるだろうか。中国では、コロナ禍のなか、日本人気が高まっているという。フィスコの企業リサーチレポーターの馬渕磨理子氏が言う。

「中国メディアが4月に報じた、中国人がアフターコロナに行きたい国の調査で、日本が1位になりました。それまではタイが不動の1位だったのですが、初めて抜いた。コロナで日本の衛生管理が改めて見直されたからだそうです。また、米国をはじめ世界が中国を厳しく非難するなか、日本は大使館を通じてマスクを送ってくれたことに恩義を感じている中国人は少なくないそうです。入国制限が解除されれば、再び中国人観光客が戻ってくる可能性はあると思います。 

すると、インバウンド需要に頼っていたマツモトキヨシホールディングスや、地方のおみやげ用お菓子を製造・販売する会社を統括する寿スピリッツなどは、息を吹き返すでしょう」

米国への輸出が鈍れば、中国政府は内需拡大政策を行うため、結果として中国国内の消費は増加する。そのとき、日本製品が人気になると話すのは、株式ジャーナリストの天海源一郎氏である。

「中国人は自国の製品よりも信頼と安心感のある日本製を好むのでユニクロを展開するファーストリテイリングや、紙おむつや生理用品大手のユニ・チャームに注目しています」

中国ではインターネットを使用して海外の製品を直接購入する「越境EC(電子商取引)」が拡大している。

「アライドアーキテクツはSNSを活用したマーケティング企業ですが、中国のSNS向けにプロモーションを行うことができるサービスも手がけています。同社を利用すれば中国の越境EC市場に向けて効果的に宣伝することができる」(財産ネット企業調査部長・藤本誠之氏)

米中対立は、日本企業に意外な化学変化をもたらすかもしれない。

トランプ大統領は11月の大統領選に向けて、中国への強硬姿勢を崩すことはないだろう。新型コロナを克服したとされる習近平国家主席だが、北京では第2波が懸念されている

『FRIDAY』2020年7月3日号より

  • 写真AFP=時事 AFP/アフロ

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