「菅はロボットだ!」”ハマのドン”が突然官房長官を酷評したワケ

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舌鋒鋭く記者に語る藤木氏

記者も思わず顔を見合わせて――

「菅なんかロボットだから。いやポチだよ。官房長官なんて日本にはいませんよ…!」

想定外の発言に、会見場にいた記者たちは思わず顔を見合わせた――。

時の官房長官を呼び捨てにし、「ポチ」とこき下ろしたのは、”ハマのドン”こと藤木幸夫氏だ(89)。横浜に根付く「藤木企業」の代表であり、港湾事業を取り仕切ってきた藤木氏は、政界にも大きな影響力を持っている。特に近年では、横浜が候補地のひとつとなっていた「カジノ事業」についても、誘致に反対する旨の発言を繰り返してきたことから、注目を集めていた。

冒頭の発言が出たのは、横浜港の港湾事業者でつくる「横浜港運協会」の総会の後に行われた記者会見だ。

6月17日に開催されたこの総会では、藤木氏が23年間務めた同協会の会長職を退任することが発表されたため、会見は藤木氏の退任に関する質問からはじまった。

藤木氏は、最初のうちはこれまでの思い出や協会発展についての持論などを記者たちに語り掛けるように話していたのだが、カジノに関する質問が飛ぶと、発言のトーンが変化した。

「カジノをやろうという林(林文子横浜市長)以下、ああいう”詐欺師の連中”は何も発信してこない。俺に挨拶もない。あれだけ大きく新聞、テレビやラジオが(藤木氏がカジノ反対の考えを表明していることを)扱っているのに。

約束したんだよ。昔、私の会社に林が来た時に、

『今度の選挙は(カジノに反対する機運が横浜で盛り上がっているから、カジノ推進を表明したら)あんたは勝てないよ。あんたの取り巻きはみんなカジノをやりたい連中ばっかだけど、カジノは触れちゃだめだよ』

って。

『でもなにも言わないわけにはいかないから、どうしましょうか?』

と(林市長が)言うから、

『白紙にしなさい。全く白い紙が一番いいよ』

って言った。それで、あの人は『カジノは白紙する』ということで選挙をやった」

この発言には少し説明が必要だろう。藤木氏が言う「私の会社に林が来たとき」とは、林市長が三期目(2017年7月)の市長選に臨んだ時のことを指す。当時横浜ではカジノ誘致反対の機運が高まっていたことから、市長選の半年前に、林市長はこれまでのカジノ誘致推進から突然「白紙」へと立場を変えた。

結果、林氏は三度目の当選を勝ち取ったのだが、藤木氏の発言の意を汲むなら、「林市長は私のアドバイスに従って、カジノ推進計画を白紙にし、選挙に勝った」ということである。

ところが林市長は、昨年8月に「白紙」という約束を反故にして、再度カジノ誘致を宣言している。いわば、手のひらを返した形だ。これについて藤木氏のなかで「白紙を撤回するなら、自分や市民に対して事前にちゃんと説明をするのが人の道、というものだろう」という忸怩たる思いがあったことは間違いなく、それがこの会見での「怒りの発言」につながったのだろう。

さらに藤木氏の舌鋒は、菅義偉官房長官にも向かった。もともと横浜出身の小此木彦三郎・元衆議院議員の秘書を務めていた菅氏は、横浜の有力者である藤木氏との付き合いも長く、その蜜月関係は有名であった。しかし、菅氏も横浜へのカジノ誘致に積極的であることから、近年その関係にはしこりが生じていた、と言われている。

それでも、菅氏は時の官房長官だ。それを退任会見で「ロボット」「ポチ」と辛らつな言葉でこき下ろしたのだから、その大胆さに記者たちが驚いたのも無理はない。

あまりの過激な発言に、記者が反射的に「一応、菅さんが官房長官なんですが…?」と藤木氏に尋ねると、

「ポチよ。俺の方がトランプと話できるんだよ」

と、発言を否定するどころかさらに言葉を重ねたのだった。

さすがにこれ以上はまずいと思ったのか、会見の進行役が、

「会長、すみません。もうお時間超えてますから…」

と止めに入り、ようやく藤木節が止まったが、もしも「レフェリーストップ」がなければ、さらに菅批判が続いていた可能性は十分にあっただろう。

「藤木さんは菅官房長官、林市長の名前を出すときは、これまでは『菅さん』『林さん』と敬称を付けていました。この日は、重職を引退したということで少し肩の荷が下りたことも手伝ってか、呼び捨てしたのでしょう」(地元紙記者)

会見が終わると、記者たちからは会長職を務めたことを労う拍手が自然と起こった。そんななか藤木氏は、

「みなさん本当にありがとう」

と挨拶をしながら、

「役人もね、市長もね、いま予定通り(カジノ誘致を)進めているけど、あの人たちの本当の気持ちは、いまやっている姿と違うものだと、俺は信じている(注:彼らも本当はカジノに反対しているはずだ、ということ)。いま彼らがやっていることはポチです。ロボットです。かわいそうです」

と語り、会場を後にしたのであった。

最後には笑顔を見せた藤木氏

藤木氏のいう「ロボット」、「ポチ」の前には「アメリカ・トランプ政権の」という文言が付く。そのトランプは全米で巻き起こるデモや新型コロナ感染症対策の失敗などで、再選が危うくなっている。そんな状況でもカジノ誘致にまい進する菅氏・林氏の耳には、藤木会長の「最後の咆哮」が届いているのだろうか――。

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