篠原涼子×中園ミホ 13年ぶり『ハケンの品格』視聴率低下の誤算 | FRIDAYデジタル

篠原涼子×中園ミホ 13年ぶり『ハケンの品格』視聴率低下の誤算

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母になっても美貌を維持する篠原涼子。満を持しての『ハケンの品格』への出演だが……(‘18年)
母になっても美貌を維持する篠原涼子。満を持しての『ハケンの品格』への出演だが……(‘18年)

コロナ禍の影響で2か月遅れ、6月17日にスタートした篠原涼子主演のドラマ『ハケンの品格』(日本テレビ系)。スーパー派遣社員・大前春子(篠原)が、あらゆるトラブルを解決して全話平均視聴率20.2%を叩き出した前シリーズから13年ぶりとなる続編。この間に「派遣」を巡る環境も大きく変わった。

「‘08年には”リーマンショック”が起きると”派遣切り”が横行。子供を持っても経済的な不安や、育休、産休もないし、保育園にもなかなか預けられない。さらに高齢化が進み、派遣を巡る状況はさらに厳しくなるばかりです」(報道番組関係者)

そんな中、スーパー派遣社員・大前春子を演じる篠原自身にも大きな転機が訪れていた。

「‘07年『ハケンの品格』とヒットドラマ『アンフェア』(フジテレビ系)の映画化で映画初主演を果たした篠原は、この年高い評価を受け、ギャラクシー賞個人賞を受賞。当然、『ハケンの品格』も続編が期待されていましたが、翌年長男を出産。さらに‘12年には次男を出産して子育てに追われる中、『ハケンの品格』を手掛けた中園ミホ脚本による米倉涼子主演の『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)シリーズがスタート。しかも、これが大ヒットを記録。篠原にとっては、忸怩たる思いがあったのではないでしょうか」(ワイドショー関係者)

もし『ハケンの品格』の続編を『ドクターX』よりも早く作っていたら……。篠原が悔しがる気持ちも理解できる。しかもコロナ禍による放送延期に伴い、前作『春子の物語 ハケンの品格2007 特別編』が放送されるや、『ドクターX』との共通点を指摘する声がネットにも数多く寄せられている。

「二作は共にスーパースキルを持った”一匹狼の女性”が主人公。『致しません』の常套句を始め、田口トモロヲの『膨大な資格とスキルを武器に腕一本で生き抜く、高時給の一匹狼のスーパー派遣社員』のナレーションも『ドクターX』の冒頭のナレーションを想起させることから、『ハケンの品格』を初めて観た視聴者から“『ドクターX』は『ハケンの品格』のパクリではないか?”という声が上がるのも理解できます」(前出・ワイドショー関係者)

現在、シリーズ第6弾まで制作され、今や国民的な人気を誇るドラマとなった『ドクターX』。実は脚本を手掛ける中園ミホは、このドラマについて興味深い話をしている。

「中園が初めて自らテレビ局に持ち込んだ企画が、『ハケンの品格』。この作品を書くために、実際に派遣社員として働く女性たちに取材を重ね、その交流は”月一回の飲み会”として今も続いています。取材を通して『派遣の子たちを励ましたい』『スカッとさせたい』という思いが募り『ドクターX』が生まれたと、中園は誕生秘話を口にしています。そしていつの日か、彼女たちのために『ハケンの品格』の続編を作りたい。その思いは、中園自身の悲願でもあったはずです」(制作会社プロデューサー)

脚本家・中園ミホには、ドラマへの”特別な思い”がある。

「10歳で父親を、19歳で母親を亡くし、記憶がないくらい辛かった時に自分を支えてくれたのが倉本聰、山田太一、向田邦子といった脚本家が手掛けたドラマ。『フィクションがないと生きていけなかった』『ドラマには、人のピンチを救えるような力がある』と、中園は当時を振り返り述懐しています」(前出・制作会社プロデューサー)

中園自身も人生に踏み迷った時、原点であるドラマに救われている。

「大学卒業後に広告代理店に入社した中園は、わずか1年3か月で退社。その後、コピーライター、四柱推命の占い師などの職業を経験して34歳の時、未婚のまま長男を出産。この時、脚本家で生きていく決心を固めています」(放送作家)

逆境の中、‘95年に中山美穂が未婚の母を演じる月9ドラマ『For You』(フジテレビ系)で全話平均視聴率20%を越え注目を集めると、『Age,35 恋しくて』『やまとなでしこ』『スタアの恋』(共にフジテレビ系)、『anego[アネゴ]』(日本テレビ系)などヒットドラマを連発して人気脚本家の仲間入りを果たしている。

主演女優・篠原涼子と脚本家・中園ミホの並々ならぬ思いから13年ぶりに甦った『ハケンの品格』。だが、初回平均世帯視聴率14.2%と好発進を見せるも、第2回の視聴率は11.9%と2.3ポイントダウン。この展開を危険視する声もある。

「第1話は視聴者の注目度も高くスタッフも全力投球するために、視聴率は良くて当たり前。今後の視聴率の推移を占う意味でも、大切なのは第2回の視聴率。ここで視聴者を満足させることができないと回を追うごとに視聴率はしりつぼみになる可能性が高い」(前出・放送作家)

第2話の視聴率は、しりつぼみ前兆なのか。それとも第3話以降の壮大な巻き返しのための助走期間なのか。13年ぶりに復活した『ハケンの品格』は、早くも正念場に差し掛かっているのかもしれない。

  • 取材・文島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

  • PHOTO等々力純生

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