豪雨の季節!「ハザードマップ」の見方「気象情報」の活かし方

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

梅雨の終わりの豪雨に注意。避難するタイミングは?

これからの季節に気をつけたいのが気象災害だ。特に梅雨の後半は集中豪雨が発生しやすく、河川の氾濫や浸水、土砂災害などが起こりやすくなる。このような気象災害から身を守るためには、信頼性のある情報を取得して、適切な判断をし、行動することが大切になる。そのような判断はどのように行えばよいのだろうか。

2018年6月28日から7月8日にかけて、台風7号と梅雨前線等の影響による集中豪雨が西日本を中心に北海道や中部地方を含む全国的に広い範囲に被害を及ぼした

梅雨前線付近で次々と発生する積乱雲が、集中豪雨を引き起こす

雨の日が増えて、どうもすっきりしない梅雨空。しかし、梅雨は終わりの方になると雨の降り方が変わり、しばしば集中豪雨に見舞われる。このような集中豪雨を引き起こす犯人は積乱雲だ。

単体の積乱雲は、1時間程度で消えてしまう。夏の夕立による大雨が1時間程度でやむことが多いのもそのせい。しかし、集中豪雨では激しい雨が数時間程度続く。これは、同じ場所で積乱雲が発生しては消え、発生しては消えというのを繰り返すからである。太平洋高気圧からの高温多湿な空気が梅雨前線に向かって供給され続けるため、前線付近で積乱雲が次々と発生しやすくなるのだ。

集中豪雨は、河川の増水や洪水、浸水、そして土砂災害を引き起こすきっかけとなる。

記憶に新しいのは、2018年7月に起こった西日本豪雨だろう。この豪雨による犠牲者は200名を超え、平成では最悪レベルの災害となった。災害というと地震を思い浮かべる人が多いと思うが、気象災害も決して油断をしてはいけないのである。

日ごろから、「安全な避難行動」のためにハザードマップを確認しておこう 

だが、地震と気象災害には大きな違いがある。それは事前に予測できるかどうかだ。つまり、あらかじめ信頼のおける情報を入手して、適切な行動をとれば、被害は最小限に抑えられるということなのだ。

被害を抑えるための行動として普段から心がけておきたいのが、自治体で配られているハザードマップに目を通すことだハザードマップには、土砂災害警戒地域や洪水浸水想定区域が着色されている。自分の住んでいる場所や職場がそこに該当しないかどうかをあらかじめチェックし、もし該当している場合は警戒レベル3(警報や後述の危険度分布の赤色表示、氾濫警戒情報などが出たとき)が出たら原則として自宅の外へ避難する必要があると考えよう。

ハザードマップには近くの避難所がどこにあるかもわかる。いざ避難するときにどこへ行けばよいのか、どの経路を通ればよいかをあらかじめ考えておきたい。避難経路を考える際、土砂災害や浸水が起きやすい場所はなるべく迂回するようことが大切である。

特に「アンダーパス」と呼ばれる場所は要注意だ。アンダーパスとは、道路や線路などが立体的に交差する際に、地下に潜るような形で交差している場所のことを指す。このような場所では、大雨が降ったときに冠水しやすく、冠水時に車で進入するとエンジンが動かなくなって立ち往生する可能性がある。水位が上昇すれば車から脱出できなくなることもあるため、非常に危険だ。アンダーパスの場所もハザードマップに記載されているので、必ず避難経路から外すようにしよう。できれば安全な日に現場を歩いてみることもおすすめしたい。「こんなところ、全然冠水しそうにないんだけど……!」と意外に思うはずだ。

チャックしたいのは気象庁ホームページの「今後の雨(降水短時間予報)」と「雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)」

天気予報で雨が予報されているのであれば、気象庁のホームページにある「今後の雨(降水短時間予報)」をこまめにチェックすることをおすすめする。このページでは、今までの降水状況と、15時間先までの1時間ごとの降水量分布を予測したものが表示されている。6時間先までの降水量予測は10分ごとに、7時間先から15時間先までの降水量予測は1時間ごとに更新される。雨がいつ頃、どのくらいの強さで降るのかを把握するのに役立つ。

さらに、今まさに大雨が降っているのであれば、このページの「雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)」のタブもチェックしたい。こちらは「今後の雨」よりもきめ細やかな予報で、5分ごとの60分先までの降水強度分布の予報がわかる。

今の雨雲は黄色い太線で囲まれており、今後黄色い細線の方向に移動する可能性が高いので、今近くにある雨雲が今後どの方向に流れていくのかもわかる。「今後の雨」で1日の雨の様子を把握し、いざ雨が降り出したらこちらでよりきめ細やかな予報を確認するとよいだろう。

気象庁のホームページにある「雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)」の画面。今の雨雲は黄色い太線で囲まれており、今後黄色い細線の方向に移動する可能性が高いので、今近くにある雨雲が今後どの方向に流れていくのかもわかる(出典:気象庁HP)

さらに、雨が降り続くようなら、「危険度分布」のタブもチェックしたい。ここには「土砂災害」「浸水害」「洪水」の三項目があり、今まさに自分の居場所がどのくらい危険なのかが表示された色ですぐにわかる。それを見れば自分はどんな行動をとればよいのかの判断材料になるはずだ。ここでもし赤色が出れば「警戒レベル3」相当となり、地元の自治体が避難準備・高齢者等避難開始を発令する目安となる。ハザードマップで土砂災害警戒地域や洪水浸水想定区域に住んでいる人も原則として自宅の外に避難する必要がある。

気象庁のホームページにある「危険度分布」の中の「洪水」の画面。洪水の危険度を5段階に色分けして表示している。3時間先までに警報基準に到達すると予想される場合は赤色で表示される(出典:気象庁HP)

「withコロナ」の今年は、避難と「密」の兼ね合いを考えた判断が必要

さて、避難の判断はどうすればよいだろうか。 

大雨が降った場合、自治体からは避難勧告が発令されるが、実際にどのように避難するかは各自で判断する必要がある。家族に小さな子どもや病人、高齢者がいる場合と、そうでない場合では避難にかかる時間や手間は違うからだ。

また、避難勧告が夜に発令された場合、外に出るとかえって危ないこともある。その場合、2階以上の場所に上がる「垂直避難」を検討するのもよい。「避難」とは必ずしも避難所に行くことだけを指すものではないのだ。

特に今年は、新型コロナウイルスの感染予防のための「密」を避ける行動との兼ね合いで、なるべく避難所に行きたくないと思う人も多いことだろう。

内閣府の防災情報ページには「災害時には危険な場所にいる人は避難することが原則です」と前置きしたうえで、下記の5つのポイントを挙げている。

  • ・安全な場所にいる人まで避難場所に行く必要はない
  • ・小中学校や公民館だけでなく、安全な親戚や知人の家に避難することも考える
  • ・避難時にはマスク・消毒液・体温計も携行
  • ・避難場所が増設・変更になっている場合があるので自治体ホームページであらかじめ確認
  • ・豪雨時の野外の行動は車を含め危険。車中泊をする場合は浸水しないよう周囲の状況を確認すること

熱中症対策もそうだが、今年は新型コロナウイルスの感染予防というあらたな要素が加わるため、いつもよりも細やかな判断が必要になる。

これからは、避難所も「ニュー・ノーマル」への備えが必要になってくる。写真は、2018年の西日本での記録的豪雨時の避難所の様子

危機が迫っているときは、「自分だけは大丈夫」という「正常化の偏見」と呼ばれる心理状態になりやすい。しかしそれは根拠のないことなので、普段からの備えと非常時の的確な判断が必要である。

ハザードマップポータルサイト~身のまわりの災害リスクを調べる~インターネット上からはこちらから探すことができる

■「今後の雨(降水短時間予報)」はコチラ

  • 取材・文今井明子(いまいあきこ)

    サイエンスライター。京都大学農学部卒。気象予報士。得意分野は科学系(おもに医療、地球科学、生物)をはじめ、育児、教育、働き方など。『Newton』『AERA』『東洋経済オンライン』『暦生活』『Business Insider Japan』などで執筆。著書に『天気と気象の特別授業』(共著、三笠書房知的生き方文庫)、『異常気象と温暖化がわかる』(技術評論社)がある。気象予報士として、お天気教室や防災講座の講師なども務める。

Photo Gallary4

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事