投資のプロが分析!ウィズコロナ時代に狙う有望業界&銘柄60
10万~50万円 予算別にオススメ
新型コロナウイルスは私たちの生活だけでなく、株式市場をも変えてしまった。絆アセットマネジメント代表の小沼正則氏がこう話す。
「新型コロナ感染症の特効薬ができない限り、あと1年くらいは『ウィズ・コロナ』時代が続くでしょう。かつてのような生活様式には戻らず、テレワークも定着し、外食や出張なども減ると思います。そういう状況下で、株式市場は、値上がりする銘柄と、そうでない銘柄に二極化しています。世界各国が金融緩和を実行し、カネ余りであっても、コロナ禍で景気がよくなるわけではないので、株式市場全体が上値を追っていくという展開は考えにくいのです」
つまり、これまで以上に、銘柄選択が重要になるというわけだ。今回は、予算別にオススメ銘柄を掲載。10万円の特別定額給付金も徐々に支給が進み、勤め先によってはボーナスが出るだろう。懐具合に応じて、投資銘柄を研究してほしい。
一斉休校が追い風に
新型コロナ感染症では病院が感染のクラスターになったため、今後はオンライン診療が伸長していくと見られる。経済アナリストの中原圭介氏が言う。
「MRTは、遠隔診療・健康相談アプリ『ポケットドクター』が注目を集めています。メドレーは調剤薬局向けオンライン服薬指導支援システム事業を9月から開始すると発表。医師専用コミュニティサイトを運営するメドピアはオンライン医療相談などのサービスを手掛け、これらの企業は、オンライン診療の拡大とともに業績を伸ばしていく可能性が高い」
オンライン化が進めば、医療データが蓄積され、ビッグデータ化が進む。これを牽引しそうな企業が、メディカル・データ・ビジョンだ。
「医療機関や製薬会社向けに診療・投薬など、蓄積された医療データを提供しています。医療のビッグデータを構築し、創薬や病院経営に役立てる。この分野はまだ始まったばかりなので、将来性に期待できます」(証券アナリストでTIW社長の藤根靖晃氏)
今回のコロナ禍では、学校が休校になったため、オンライン教育のニーズも格段に高まった。投資情報会社ラカンリチェルカ会長の村瀬智一氏は、オンライン英会話のレアジョブに注目する。
「学校はようやく再開されましたが、授業の遅れを取り戻すのは容易ではありません。とくにこの4月から小学校高学年で英語教育が必修になるはずでしたが、これがまったく進んでいない。英語教育に不安を感じている親も多く、家庭で子供がオンライン英会話を利用するケースも増えるでしょう」
新型コロナ感染防止銘柄
日常生活では、テレワークや食事のデリバリーがすっかり定着した。今後もこの流れは続きそうだ。
「ウェブ会議やウェブセミナーなどを提供するブイキューブはテレワークの代表的な銘柄です。利用企業は5000社を超え、すでに高値水準なので、いったん株価が下落する調整局面を待ってから買いたい」(フィスコマーケットレポーターの高井ひろえ氏)
「飲食デリバリー仲介サイトの出前館は過去3四半期連続で赤字を計上し、上場維持が危ぶまれていたところ、今年3月にLINEグループと資本提携して息を吹き返しました。ウィズ・コロナ時代は外食が避けられ、出前のニーズが増えるので、株価は右肩上がりと見ています」(マーケット・ウォーク代表の鮎川良氏)
経済活動が徐々に再開されているが、その条件として新型コロナウイルスの感染防止が重要視されている。株式ジャーナリストの天海源一郎氏が言う。
「感染防止のためか、最近になって『空気』への関心が高まってきました。そこでイチオシが、空調工事大手の大気社です。この業界ではなんと言ってもエアコンで世界トップのダイキン工業ですが、購入するには170万円程度の資金が必要です。そのダイキン工業が6月30日に年初来高値を更新したので、病院向け空調を手がける大気社や、エアコンが主力の富士通ゼネラルも期待できます」
ウィズ・コロナ時代は、これまで以上にインターネット上の通信量が増え、さらに次世代移動通信規格5Gの普及も本格化していく。
「半導体業界は、さらに需要が高まっていきます。しかし、半導体関連銘柄は10万円程度では買えません。そんななか、SUMCOと新光電気工業の株価は1000円台で、15万円前後で購入可能。どちらも一株2000円くらいまでの値上がりが期待できます。とくに新光電気工業は、5G関連の生産力を増強させ、純利益3倍を見込んでいるため、さらに上がるかもしれません」(前出・小沼氏)
ウィズ・コロナ時代の「新常態」をいち早くキャッチすることが、株式投資のセオリーとなりそうだ。
『FRIDAY』2020年7月17日号より
- 撮影:鬼怒川毅
- 写真:時事