苦戦・篠原涼子『ハケンの品格2』と『ドクターX』の決定的な違い | FRIDAYデジタル

苦戦・篠原涼子『ハケンの品格2』と『ドクターX』の決定的な違い

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『ハケンの品格』は大ヒットだったが続編は苦戦の篠原涼子。これから巻き返せるか(18年3月撮影)
『ハケンの品格』は大ヒットだったが続編は苦戦の篠原涼子。これから巻き返せるか(18年3月撮影)

伝説の大ヒットドラマが13年ぶりに帰ってくる、ということで大いに注目を集めていた『ハケンの品格2』(日本テレビ系)。新型コロナウイルスの影響もあって放送開始は遅れたが、自粛期間中に再放送されたパート1は高視聴率を獲得。完全に「つかみはOK」状態でスタートしたパート2だったが、蓋を開けてみると視聴率のわりにすこぶる評判が悪い。その理由で圧倒的に多いのが、とにかく「リアリティがない」というものだ。

物語は、篠原涼子(46)演じる時給3500円のスーパー派遣・大前春子が、ハイスペックなスキルで、派遣を見下す正社員たちをガツンとやり込めていく、というもの。脚本は前回と同じく、『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系/2012~2019年)シリーズなどで知られるヒットメーカーの中園ミホ(60)だ。

第1話では、セクハラを訴えた女性派遣社員が逆に会社から「言いがかりだ」と追いつめられ、クビにされそうになったところを春子が電動のこぎりでドアをぶっ壊し、救出。その後、仕事に戻った春子は、ロシアのクライアントに七厘で炙ったアジの開きを提供し契約交渉も成功する。

続く第2話では、春子は社員から新商品企画のプレゼンをしてほしいと頼み込まれる。普段は「派遣の分際で」と言っている社員たちに、春子は「派遣は言い切れませんが」と反論。わざと「~という商品になっていま……」と語尾を濁したり、「弊社」の「社」を省き言い切らない。そのことに気付いた社員が、春子が言わない部分を言い切り何とかプレゼンに成功する、というストーリーだった。

そして直近放送回の第3話は……。会社がコスト削減のため食堂のスーパーアルバイトのクビを切ったところ、社外でも評判だったカレーの味が劇的に落ちる。そこにSNSの動画炎上やバイトテロ、社員の副業問題なども絡んできて会社は大ピンチに陥るのだが、やはり春子がスーパースキルで救う、という展開だ。

アジの開きで交渉成立!?

このような振り切った派遣の描き方に、視聴者の評価は総じて辛口だ。「毎回ストーリーが荒唐無稽すぎ」、「炎上の原因となる動画を流した当の社員が食堂でカレーを満喫。普通ならクビでしょ」、「アジの開きで交渉成立とか、あんなプレゼンでOKとか、あり得ん……」などなど。

しかし同じリアリティのなさなら、米倉涼子(44)が天才外科医を演じた『ドクターX』にも当てはまることだ。どちらも主人公は組織に属さず、高いスキルを武器に生きる一匹オオカミ。既存の組織や古い体質の人間を、圧倒的な実力でバッサリ斬っていく。そして方や「私、失敗しないので」というセリフのもと、不可能と言われる手術も全て成功させる腕を持ち、方や、危険物取扱者から助産師まで、どんなシーンにも対応できるほどの多数の資格を持っている。リアリティのなさでは全く同じなのだ。

なのになぜ『ドクターX』は高い支持を得続け、『ハケンの品格2』は受け入れられなかったのか? 芸能記者たちに聞いてみた。

「最大の違いは、舞台となっている世界が身近かそうでないか、にあると思います。『ドクターX』の舞台は大学病院。多くの人がその内情を知りませんし、医者というだけで尊敬の念を抱きがち。大門未知子のようにものすごい手術スキルを持っている人もいるかもしれないと、一抹のリアリティを感じるのではないでしょうか。

対して『ハケンの品格』の舞台は会社です。おそらく多くの視聴者は、その雇用形態はともかく会社という場で働いた経験があるのではないでしょうか。当然派遣の存在も大なり小なり目にしているため、『自分が知っている派遣事情と違う!』とツッコミを入れたくなるのだと思います」

また別の芸能記者は、わき役の演技力の差も指摘している。

「リアリティのないお約束の痛快もの作品の場合、リアリティのある作品以上に役者の演技力や存在感が重要になってきます。『ハケンの品格2』も主演の篠原涼子さんは健闘していると思うのですが、『ドクターX』と違う点はわき役の物足りなさ。

『ドクターX』が西田敏行さん(72)や岸部一徳さん(73)など大ベテラン陣が脇を固めているのに対し、今回の『ハケン』はメインのわき役がドランクドラゴンの塚地武雅さん(48)や小泉孝太郎さん(41)。若手も『誰?』というような存在ばかりで、正直、篠原さん一人に依存している状態。これではさすがに苦しいでしょう。ただ次回から、パート1で人気だった東海林武役の大泉洋さん(47)が帰ってくる。再び春子と東海林のコミカルな掛け合いが見られると多くの視聴者が楽しみにしているようなので、そこに期待したいですね」

伝説のドラマの復活が大泉洋一人の肩にかかっているというのもどうかと思うが、ここは素直に、次回を楽しみに待ちたいと思う。

  • 取材・文奈々子

    '72年生まれ。愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。タレントのインタビュー、流行事象の分析記事を専門としており、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライター

  • 撮影等々力純生

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