コロナ禍「走り屋の聖地」にあのスポーツカーが集結した理由
7月7日の「七夕」の夕刻、首都高速大黒線にある「大黒パーキングエリア」に、日本を代表する、あるスポーツカーがどこからともなく続々と集まってきた。マツダがかつて販売していた「RX-7」だ。
毎年この時期には全国各地でRX-7が集まるイベントが開催されているが、大黒PAに集まる「セブンの日」(SEVEN’S DAY)は、ユーザークラブが主催するイベントでもなければ、オフ会でも、集会でもない。1989年にオープンし、今や海外のテレビ番組も取材に訪れるほど有名な『車好きの聖地』での自由な集まりはもう30年近く続いているのだ。取材のために滞在した約2時間半で100台近いRX-7を目撃。この日も関東近郊だけでなく、島根から訪れたオーナーもいた。
近年、アメリカを中心に世界中で90年代の日本製スポーツカーの人気が急上昇している。そのブームを作った映画「ワイルド・スピード」シリーズの3作目TOKYO DRIFTに登場する『VeilSide RX-7 Fortune7』(ヴェイルサイド フォーチューンセブン)と同じ仕様がこちらの2台だ。
映画登場モデルのオレンジの車のオーナー、トモキさんは弱冠21歳。愛車は5月に納車されたばかりで価格は500万円超だったそう。
「どこから見てもカッコイイ!ずっと憧れだった車を手に入れて毎日楽しい。車があるから仕事も頑張れます!」
車もオーナーもイケメンのトモキさんだが、彼女ナシ。今は女の子よりも車に夢中なのだ。
隣に並ぶ白いRX-7 Fortuneのオーナーで、歴代のRX-7はほぼすべて所有してきたという”アラフィフ”のショウさんはこう続ける。
「ロータリーエンジンが好きなんです。あの速さとパワーが魅力です。大黒の『セブンの日』には25年近く前から何度か来ています。かつてはマナーが悪い人もいたんですが、ショップなどの呼びかけによって、迷惑行為や不正改造による騒音などはほとんどなくなりましたね」ちなみに毎年の事ではあるが、この日も大黒PAに多数の改造車が集まることを警戒したのか、パトカー数台と首都高速のパトロールカーが出動。入口近くで検問を行っていた。お約束通り20時半に閉鎖となり、その後、集まったRX-7の多くはアクアラインの「海ほたる」に移動していった。
ライバルはフェラーリ?
- 取材・文:加藤久美子
- 撮影:加藤博人
自動車生活ジャーナリスト
山口県下関市生まれ。大学卒業後は日刊自動車新聞社に入社。その後、フリーへ。『くるまのニュース』『AUTOCAR JAPAN』『ベストカー』などの自動車メディアへの寄稿も多く、年間約300本の自動車関連記事を執筆している。