集中豪雨でクルマが水没してしまったら?真っ先にやるべきこと

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今回の豪雨により被害に遭ったクルマ(熊本県人吉市)。酷い状態だが、このまま廃車にする前にできることはある 写真:AFP/アフロ

7月上旬、九州を中心に日本全国を襲った集中豪雨は、想定をはるかに超えた大規模な洪水や土砂崩れを引き起こし、各地に甚大な被害をもたらした。水害の報道は、破損した家屋をスローズアップすることが多いが、生活の“足”であるクルマが失われることも被災者にとって大きな問題だ。今回の水害では、九州全域でじつに2万2000台におよぶクルマが被害に遭ったという。

もし愛車が水害の被害に遭ってしまった場合、私たちはどうすればいいのだろうか。

クルマやバイクは、水没するとエンジンや電気系統がすぐにやられるため、文字通り一瞬のうちに止まってしまう。そうした水没車はほとんどの場合「全損」、つまり完全に壊れた状態になってしまうのだ。また、一度水に濡れてしまったクルマは大変厄介なもので、一日経過するごとにボディにサビが浮いてくる。夏場はシートにしみ込んだ水がすぐに腐敗し、カビが生えてくる。

全損したクルマは商品としての価値がゼロなので、たとえ年式が新しい車であっても、下取り価格はほとんどのケースでゼロ。修理をして再度乗るには、エンジンやシートなどをすべて取り換えなくてはいけないため、百万円単位の出費を覚悟する必要がある。

愛車が水害で全損した場合、まず確認すべきは自動車保険である。そもそも水害に自動車保険は使えるのか?

答えはYES。条件を満たした「車両保険」をつけていれば、車両保険の金額を上限にして保険金の支払いがあるのだ。万一保険証券が流されてしまった場合も、契約した保険会社に問い合わせれば調べてもらえる。

一方、車両保険をつけていないクルマには、残念ながら保険金は下りない。修理代も買い替え費用も、すべて自分で負担しなければならない。

横転した軽自動車(熊本県球磨村)。水害に対応する車両保険に入っていないと、莫大な金銭的負担を背負うことに…… 写真:ロイター/アフロ

愛車をスクラップする前にすべきこと

道路をふさいだまま、エンジンがかからなくなった水没車は、被災地の交通インフラの復旧を妨げる要因のひとつにもなるため、早急に撤去処分しなければならない。そんな中、「車両保険も掛けてないし、もうあきらめるしかない……」と、早々に愛車をスクラップに回してしまう人は多い。

しかし、ちょっと待ってほしい。車両保険に入っていなくても水没車でお金が入ってくる場合がある。

じつは中古車流通業界の中には、水没車の買い取りに力を入れている会社が複数あり、過去の実績を見てみると、水没車が、意外に高額で買い取られているケースもあるのだ。一例をあげてみよう。

下の写真のクルマは、増水した川の水が車内へ浸水し、青いラインまで水没してしまった2018年式のトヨタ・プリウス。

修理見積は200万円。修理をあきらめてスクラップにする場合は、ほとんど値が付かないどころか、逆に手数料を請求される場合もある。

しかし、水没車専門の買い取りを依頼したところ、45万円で売却できたという。

2018年式のプリウス。青い線まで水没してしまったのだが…… 写真提供:株式会社タウ

ところで、なぜ「価値がゼロ」の水没車が売れるのか?

じつは、日本ではまったく値打ちのない水没車や事故車は海外に送られている。日本車は海外での人気がとても高く、「再生車」(同じ種類のクルマのパーツを寄せ集めて再度一台の動くクルマを作ること)、「スペアパーツ」(ひとつひとつの部品が商品になる)、「鉄資源」(ボディなどが鉄として再利用される)の3つの方法でリユース・リサイクルされ、外国で新たな命を吹き込まれるのだ。

実際に、再生車として諸外国に輸出された多くの車は、現地で元の姿に修復され、再びクルマとして利用されている。車両保険をつけていない被災者にとっても、また、日本車を求めている海外のユーザーにとっても、これはうれしいサイクルだ。

「今回の水害で特に被害の大きいとされる熊本県内に、引き取った車両を一時的に保管しておくための『臨時モータープール』を用意し、10名以上の社員を現地へ配備しました。また当社のホームページでは、必要事項を打ち込むだけで愛車の売却金額の目安をつかむことのできる『水害車売却シミュレーター』を用意しています」(株式会社タウ広報部)

「水害車 買取」といったキーワードで検索すると、以下のようにさまざまな買い取り会社が出てくる。

「水害車売却シミュレーター」(タウ)

水没車買い取り

廃車買取.com

数社から売却価格の見積もりをもらって比較してみるといいだろう。

岐阜県下呂村で被災したクルマ。クルマを奪われると被災後の生活復帰がより困難になる AFP/アフロ
水没したクルマ(福岡県久留米市)。エンジンなどが水につかるとクルマはまったく動かなくなってしまい、商品としての価値もゼロ 写真:AFP/アフロ
熊本県人吉市。被災したクルマは交通インフラ復旧の妨げとなるが、焦って廃車にしてはいけない 写真:ロイター/アフロ
7月8日、熊本県人吉市。今回の大水害では2万2000台ものクルマが水没したとみられる 写真:ロイター/アフロ
  • 取材・文柳原三佳

    交通事故、冤罪、死因究明制度等をテーマに執筆。著書に『開成をつくった男、佐野鼎』『自動車保険の落とし穴』「焼かれる前に語れ』など多数。https://news.yahoo.co.jp/byline/yanagiharamika/

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