大混乱「香港の中国化」が日系企業にもたらすもの

すでにデモ参加者370人が逮捕。現地の日本企業1400社の情報は中国に筒抜けに

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7月1日、銅鑼湾で機動隊に拘束されるデモ参加者たち。警察が催涙弾で市民を制圧する様子も目撃されている 写真:毎日新聞社/アフロ

「国家安全維持法は外国人でも、香港に足を踏み入れれば適用されるので、私自身も言動には注意するようになりました。最近は当局に顔を知られたくないと、友人たちはFacebookのプロフィール画像を真っ黒にしています」(香港在住ジャーナリスト・富谷瑠美氏)

昨年から1年以上にわたって続いている「香港デモ」。6月30日の深夜、ついに、中国が香港に対し『香港国家安全維持法(国安法)』を導入した。その中には民主化を求めるデモをテロ活動とみなすとの内容も含まれており、実際に維持法施行以降、すでにデモ参加者が370人以上も逮捕されている。

今回の施行によって香港の「中国化」はさらに進み、日本にも大きな影響を及ぼすことになる。『香港デモ戦記』の著者でジャーナリストの小川善照(よしあき)氏はこう解説する。

「香港の銀行家は、香港が国際的な金融センターとしての地位を失ったと嘆いています。また、いまは中国当局が市場の株価を買い支えて暴落を防いでいるものの、それも長くは続かないと見ているようです。現地の日本企業の駐在員も香港がアドバンテージを失うことを危惧しています。アメリカなどの『西側諸国』からの制裁措置によってこれまで通りの条件で取引ができなくなるため、大幅な利益ダウンにつながりかねないからです」

さらに約1400社ある日系企業の情報が中国へ流出する危険性もあるという。そうなれば株価の変動どころの騒ぎではない。

「国家安全維持法によって、香港でも中国と同じレベルで政府による通信傍受が可能となります。そのため今後、日系企業の香港支社から、情報が抜き取られることがあるかもしれません。その情報から香港の民主派勢力との関わりを疑われたり、少しでも中国を批判する内容のやり取りが見つかったりすれば、その社員が国安法違反で逮捕されるということも懸念されます」(前出・小川氏)

前出の富谷氏はこんな話を明かす。

「知り合いの香港人から、どうやったら日本に移住できるのか相談されました。札幌に行きたいのだけれど、給料はいくらぐらいか、と」

実際に、香港にある海外移住を斡旋(あっせん)する業者には、日本への移住希望者が詰めかけているという。香港からの移住者が、日本を舞台に民主化を求めるデモを起こす……近い将来、そんな光景が見られるかもしれない。

火炎瓶によって火が付いたのだろうか。デモ隊によって設置されたバリケードが燃え上がる様子に、機動隊がカメラを向ける 写真:AFP=時事

『FRIDAY』2020年7月24日号より

  • 写真毎日新聞社/アフロ、AFP=時事

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