マンガ大賞2020受賞『ブルーピリオド』作者のアトリエに潜入!

美大受験を描き大人気の異色マンガ 東京藝大出身の作者・山口つばささんインタビュー

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山口つばささんの自宅兼仕事場。「月の前半にネームを描いて、後半に作画するというスケジュールです」

マンガ好き選考委員が「人に薦めたくなる作品」を選ぶ「マンガ大賞」。13回目となる今年、大賞に選ばれたのが異色の美術マンガ『ブルーピリオド』(講談社『月刊アフタヌーン』連載中)だ。

高校2年生の主人公・矢口八虎(やとら)が美術の魅力に目覚め、日本で最も競争率の高い超難関・東京藝術大学を目指す――。色相環、視線誘導、マチエール(絵肌)などの専門用語が飛び交う、この「美術スポ根」物語の作者は、山口つばささん。実は、自身が東京藝大現役合格というスゴイ経歴の持ち主なのだ。

「主人公は、天才芸術家とか、絵しか取り柄のない人物でなく、読者と距離が近い人物像にしたいという思いがありました。だから八虎は、秀才だけれど決して天才ではないキャラクターにしています。そのせいか単行本が出た時などに共感した、という声をいただけて、とても嬉しいです。美術って〝才能〟だけで通用する世界に思われがちですが、ちゃんと考えて、努力して作品を作っているんだということを描きたいと思っています。

連載開始にあたって、わかりやすいタイトルにしよう、と。アートといえばピカソ、ピカソなら〝青の時代〟かな、と考え、現在のタイトルになりました」

山口さんは、子どもの頃から絵を描くのが好きで、都立芸術高校という美術や音楽を重視した高校に進んでいる。

「周囲には自然と美大を目指す空気があったんですが、私は将来のビジョンがまったく浮かんでいなくて。私立美大の推薦入試を受けて落ちてしまい、浪人覚悟で藝大を受けたんです。だから合格した時は、それはもう驚きましたね。その頃のことも思い出しつつ進めていたら、『ブルーピリオド』では、受験話は3巻で終わるはずが、倍の6巻かかってしまいました。私自身、凡人なので、その凡人的感覚は大事にして描いているつもりです」

藝大では、在学中から課題にマンガを提出するようになったという。

「2年生に上がる時に、将来が不安で、ある教授に相談したんですが、『僕が初めて給料を貰ったのは40歳ぐらい。だから好きなことをやったほうがいいよ』と言われ、マンガの道に進むと決めました。藝大では展示の仕方などは講評してもらいましたが、内容については特に何も。 

マンガ大賞をいただき累計100万部も達成しましたが、軌道に乗っているとは思っていません。私の好きなお笑い芸人の有吉弘行さんが、7000万円の貯金が9年でなくなった、という逸話を明かしていますが、自分も気が気じゃない(笑)」 

『ブルーピリオド』では、今後、日本と世界のアートシーンの違いなど、さらに広い舞台も描いていく予定だ。タイトルと同じ青い壁に囲まれたこの部屋から、八虎のさらなる冒険譚が生まれる。

FRIDAYデジタルでは、『ブルーピリオド』第1話の試し読みを公開中!

マンガはコチラ→『ブルーピリオド』【一筆目】絵を描く悦びに目覚めてみた

「マンガ大賞」の授賞式でも披露した被り物で。「作品にノイズを入れたくないと思って」素顔は非公表
『ブルーピリオド』を形づくるこんなモノたち

『FRIDAY』2020年7月24日号より

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