「ラピュタの島」として人気の観光地に大量のゴミが漂着の怪
世界中で深刻化しているプラゴミ問題の縮図がここに。レンガ造りの廃墟群が「ラピュタの島」として人気の観光地
7月1日、全国の小売店でプラスチック製レジ袋の有料化がスタートした。「コンビニにマイバッグを持っていくのが面倒」「袋詰めに時間がかかる」など、現場の事情を顧みない政府主導の制度に批判が噴出しているが、もろ手を挙げて賛成している「島」がある。
大阪湾の出口、紀淡海峡に浮かぶ4つの無人島からなる友ヶ島(和歌山県)。戦時中に使われたレンガ造りの砲台や弾薬庫といった廃虚群が、名作アニメ『天空の城ラピュタ』の世界を彷彿(ほうふつ)とさせるとして人気の観光地だ。
和歌山市・加太(かだ)の港から船で20分ほど。濃い森で覆われた友ヶ島は、まさにインスタ映えする美しさである。しかし、島の北側に回り込むと、そこにはゴミ、ゴミ、ゴミ……。レジ袋やカップ麺の空き容器、発泡スチロールなどが大量に浜辺に散乱している。加太観光協会会長の稲野雅則氏が言う。
「友ヶ島は大阪湾から太平洋への流れを塞(ふさ)ぐように東西に横たわっているため、大阪や兵庫など関西圏から出たゴミが大量に流れつくんです。昔は材木ゴミ程度だったんですが、最近はプラスチックが増えた。腐らないから片付けるしかありませんが、掃除しても掃除してもなくならない。
友ヶ島は瀬戸内海国立公園内にある。観光立国を目指しておきながら、国立公園がこれでは、世界中から笑われてしまいますよ。レジ袋有料化でも何でも、ゴミが減るなら大賛成。反対している人は、一度でいいから友ヶ島の現状を見に来てほしいです」
「ラピュタの島」と呼ばれる一方で、裏側はゴミの山。小さな友ヶ島には、世界の観光地のゴミ問題がそのまま表れているのである。
『FRIDAY』2020年7月24日号より
- 撮影:加藤慶(1枚目)
- 写真:毎日新聞社/アフロ