プロ野球、良くも悪くも「こんなハズじゃなかった」選手たち

開幕から約20試合、各球団にいる「意外な男」をピックアップ!

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6月25日の阪神戦で代打逆転3ランホームランを放った西浦直亨(ヤクルト)。右は打たれた藤川球児(阪神)

シーズンの約6分の1が消化した今年のプロ野球ペナントレース。セ・リーグでは阪神、パ・リーグではオリックスと関西の2球団が出遅れたが徐々に調子を上げており上位と下位の差は詰まってきている。一方で個人に目を移すと、開幕前の予想とは大きく異なる成績となっている選手も少なくない。そこで今回は現時点で期待を裏切っている選手を悪い意味、良い意味の両面から取り上げたいと思う(成績は7月12日終了時点)。

まず悪い意味で期待を裏切っている選手だが、セ・リーグはほぼ全ての球団が抑え投手に苦しんでいる状況だ。開幕時点で抑えを任せられながら不振に陥っている投手と成績を並べてみると以下のようになった。

山崎康晃(DeNA):7試合 0勝1敗4セーブ0ホールド 防御率4.05
藤川球児(阪神):5試合 0勝2敗2セーブ0ホールド 防御率15.75
スコット(広島):5試合 0勝2敗0セーブ0ホールド 防御率21.00
岡田俊哉(中日):10試合 0勝2敗3セーブ1ホールド 防御率6.23
石山泰稚(ヤクルト):10試合 1勝1敗4セーブ1ホールド 防御率4.66

リリーフ投手は投球回数が少ないため、シーズン序盤は失点すると防御率が高くなってしまうことは珍しくないが、ここまで揃って抑えが機能していないことも珍しい。既にスコットと岡田、藤川の三人については抑え投手の座を剥奪(はくだつ)されている。またセ・リーグで唯一安定していた巨人のデラロサも左脇腹の肉離れで7月6日に登録抹消となったが、代役として指名された澤村拓一も主に中継ぎでここまで防御率6.43と安定感を欠くピッチングが続いている。勝敗に直結するポジションなだけに、どのように抑えを整備するかが、今後のペナントレースの行方を大きく左右することは間違いないだろう。

セ・リーグの野手では近本光司(阪神)が苦しんでいる。巨人との開幕3連戦でわずか1安打に終わると、その後も昨年までのような鋭い打球は鳴りを潜め、打率はいまだ1割台に低迷。いわゆる“2年目のジンクス”にはまりかけている状態と言える。リーグトップタイの5盗塁をマークしているのは救いだが、打撃については足に頼らずに強く振る姿勢をどこまで取り戻せるかがポイントになりそうだ。

パ・リーグの投手では日本ハムのエース、有原航平(日本ハム)がここまで4試合に先発して0勝3敗と苦しんでいる。開幕戦は6回まで西武打線を相手に被安打4で3失点と試合は作ったものの援護に恵まれず、また7月10日のオリックス戦では7回を無失点に抑えて勝利投手の権利を得て降板したものの、リリーフ陣が逆転を許して勝ちを逃した。内容的にはそこまで悪いわけではないが、ローテーション的にも相手チームのエースと当たることが多く、このまま0勝の状態が続くと焦りに繋がることが心配される。まずは早い段階で今季初勝利を挙げたいところだ。

パ・リーグの野手では長年ソフトバンクを支えてきた内川聖一と松田宣浩が大きな岐路に立たされている。内川は練習試合で結果を残せずに、ソフトバンク移籍後は初の開幕二軍スタートとなった。一方の松田も開幕からサードで出場し続けてはいるものの、ここまで打率1割台と不振に苦しんでいる。内川はようやく二軍で結果を残し始め、松田も7月10日に今シーズン1号を放つなど調子は上向いてきてはいるものの、デスパイネとグラシアルの外国人野手二人の来日時期も迫っており、苦しい状況は続きそうだ。

その一方で開幕前の予想を良い意味で大きく裏切っている選手の筆頭となると堂林翔太(広島)になるだろう。オープン戦、練習試合から好調を維持して実に6年ぶりとなる開幕スタメンを勝ち取ると、ここまでリーグトップとなる打率をマークする活躍を見せている。7月8日のDeNA戦では1点ビハインドの8回裏に起死回生の逆転満塁ホームランを放って試合を決めてみせた。後輩の鈴木誠也からのアドバイスが奏功したと言われているが、この調子が続くようであれば鈴木とともに打線の核として期待できそうだ。

セ・リーグの野手でもう一人驚きの活躍を見せているのが西浦直亨(ヤクルト)だ。規定打席には到達しておらず打率も2割台後半ではあるものの、ここまで放った10本のヒットのうち5本がホームランであり、長打率も7割を超えているのだ。これはもし規定打席に到達していれば鈴木誠也に次ぐリーグ2位の数字である。7月9日の中日戦で腰を痛めて途中交代となったのは心配だが、ソフトバンクに移籍したバレンティンの穴を埋める意外な伏兵として今後も注目したい。

パ・リーグで意外な活躍ぶりを見せているのが若月健矢(オリックス)だ。ここ数年間は正捕手としてホームを守り続けているが、昨年は打率.178に終わっている。ところが今シーズンは開幕から好調を維持しており、チームでは主砲の吉田正尚に次ぐ打率をマークしているのだ。ジョーンズロドリゲスの新外国人選手二人の状態も上向いてきているだけに、若月が下位からチャンスを作れる存在となれば、今後更に得点力アップも期待できそうだ。

なかなか予想通りにいかないのは毎年のことではあるが、今年は変則日程ということもあって、例年以上に不確定要素が多いシーズンとなっている。そんな中で今回取り上げたような意外な活躍を見せる選手が今後も更に登場してくることを期待したい。

  • 西尾典文(にしお・のりふみ)

    スポーツライター。愛知県出身。’79年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究(PABBlab)」主任研究員。

  • 写真時事通信社

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