主要俳優の死亡3人目…ドラマ『glee』の呪いはいつまで続く | FRIDAYデジタル

主要俳優の死亡3人目…ドラマ『glee』の呪いはいつまで続く

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フィン役:コリー・モンティス(アルコール・麻薬の過剰摂取死)、パック役:マーク・サリング(児童ポルノ所持、自殺)、サンタナ・ロペス役:ナヤ・リヴェラ(水難事故)。主要俳優3人が不幸な死を遂げ、キャストの不仲でも騒がれる…。傑作ドラマを次々と襲う「gleeの呪い」は、いつ終わるのか?

人気ドラマ『glee/グリー』でサンタナ・ロペス役を演じた女優ナヤ・リヴェラが、7月13日、カリフォルニア州ベントゥーラ郡のピルー湖で遺体となって発見された。33歳だった。

ナヤは7月8日の午後、4歳の息子ジョージーくんとこの湖を訪れ、ボート遊びをしているときに水難事故に遭った。ボートを貸し出した業者が予定時刻になってもナヤたちが戻らなかったことから湖を捜索したところ、ジョージーくんだけを乗せたボートが漂流しているのを発見。

ジョージーくんが「湖で一緒に泳いでいたけれど、ママが戻ってこない」と語ったことから、水中で溺れた可能性があるとして大規模な捜索活動が行われていた。

2019年2月に撮影されたナヤ・リヴェラと息子のジョージーくん。ジョージーくんは怪我もなく無事だった。写真:AFP/アフロ
2019年2月に撮影されたナヤ・リヴェラと息子のジョージーくん。ジョージーくんは怪我もなく無事だった。写真:AFP/アフロ
ナヤの遺体が発見されたピルー湖には、ナヤの父ジョージさん(右)とジョージーくんの父親でナヤの元夫の俳優ライアン・ドーシー(左)の姿が。写真:Backgrid/アフロ
ナヤの遺体が発見されたピルー湖には、ナヤの父ジョージさん(右)とジョージーくんの父親でナヤの元夫の俳優ライアン・ドーシー(左)の姿が。写真:Backgrid/アフロ

ナヤは1987年にカリフォルニア州サンタクラリタで生を受け、0歳のころからモデル事務所に所属。4歳のころには子役としてテレビドラマに出演し始めたものの、なかなか芽が出なかったが、2009年スタートの『glee/グリー』でブレイク。当初はセリフもほとんどない脇役だったが、実力と人気が認められて主要キャストに昇格。同作は彼女の代表作となった。

ドラマがフィナーレを迎えた2015年の翌年、ナヤは『ソーリー・ノット・ソーリー:ドリームス、ミステイクス、アンド・グローイング・アップ』なる自伝を出版。高校時代に陥った拒食症のこと、18歳のころに受けた豊胸手術、『glee/グリー』出演中の中絶体験、共演女優のリア・ミシェルとの確執など、波瀾万丈な半生を赤裸々に綴った。この自伝は「もはや暴露本」とも評されたが、過激でありながらも素直で正直なナヤの人柄を表した1冊だったといえる。

2016年9月13日、「暴露本」と評された自伝のブックサイン会に出席したナヤ・リヴェラ。写真:Splash/アフロ
2016年9月13日、「暴露本」と評された自伝のブックサイン会に出席したナヤ・リヴェラ。写真:Splash/アフロ

そんなナヤの出世作『glee/グリー』は、のちにドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』も手掛けた売れっ子クリエイター、ライアン・マーフィーによるミュージカルドラマだ。高校のグリークラブ(合唱部)を舞台に、テレビドラマとしてはいち早く、LGBTQ+や人種差別、障がいなどのマイノリティにスポットをあてるなど、多くの社会問題を取り扱った。

ナヤが演じたサンタナは、女優のヘザー・モリス演じるブリタニーの恋人。ドラマで高校生の同性カップルが登場したのは、この作品が初めてだったともいわれている。

社会的意義のある貴重な作品であったにも関わらず、同作では放送中から現在に至るまで、キャストによるトラブルが絶えなかった。また、ナヤを含め、主要キャストが3人もこの世を去っていることから、ネット上では「glee」と検索すると「呪い」というワードがサジェストされる騒動に発展している。

主要キャストの死、相次ぐ降板に人種差別騒動……gleeの呪い?

最初に亡くなったのは、フィン役を演じたコリー・モンティスだ。まだ作品が最終回を迎える前の2013年のことで、死因はヘロインとアルコールの過剰摂取だった。コリーは当時、作中でも恋人同士だった女優のリア・ミシェルと交際中で、荒れた私生活をリアが支えていたことものちに判明。また、ナヤが発見された7月13日はコリーの命日であり、ファンたちは「コリーがナヤを見つけてくれた」とふたりを偲んだ。

2012年8月12日、ラブラブな様子で「glee」の撮影現場に現れたコリー・モンティス(右)と恋人のリア・ミシェル。この約1年後にコリーは亡くなった。写真:Splash/アフロ
2012年8月12日、ラブラブな様子で「glee」の撮影現場に現れたコリー・モンティス(右)と恋人のリア・ミシェル。この約1年後にコリーは亡くなった。写真:Splash/アフロ

2人目の死者は、パック役を演じたマーク・サリング。『glee/グリー』終了後、大量の児童ポルノ所持により逮捕され、有罪判決を受けるという問題を起こしていたマークは、2018年1月に自宅付近で首を吊って亡くなっている。ちなみに、ナヤはドラマでの共演をきっかけにマークと交際していた時期があり、浮気性なマークにフラれたことを自伝で明かしている。

第69回ゴールデングローブ賞(2012)、アフターパーティーでのマーク・サリング(右)とコリー・モンティス。写真:Shutterstock/アフロ
第69回ゴールデングローブ賞(2012)、アフターパーティーでのマーク・サリング(右)とコリー・モンティス。写真:Shutterstock/アフロ

主要な出演者のうち3人が若くして亡くなったことは悲劇的だが、それぞれの死に作品が直接的に関係しているわけではない。むしろ、ドラマ制作の裏側で繰り広げられた、キャスト同士の不和のほうがよほど深刻だった。人気出演者のコード・オーバーストリートディアナ・アグロンが途中で降板したときも、キャスト同士の諍(いさか)いに疲れ果てたせいだと噂された。

中でも有名だったのが、ナヤが自伝でも語った、レイチェル役を演じた女優リア・ミシェルとの不仲だ。同作の出演により大ブレイクを果たしたリアは、作中のキャラクターの影響を受けたのか、普段からディーヴァ(ワガママで横柄な態度)で、ナヤだけでなく、ほかの共演者たちをも困惑させていたという。リアはゲスト出演したハリウッド女優のケイト・ハドソンに対しても威張り散らし、ケイトが「彼女との共演はまさに悪夢」とまで語ったと囁かれている。

『glee/グリー』の撮影風景。ナヤ(前列左)とリア(前列右)、一度は降板するもシーズン3で復帰したコード・オーバー・ストリート(後列)。写真:FameFlynet/アフロ
『glee/グリー』の撮影風景。ナヤ(前列左)とリア(前列右)、一度は降板するもシーズン3で復帰したコード・オーバー・ストリート(後列)。写真:FameFlynet/アフロ

最近では、ミネアポリスで起きた白人警察官による黒人男性殺害事件を受け、リアが「二度と起きてはいけないこと」と人種差別に抗議するツイートをしたことに対し、『glee/グリー』のシーズン6に出演したアフリカン・アメリカンの女優サマンサ・ウェア

「マジで笑える。(中略)あなた、みんなの前で、わたしのウィッグに“ウンコしてやりたい”って言ってたじゃん。トラウマものの自覚なき差別のおかげで、わたしはハリウッドでキャリアを築くことに疑問を抱いたんですけど」

と指摘。数人の共演者たちがサマンサの投稿に“いいね”をしたことから、どうやらリアの人種差別的行動は日常的だったようだ。

サマンサ・ウェアはTwitterでの告発後、リアにどんな嫌がらせを受けていたかを米『Variety』誌で具体的に語り、波紋を呼んだ。写真:REX/アフロ
サマンサ・ウェアはTwitterでの告発後、リアにどんな嫌がらせを受けていたかを米『Variety』誌で具体的に語り、波紋を呼んだ。写真:REX/アフロ

そんな背景もあり、ナヤの行方不明が報じられると、リアのもとには、「ナヤではなくあんたが行方不明になるべきだった」「ナヤの代わりにあんたが消えて」などのヘイトコメントが殺到。これらの心ないコメントに対して共演者のアンバー・ライリー

「少しは敬意を払って。(中略)どうか、ナヤと彼女の家族にフォーカスして。わたしたちのことは今、どうだっていい」

と苦言を呈したものの、リアはツイッターアカウントを削除してしまった

ドラマが終了したあと、ナヤとリアの関係は改善していたとも言われている。リアが妊娠を発表したとき、共演者の中でいの一番に祝福のコメントを寄せたのはナヤだったのだ。また、共演を「悪夢」と言い放っていたケイト・ハドソンが、コリーが亡くなった直後にマスコミから追われたリアを自宅に匿い、励まし支えたことも明らかになっている。間違いや失敗もあるが、リアは救いようのない悪人ではないはずだ。

「glee」シーズンプレミア(2012年)でのリア(右)とケイト・ハドソン。写真:Splash/アフロ
「glee」シーズンプレミア(2012年)でのリア(右)とケイト・ハドソン。写真:Splash/アフロ

ナヤが水難事故に遭ってしまったことは、リアとは無関係だ。ナヤの死、リアの人種差別、サマンサの告発のいずれも切り離して捉え、それぞれの問題を独立して考えることが、『glee/グリー』の悲劇を終わらせるための一歩となるのではないだろうか。

  • 原西香(はら あきか)

    海外セレブ情報誌を10年ほど編集・執筆。休刊後、フリーランスライターとして、セレブまわりなどを執筆中

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