『あざとくて何が悪いの?』プロデューサーが分析する大反響の秘密

いよいよ第三弾の放映!そしてさらに・・・!

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『あざとくて何が悪いの?』の担当プロデューサー、芦田太郎氏

人気バラエティ特番『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日系)の第三弾が7月25日(土)に放送されると聞いて、不安な日々が続く中、心が躍った。テレビを普通の人よりもよく見ているオタクの私が、久々に周囲に、

「この番組面白いから見たほうがいいよ」

と、勧めてしまう番組だからだ。出演は名前を並べるだけで期待が募る、田中みな実、弘中綾香。そして男性陣からは山里亮太、ゲストに千葉雄大という絶妙なバランスを担保した4人組。番組中“あざと女”に対して、言いたい放題の女性陣を山里がフォローするという縮図を想像するだけでも笑いに落ちる。

女性の第六感を刺激する番組構成、そして出演者の好フォーメーション。これらを思いついたのは、どんな人物なのか。テレビ朝日の担当プロデューサー、芦田太郎氏へ話を聞きに行くことにした。

入社12年目、35歳会社員のトライアルが導くもの

テレビ局の番組プロデューサーをインタビューするというのは、いつも緊張してしまう。そこには同じような業界で地続きに存在しているとはいえ、普通の会社員。でも一般人には想定し難いエキセントリックさがあるから、面白い番組を生み出している存在だ。歩みより方に迷う。

私は“話を聞き出す”というタイミングで、いつも相手に(心の中で)敬礼するところから始めている。でも普通の人に対して、それではやり過ぎではないか……と悶々とする中で、開始時間が迫ってきてしまった。

「よろしくお願いします」

サイドにファスナーがついた、パイナップル柄のトップスというセンスのツボを突くいでたちで、プロデューサーの芦田氏は登場した。軽くまとめると好印象と、軽さのバランスが非常にいい。他にも挨拶の仕方や「ここ、他誌でも撮影していますけどいいですか?」という気遣いなのか、ツッコミなのか分からない指摘、それから撮影されることに対する慣れなさ。

面会から数分後、ちょうどよく彼のパーソナル情報として相まったところで、インタビューが始まった。今日は面白くなりそうな予感がする。

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――『あいつ今何してる?』というゴールデンタイムの番組を手がけながら、敢えて23時以降の番組を制作した理由を教えてください。

僕、今年35歳になるんですよ。ここ4〜5年ほど担当している『あいつ今何してる?』は毎週水曜の19時放送で、同世代はほとんどテレビを見ていない時間帯なんです。会社員のキャリアとして、23時以降の番組で自分よりももっと若い世代に寄せて、当てたい気持ちがあったんです。『あざとくて何が悪いの?』はそこから始まりました。

――第一回、第二回の反響があったから第三回の放送に至ったんですよね。

そうですね、反響があって第一回、第二回の放送で助走をしてきた気分です。でも「やってみたら、バズっちゃった!」というものではなくて、そこには準備や、やれば何か熱狂のようなものが生まれる自信はありました。話題性があって、SNSでとトレンド化するような何かがあればと。その話題性が田中みな実さんだったんですよね。そもそもこの番組は彼女ありきで作られたようなものですから。

――彼女の名前と、あざといという言葉を並べられたら観たくなります。

彼女が地上波で、コーナーではなくてメインで話す舞台を僕が作りたかったんです。彼女に何を掛け算したら面白くなるのか、を考えました。過去には、そういう(あざとい)女の人を批判したり、悪口を言う番組がたくさんあります。でもあざとさを肯定した表現をしている番組はない。では、その体現者になるのは誰だろうと考えると田中みな実さん以外に思いつかなかったんです。彼女は自分で男性の前で「計算している」と言いますし、あざといことを処世術にしている貴重なタイプです。

――そこに弘中アナという、またこちらも自分の価値観で生きている女性が加わった。

田中みな実さんが1人では番組を回しきれない。でもウチ(テレビ朝日)しかできないことで、田中さんに大きな掛け算をしていくといったら弘中しかいないですよね。僕は社内の先輩という立場から彼女のことを見ていると、今は油が乗り切っている感じです(笑)。忖度も計算もしないで思うままに生きている雰囲気。この強烈な2人をうまくコントロールしながら魅力を引き出すのは山里さんしか思いつかなかったです。

「あざとさに気づく男性は高レベルです」

――この序盤だけの話を聞いていると、芦田さんが田中さんの熱狂的ファンで実現したような番組に聞こえます。(笑)

ファンなんですかね? でも個としての魅力は絶対に自分が引き出したいと思っています。テレビでは、ですけどね。

――私はこんなインタビューまで企画するくらいなので、田中さんのファンですよ。きれいになるために、売れるために努力しています、と各所で明言している人は近年では珍しく貴重な存在ですよね。だから女性支持も受けた。そんな彼女をイメージして制作した“あざと女”ですけど、番組を見ている限りでは男に媚びていると映りました。

ほう……。でも僕は“媚び”ではなくて、あざとさは高度なコミュケーション論のひとつだと思って、いい意味で台本を書いています。あからさまに「この人とつき合いたい♡」とアピールしてくることや、露骨なボディタッチは媚びだと思いますけどね。でも、あざといは周囲にどれだけ気づかせないようにやるものかなって。

――周囲にいる女は気づいていますけどね(笑)。でもここまで芦田さんがおっしゃることを反芻すると、あざといという言葉が褒め言葉に聞こえてきました。

僕は褒めているつもりですけど、視聴者が「この女ムカつく!」ならそれでいいんです。ただ作る側まで批判ベースでは面白いものができないから、ということは出演者のみなさんには伝えています。

――出演者の女性お二人も、あざと女の再現ドラマを見ながら、本音で『あざといボタン』をバンバン押すということですね。

本音なんじゃないですか? どうですか? 彼女たちなりに計算したものが入ってくることもありますけど、ただの悪口って言う時もありますからね。(笑)でも悪口の割合だけは気をつけようね、って。悪口が7割になってしまったら、よくある番組になっちゃいますから。

――放送1時間以内で、芦田さんから見て出演者のベストオブ突っ込みはどなたですか?

難しいんですけど……弘中じゃないですかね。彼女、全く打算がなくて、反射神経がいいんですよ。田中みな実さんは、見せ方を考えてから自分を押し出してくる。でも弘中の反応の良さは、アナウンサーという職業の中ではかなり特殊な気がします。それに全く自分が進行していない番組は今回が初めてなんじゃないでしょうか。

文明の力を使いながらあざとさも多様化

――7月25日放送の第三回について話は戻ります。ここを見てほしい、というところを教えてください。

コロナ禍だからこそのネタが詰まっています。再現V T Rにするネタはアンケート会社にもお願いしますけど、今回は番組スタッフの使えるだけのツテを使って、『zoom』で全然知らない人と、オンライン飲み会に20回くらい参加しました。他には作家さんやいろいろな人からの情報が詰まっていますけど、どんどんあざとさも進化していくのが面白いです。

――例えばどんな進化がありますか?

今までは飲み会や、大人数がいる場所であざとさを駆使して、狙った相手をどうにかするというのが(再現ドラマの)主流でした。でも今は飲み会ができないから、若者はマッチングアプリを使うんですね。いきなり、そこで夜っぽいデートではなくて、散歩に行くらしいです。散歩なら密にならないし、ボディタッチもないし。そこでいろいろ自分の踏み絵的なものを撒いて、相手の本気度を見極めるらしいですけど、数年前には考えていなかったなって。そんな内容が第三回には詰まっています。

――あざとさも時代に沿っていくんですね。

コミュニケーションが多様化しているんじゃないかなって。ネタを集めていくと、『zoom』で飲み会をしながら個別チャットをして相手にアプローチしている人もいるんですよ。あざとさも文明の力を使って、進化していくんじゃないかとスタッフとも話していました。

――もう“あざとさ”は褒め言葉を超えて、憧れになってきたような気がします。

(嬉しそうに)ホントですか。

――あざと女はムカつくけど、ああいう行動に出てみたいと思う女性が多いから番組があるんですよね。男性は番組を見て勉強したり、喜んだり。

『あざとくて何が悪いの?』はいろいろな人と一緒に見てほしい番組なんです。こういうご時世ですから『zoom』で繋ぎながら、「俺は許せる」「私は無し!」といろいろな意見が飛び交ってほしいなって思っています。番組は一方向だけを示していないですし、共感してもらうツボは同じだったら面白くないですから。

『あざとくて何が悪いの?』ついにレギュラー化!10月から毎週土曜日に放映させることが決まった

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芦田氏の質問に対する回答は、バラエティ番組を作ることに取り憑かれてしまった男子による、夏休みへの宣誓のようだった。全て明快で分かりやすい、でもそこにはギラギラした狙いが垣間見えるなあと思いながら、帰り際に

「この番組が風物詩ではなくてレギュラー化したらどうなるんでしょう?」

と聞いた。個人的には『あざとくて何が悪いの?』が毎週見られるなら、録画は必死である。テレ朝で販売してくれたらあの『あざといボタン』も購入して、テレビに向かって「わかる〜〜!!」と思い切り話しかけながら、楽しむと思う。

「レギュラーになったらなったで、あの三人がいればどうにかなると思うんですよね。あざとく生きる女性に密着するとか、切り口はたくさんあると思います」

芦田氏がそう言ってしばらくした後、『あざとくて何が悪いの?』が10月よりレギュラー化、毎週土曜21時55分から放送されると発表があった。そうか、あの時ちょっと私から視線を離して、話していたのは……? なるほど、そういう理由かと、一番のあざとさは番組のプロデューサーに宿っていたと納得した。今夜の放送も、秋も待ち遠しい。不安な渦に包まれた日々に楽しみがやっと増えた気がする。

芦田太郎
『あざとくて何が悪いの?』の演出・プロデューサーを務める。『関ジャニの仕分け∞』『関ジャム完全燃SHOW』etcでディレクターを担当し、現在『あいつ今何してる?』『探シタラTV』も演出・プロデューサーを兼任中の、新番組制作が常に期待される若手クリエイターである。

  • 取材・文小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

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