田沢純一の入団で注目!独立リーグは貴重な再チャレンジの場

大学や高校を中退した選手に再びチャンスを与える側面も!

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2013年、セットアッパーとしてボストン・レッドソックスのワールドシリーズ制覇に貢献し、上原浩治(左)とともにトロフィーを掲げる田沢純一

7月10日、レッズから自由契約となっていた田沢純一がルートインBCリーグ(以下BCリーグ)の埼玉武蔵ヒートベアーズに入団することが発表された。

田沢は社会人野球からNPBの球団を経由せずにアメリカに渡り、メジャー通算388試合に登板して21勝、4セーブ、89ホールドをマークし、レッドソックス時代にはワールドシリーズ制覇も経験している。しかしドラフト1位確実だった田沢がアメリカに渡ったことで、日本球界は有望な選手が引き抜かれることを恐れ、田沢のようにNPBを経ずにアメリカに渡った日本のアマチュア選手はアメリカの球団を退団しても、高校生の場合は3年、大学生と社会人の場合は2年経たないとNPB球団と契約できないといういわゆる“田沢ルール”を制定。そのこともあって田沢はプレーの場を求めて、国内の独立リーグを選択することとなったのだ。

田沢ルールの是非については今回は触れないが、BCリーグからのオファーは田沢にとっても非常にありがたかったことは間違いないだろう。メジャーでここまで実績のある日本人選手が国内の独立リーグでプレーするのは初めてのことだが、NPB経験者は決して少なくない。

一昨年は村田修一(元巨人)、昨年は西岡剛(元阪神)が話題となったが、今シーズンも成瀬善久、若松駿太(BCリーグ栃木)、片山博視(BCリーグ武蔵)、乾真大(BCリーグ神奈川)、正田樹(四国アイランドリーグ愛媛)などがプレーしている。

過去には三家和真(ロッテ)、岩本輝(元オリックス)など、一度NPBを戦力外となった後に独立リーグで結果を残して再度NPB復帰を果たした例もある。藤川球児(阪神)もアメリカから帰国した2015年はシーズン途中から地元でもある四国アイランドリーグの高知でプレーし、翌年から阪神に復帰を果たした。オフに行われている12球団合同トライアウトでも、独立リーグでプレーしている選手が毎年参加している。そういう意味では一度戦力外になった選手の再チャレンジの場としては、もはやなくてはならない存在とも言えるだろう。

そして独立リーグで再チャレンジに挑んでいるのは、元NPBの選手だけではない。高校や大学を中退した選手も多くが独立リーグに活躍の場を求めているのだ。

その代表例とも言えるのが昨年のドラフト8位で西武に入団した岸潤一郎である。岸は明徳義塾時代、1年から甲子園に出場し注目される存在で、拓殖大に進学後も入学直後からリーグ戦にも出場していたが3年時に退部してそのまま大学も中退。一時は野球から離れていたが、四国アイランドリーグの徳島で活躍して見事にドラフト指名を勝ち取った。

今年は他のカテゴリーと比べても独立リーグの公式戦のスタートが早かったこともあって、筆者は例年以上に現場に足を運んでいるが、現在プレーしている選手でも大学を中退してプレーを続けている選手は非常に多い印象だ。

中でも今年のドラフトで有力候補となりそうなのがBCリーグの福島でプレーしている鈴木駿輔だ。

鈴木は聖光学院時代に甲子園で活躍し、青山学院大でも早くから投手、野手の二刀流で活躍していたが、昨年中退して福島に入団。長身から投げ下ろすストレートはコンスタントに140キロ台後半をマークし、変化球も大学時代と比べて大きくレベルアップしている。今年で22歳と大学に在学していれば4年生となる年齢だが、今年豊作と言われている大学生の有力候補と比べても決して見劣りしないだけの実力とスケールを備えている。

BCリーグ福島の鈴木駿輔。ドラフトでの指名があるか?

また四国アイランドリーグの徳島に所属している戸田懐生は東海大菅生の2年時にエースとして甲子園に出場し、チームの準決勝進出に大きく貢献。しかし最終学年に学校を退学し、昨年から徳島でプレーしている。こちらも小柄ながら躍動感溢れるフォームが持ち味で、ドラフト候補に名を連ねている。

彼らは独立リーグがなければ、そのまま野球から離れてしまった可能性は高いだろう。

そんな貴重な再チャレンジの場となっている独立リーグだが、経営については苦しいチームも少なくない。昨シーズン終了後にはBCリーグの福井の運営会社が経営難から解散となり、今年からは新会社が設立されてチーム名も変更となっている。

更に新型コロナウイルスの影響で無観客での開幕となり、ようやく観客を入れるめどが立ったところで四国アイランドリーグ高知の選手から陽性者が一人発見されたというニュースも飛び込んできた。今後も球団存続が危ぶまれるケースも出てくることは十分に考えられる。

しかし現在の野球界を考えた時に、独立リーグが果たす役割は年々大きくなっていることは間違いない。一人でも多くの選手に活躍の場を与えるためにも、近くに球団のある野球ファンはぜひ独立リーグの試合にも足を運んでもらいたい。

  • 文・撮影(鈴木駿輔)西尾典文(にしお・のりふみ)

    スポーツライター。愛知県出身。’79年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究(PABBlab)」主任研究員。

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