金正恩 コロナ感染拡大のなか「2日連続でブチ切れた」理由 | FRIDAYデジタル

金正恩 コロナ感染拡大のなか「2日連続でブチ切れた」理由

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党や軍の幹部を激しく叱責することが多くなった金正恩氏。悪いニュースの連続でイライラがたまっているようだ。画像:アフロ
党や軍の幹部を激しく叱責することが多くなった金正恩氏。悪いニュースの連続でイライラがたまっているようだ。画像:アフロ

北朝鮮の金正恩委員長が怒りまくっている。『コリア・レポート』編集長の辺真一氏が語る。

「正恩氏は7月18日に行われた党中央軍事委員会拡大会議に出席しましたが、終始不機嫌で、参加者を怒鳴り散らしていました。正恩氏の専属女性アナウンサーが伝えた3分34秒の映像をチェックすると、眉間にシワを寄せ激高したようにまくし立てる場面が何度もあったんです。手の指で卓上を叩き、会場の軍人を何人か立たせるシーンもあった。正恩氏が激怒する映像が流れるのは、極めて異例です」

音声が消されているので、正恩氏が何を問題視していたのか不明だ。辺氏は「おそらく軍の規律の乱れに怒り心頭なのでしょう」と推測する。最近、軍ではワイロや女性兵士への性行為強要が頻繁に行われているからだ。

「ただ、こうした不正は軍の現場から正恩氏に報告されることはありません。正直に報告すれば、自ら『統制能力がありませんでした』と言っているようなものです。担当者はスグに処罰されますよ。正恩氏は毎日のように外国の報道をチェックしています。同会議の直前には、米国CNNのインタビューで脱北者が軍の規律の乱れについて赤裸々に話していました。おそらく正恩氏は、この報道を見て真実を知り激怒したのでしょう」

翌日になっても正恩氏の怒りは収まらない。7月19日に平壌総合病院の建設現場を視察。現場の幹部たちを「設備、資材の調達などすべてが遅れている」と激しく叱責したのだ。

「平壌総合大学の建設は、10月10日の党創建75周年に完成を目指す肝いりのプロジェクトです。正恩氏としては、何がなんでも実現させたい。しかし経済制裁や中国との貿易減少などで、資金不足に陥っています。にもかかわらず今年3月の着工から、わずか数ヵ月で作れという突貫の工程なんです。現場はムリを強いられていますが、正恩氏の叱責で青くなっているでしょう。16年にスッポン工場を視察した際、正恩氏は現場の衛生状況に激怒。支配人が即銃殺されたといわれていますから」(韓国紙記者)

無茶な工程で労働者20人死亡

病院建設が急がれるのには理由がある。

北朝鮮は、新型コロナウイルス感染者はゼロと主張してきた。だが実際は、国内で感染は拡大している。中国との国境警備隊では、180人以上がコロナのような症状で死亡。7月24日には韓国との国境近くの開城市で、感染が疑われる事例が出たとして同市を完全封鎖している。拡大防止するためにも、平壌総合大学を完成させ医療体制を強化したいという狙いがあるのだ。

強引な建設で、負担を強いられるのは末端の人民だろう。『デイリーNKジャパン』編集長の高英起氏が話す。

「病院の建設費は毎月、各世帯から現金で徴収されています。現金以外にも後方支援のためとして、ブタなどの家畜を寄付するよう強要された人もいるようです。

そもそも人民は、コロナ蔓延下で当局が商売を禁じておきながら配給も出さず、病院建設の資金を押しつけられていることに強い不満を感じています。影で正恩氏を批判する人の数も、日に日に増えている。正恩氏は幹部を『人民の負担が重くなっている』と叱責したそうですが、人民の怒りをなだめる方便と受けとめられているようです」

無茶な工程がたたり、病院の建設現場では労働者が転落するなど20人以上が命を落としているという。

軍の規律の乱れ、経済停滞、コロナ感染拡大ーー。相次ぐ悪い知らせに、正恩氏のイライラは募るばかり。現状を打破するために肝いりプロジェクトをゴリ押し、人民の生活はさらに逼迫している。

  • 撮影KNS/KCNA/AFP/アフロ

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