コロワイド創業者が30億円被害に遭った「M資金詐欺」驚愕の手口

令和になって被害が急増中。謳い文句は「GHQが接収した秘密資金を提供できる」

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マッカーサーの側近だったウィリアム・フレデリック・マーカット少将。「M資金」の生みの親とされる(諸説あり) 写真:時事通信

M資金――。終戦後、GHQが占領下の日本から財宝や資産を接収した秘密資金。数兆円とも数十兆円とも言われるその資金は後に日本政府に返還され、経済発展のために特別に選ばれた経営者に極秘に提供されている。M資金のMは、GHQ経済科学局第2代局長であるウィリアム・マーカット少将に由来する。云々。

令和の時代とは到底思えない、巨額詐欺事件が明らかになった。神奈川県警が今年6月11日に詐欺容疑で逮捕したのは、武藤薫(66)、飯田正志(79)、五十嵐文昭(59)の3容疑者。「秘密資金2800億円を提供する人を紹介できる」などと謳(うた)い、神奈川県在住の70代男性から1億3000万円を騙し取ったという。

「立件された1億3000万円のほか、この70代男性は’17年9月~’18年12月にかけて、約31億5000万円を支払ったとされています。主犯格の武藤容疑者は、元財務省事務次官で現在は五輪組織委員会事務総長を務める武藤敏郎氏の甥っ子を自称しており、ファッションプロデュースの会社の代表も務めていました」(全国紙社会部記者)

30億円超という桁(けた)外れの大金を得体の知れない「M資金」に支払ってしまった70代の被害者男性とは、何者なのか。

「株式会社『コロワイド』の蔵人金男(くろうどかねお)会長。『甘太郎』『牛角』『しゃぶしゃぶ温野菜』など、誰もが知っている有名飲食店を複数抱える、東証一部上場の大型外食チェーンの創業者です。最近も、定食チェーン『大戸屋』に買収を仕掛け、話題になっています。コロワイドを一代で築き、神奈川県逗子市内に大豪邸を構える蔵人会長は、財界でも有名な超がつく資産家です」(同前)

そんな立志伝中の人物が「M資金」なんぞに騙されたとは驚きだが、むしろ詐欺グループはこういった人物にこそ狙いを定めているという。経済事件に詳しいジャーナリストの伊藤博敏氏が解説する。

「詐欺グループがターゲットにするのは、経営者の〝孤独〟です。事業拡大のための資金繰りに苦心しているが、誰にも相談できない。詐欺グループは、そんな孤独な経営者に1兆円2兆円という莫大な金額を持ちかける。桁外れの額だからこそ騙せるのです。経営者からしてみれば、数億や数十億という額であれば、自分で調達できる。日頃から数千億というカネを動かしているからこそ、経営者たちは『それだけのカネがあれば日本一になれる』と思ってしまうのでしょう」

すぐに「1兆2兆」というカネを提示するM資金詐欺グループは、兆と丁をかけて業界で「豆腐屋」と呼ばれているという。豆腐屋たちは、巧妙な手口で孤独な経営者を信じ込ませていく。

「経済ブローカーらを通じてターゲットに近づき、まずは面談を申し込みます。面談は必ず1対1で、都内の高級ホテルや瀟洒(しょうしゃ)なレンタルオフィスを使う。そこで、財務省や金融庁などと書かれた数千億円の『還付金残高確認証』や預金通帳のコピーを見せます。『特別に選ばれた人物だけが資金提供を受けられる』などと言って、経営者の自尊心をくすぐるのも忘れない。信用を得られたと確信したところで、手数料の話を持ち掛ける。5000億円なら、手数料1%でも50億円ですからね。後から騙されたと思っても、企業イメージに傷がつくと考え、泣き寝入りする経営者は少なくありません」(警視庁捜査関係者)

M資金詐欺師は100人ほどいるとされ、さまざまなグループを形成して「天皇家の資産」や「フリーメイソンの隠し財産」など手を替え品を替え詐欺を働いているという。令和に入り、IT時代になったことで逆に、アナログな手口に騙される経営者が急増しているのだ。

武藤容疑者は「武藤敏郎五輪組織委事務総長の甥っ子」を自称していた。しかし武藤事務総長は本誌の直撃に「まったく知らない」と困惑気味に語った
武藤容疑者が住んでいたとされる港区の高級マンション。騙し取ったカネはここの家賃や海外旅行に当てていたという
コロワイドの蔵人金男会長。同社は本誌の取材に、「特にコメントすることはございません」と回答した

『FRIDAY』2020年7月31日・8月7日合併号より

  • 写真時事通信(マーカット少将、蔵人会長)撮影結束武郎(武藤事務総長)、等々力純生(建物)

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