長瀬智也「鬼カッコいい」常識外アイドルがソロで勝負しないわけ | FRIDAYデジタル

長瀬智也「鬼カッコいい」常識外アイドルがソロで勝負しないわけ

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実物の長瀬智也は鬼カッコいい(らしい)。

10年ほど前のこと。ソロで長瀬智也を取材した友人のライターが、取材後にしみじみと感想を漏らしていた。「外タレも含め、今までいろんな人を取材したけど、ノリも含めたカッコよさでは長瀬くんが一番かもしれない」と。

184センチの長身と彫りの深く整った顔立ちだけでも、芸能人屈指のレベルの高さ。それに加え、気取りが全くないフレンドリーな明るさで、取材現場は終始笑いに包まれていたのだそうだ。「記事に書けるとか書けないとかはお構いなしの本音を、(好物の)いちごミルクを飲みながら楽しそうに話してくれて、その男っぽさと可愛さのギャップにキュンキュンした」のだという。

2021年3月をもってジャニーズ事務所を退所することを発表した長瀬智也
2021年3月をもってジャニーズ事務所を退所することを発表した長瀬智也

ソロでもアリーナクラスを満席にする“辞めジャニ”たち

ジャニヲタの筆者にしてみれば、TOKIOの本業は、農業ではなくバンドである。今回、長瀬智也のジャニーズ退所報道を受けて、彼の俳優としての才能を惜しむ声はあちこちから聞こえてくるが、長瀬の音楽の才能に言及する記事はほとんどない。でも、彼がジャニーズを退所する決意をした一番の理由は、山口達也の退所によってTOKIOとしてバンド活動ができなくなったことだと推察される。好きなバンドができないなら、ジャニーズにいる意味がない、と。

そんなに音楽が好きなら、ソロでやればいいではないかと思う人もいるだろう。現に、長瀬は2009年にソロでMTV Unpluggedに出演し、番組のために5曲の新曲を書き下ろしている。 NEWSを脱退した山下智久は、俳優業だけでなく音楽活動も順調だし、木村拓哉だって、ソロコンサートは大成功を収めている。

辞めジャニに関して言えば、赤西仁、渋谷すばる、錦戸亮らは、数万人ものファンクラブ会員を抱え、アリーナクラスを満席にさせる動員力を持っている。ただ、ソロになってもやっていけるのは、「〇〇くんがやりたいことを応援したい」という熱狂的なヲタクを多く抱えているタレントだけで、たとえ長瀬がジャニーズに所属のままソロとして活動を始めたところで、大した動員は見込めなかっただろう。

TOKIOというアイドルグループの特殊性は、“アイドルの本業=音楽”以上に、バラエティやドラマでの人気が先行してしまったことにある。

1994年にデビューし、紅白に24回連続で出場していながら、TOKIOのファンクラブ会員数は、12万人に満たない。26年間の活動のなかで、途中抜けしたファンも多くいてのこの数字だから、実際には5万人もいたかどうか。20年選手とはいえ嵐が300万人、2018年5月にデビューしたKing&Princeが50万人越えという数字を考えると、いかに、TOKIOが知名度の割に、「コンサートに行きたい!」と思わせるようなジャニヲタを獲得できていなかったかがわかる。

TOKIOが“ヲタクファン”を巻き込めなかった理由

「しょうがないよ。だってファンは歌って踊るアイドルが見たいんだから、TOKIOみたいなバンドは不利」という意見もあるだろう。ただ、バンドオンリーではないが、バンド主体の関ジャニ∞は、ファンクラブ会員数だけなら、ジャニーズでは嵐の次に多い70万人台だ。ドームでの公演を数多く開催しているKinKi Kidsだって、堂本光一がソロで華麗なダンスを踊ることはあっても、二人で“振り付け”以上のダンス的なものを披露する場面はほとんどない。

TOKIOが、ヲタクファンを巻き込めなかった理由の一つには、浜崎あゆみとの熱愛があったのではないかと筆者は考える。長瀬とあゆの熱愛が発覚したのは、2001年のことだ。この年、TOKIOは「メッセージ/ひとりぼっちの歯ブラシ」で、デビューから6年9ヵ月目に初のオリコンチャート1位を獲得した。「ひとりぼっちの〜」は、ドラマ『ムコ殿』の中で長瀬智也が演じた“桜庭裕一郎”の8枚目のシングルという設定だった。

2人の交際が発覚すると、長瀬は、「浜崎あゆみさんとはいいお付き合いをさせていただいています」とジャニーズとしては異例のコメントを発表。グループの顔である彼が、若干22歳にして交際をオープンにできたのは、その前年に木村拓哉が出来ちゃった結婚を発表した影響もあったのかもしれない。

その後もお揃いのタトゥーを彫った画像が流出したり、ハワイでいちゃつく姿をフライデーされたり、あゆを空港まで迎えに行ったり、あまりにオープンな行動に、熱心な長瀬ファンはショックを受けていた。また、デビュー曲の歌詞ではないが、当時の彼らは「君が恋をするなら相手は僕しかいない」という夢を見させてなんぼのアイドル。

ドラマで長瀬のファンになっても、「私たちが支える!」「この人たちにてっぺんを取らせたい!」という気持ちを刺激しない限り、「ファンクラブに入って、CDを買って、彼らにお金を落とす」という行為までには至らないものだ。

それに、まだこの頃のTOKIOは、音楽性だけで魅了するには拙いものがあったとも思うし、実際、CMやバラエティで十分に“稼げた”TOKIOで音楽活動に積極的だったのは、長瀬とリーダーの城島茂だけだったという話も聞く。

ただ、2014年に日本武道館で開催されたTOKIOの20周年ライヴは、「宙船」や「花唄」「ANBICIOUS JAPAN!」「LOVE YOU ONLY」といったヒット曲以上に、長瀬自身が作詞作曲のみならず編曲まで手掛けた「リリック」や「LOVE, HOLIDAY.」などの新しいシングル曲が光っていた。20周年を迎えTOKIOは、アイドルグループではなく多くのヒット曲を持つバンドとして、唯一無二の存在であったことは間違いない。

「成功」も「安定」も望まない長瀬智也の未来とは

残った3人が、株式会社TOKIOを設立し、自分たちで仕事を取ってくるというジャニーズ内での新しい道を模索することにしたのは、これから山口達也を復帰させるための布石だという報道もあった。あくまで憶測の域を出ていないが、「TOKIOのベースは山口達也しかいない」と言い放った長瀬が、何年後かに山口とともに株式会社TOKIOに合流するようなことがあれば、それはそれで従来のアイドルの常識を覆すようなドラマチックな展開である。

でも、たとえ未来にそんな展開が待ち受けていなくても、1人のアーティストとして、物づくりにのめり込んできた彼ならどの世界に進んでも成功する……もとい、“成功”なんてものを彼は望んでいないだろうから、どの世界に進んでも、彼はガッハッハーと豪快に笑いながら、日々を過ごすことだろう。

長瀬が、関ジャニ∞に提供した「ドヤ顔人生」という曲の歌詞には、「ギリギリまでなら間違っていい」という歌詞がある。宮藤官九郎が脚本と監督を担当した映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』のインタビューでも「ラクしようとか、安定しようとしたら、面白い表現はできない気がする」と語っている。来年3月、ジャニーズ事務所退所とともに、表舞台からは一旦去るようだが、どこにいても、何をしていても、彼が“鬼カッコいい”存在であることだけは間違いない。

  • 取材・文喜久坂京

    ジャニヲタ歴25年のライター。有名人のインタビュー記事を中心に執筆活動を行う。ジャニーズのライブが好きすぎて、最高で舞台やソロコンなども含め、年150公演に足を運んだことも。

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