『私の家政婦ナギサさん』多部未華子が目指す“新”視聴率の女王 | FRIDAYデジタル

『私の家政婦ナギサさん』多部未華子が目指す“新”視聴率の女王

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全身黒づくめで決めるプライベート姿の多部未華子(‘18年)
全身黒づくめで決めるプライベート姿の多部未華子(‘18年)

コロナ禍で放送が遅くなった春期のドラマ。『SUIT/スーツ』(フジテレビ系)『ハケンの品格』(日本テレビ系)『BG〜身辺警護人〜』(テレビ朝日系)『半沢直樹』(TBS系)といったヒット・ドラマの続編に注目が集まる中、密かに快進撃を続けるドラマがある。

それが初回平均世帯視聴率14.2%をマーク。第2話・第3話・第4話と12%を越える高視聴率をキープしているのが、多部未華子主演のドラマ『私の家政婦ナギサさん』(TBS系)だ。

「このドラマは、製薬会社のMR(医薬情報担当者)としてバリバリ働くキャリアウーマンなのに家事と恋愛が苦手なヒロイン・メイ(多部)が、おじさん家政夫のナギサさん(大森南朋)を雇うところから始まるハートフルコメディ。幼い頃は『お母さんになることが夢』だったメイは、母親の美登里(草刈民代)に『仕事のデキる女性になって』という価値観を押し付けられずっと苦しんできました。その呪いの呪文を解いてくれたのが、家政夫のナギサさんというわけです」(ワイドショー関係者)

このドラマは去年、『凪のお暇』(TBS系)を手掛けた演出陣と、一大ブームを巻き起こした『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)シリーズの脚本家・徳尾浩司がタッグを組んだ意欲作。“毒親”から逃げ出すドラマといえば、昨年夏期に放送された黒木華主演の金曜ドラマ『凪のお暇』をはじめ、昨年冬季の『トクサツガガガ』(NHK)、‘17年『過保護のカホコ』(日本テレビ系)など、近年”母と娘”を描いたドラマはいずれもヒットを記録。目の付け所に狂いはない。

しかし、主人公メイ(多部未華子)、家政婦ナギサさん(大森南朋)というキャスティングについては疑問視する声が、スタートする前からあった。

「主演する多部は、‘11年の『デカワンコ』や‘15年の『どS刑事』(共に日本テレビ系)で、コメディエンヌぶりを発揮。昨年は『これは経費で落ちません!』(NHK)で注目を集めたとはいえ、GP帯のドラマの主役でどれだけ視聴率を獲れるかは、正直なところ未知数でした。ところが放送がスタートすると、そういった不安も吹き飛ばすほどの快進撃。今期ドラマの台風の目になる可能性も充分にあります」(制作会社プロデューサー)

そんな中、主役を演じる多部未華子には、ある覚悟があった。

「多部は小学5年生の時にミュージカル『アニー』を観て、同作への出演を希望して芸能界入り。10代の頃、映画『HINOKIO』『青空のゆくえ』でブルーリボン賞新人賞を受賞するなど、順風満帆の女優人生をスタートさせていました。ところが‘09年、朝ドラ『つばさ』(NHK)でヒロイン役を勝ち取ったものの、当時の朝ドラのワースト視聴率を更新するなど、結果は散々。朝ドラをきっかけに飛躍する女優が多い中、大きな挫折を味わいました」(前出・ワイドショー関係者)

“平成生まれ初の朝ドラヒロイン”と注目を集め、振り切ったコメディエンヌぶりに賞賛の声が寄せられ、エランドール賞新人賞も受賞。その一方、まるで往年の久世光彦を思わせるドタバタ演出ぶりに”朝ドラらしからぬ”と非難が殺到するなど一転、厳しい立場に立たされる。

しかし生来、好奇心旺盛な多部に、”挫折”の二文字は似合わなかった。

視聴率に縛られ、演じる役のキャラクターも似通ってしまうテレビの世界から無限の可能性を求めて、多部は舞台の世界へと足を踏み入れる。

「朝ドラ『つばさ』で挫折を味わった多部は翌年、野田秀樹脚本、松尾スズキ演出の舞台『農業少年』で初舞台を踏み、いきなり読売演劇大賞・杉村春子賞を受賞。その後も宮本亜門、蜷川幸雄、長塚圭史、白井晃など名だたる演出家の舞台に出演しています」(舞台関係者)

そんな中でも‘14年、蜷川演出の舞台『わたしを離さないで』に出演した多部は千秋楽後、天下の蜷川幸雄に「一緒にシェークスピアをやりたい!」と直談判。念願叶って‘16年「尺には尺を」への出演を勝ち取っている。

「さらに20代最後の‘18年を”挑戦の年”と位置付けて、常連でもある大人計画の舞台『ニンゲン御破算』の他に、難解なサルトルの戯曲『出口なし』では大竹しのぶ、段田安則といった名優達との三人芝居にも挑戦。さらにプロードウェイ・ミュージカル『TOP HAT』で初ミュージカルにチャレンジするなど、30代を前に女優として大きく成長しています」(前出・舞台関係者)

仕事を選ぶ時は、「純粋に興味があるかないか。それと直感」「予測不可能なことが起こりそうな感じが楽しい」と話している多部。20代の内に”面白そうなこと””ワクワク”するような楽しさを知ってしまった彼女にとって、もしかしたらGP帯のドラマで主役を張り「視聴率の女王」になることこそ今、一番ワクワク・ドキドキする楽しい事なのかもしれない。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

  • PHOTO西 圭介

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