安田大サーカス団長『半沢』モノマネ&我慢王が業界内で再評価

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結成20周年を迎える安田大サーカス。個別での活動が増えるなか、実直な団長安田(中央)は業界関係者からの熱視線を集めている

ゲスはクロちゃんで凄いのは団長

22日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、オードリー・春日俊彰との壮絶な「我慢頂上決戦」に挑み、見事勝利を収めてネット上の話題を集めた安田大サーカス・団長安田。

さらに団長安田は7年ぶりの続編が放送されているドラマ『半沢直樹』(TBS系)の人気キャラクター・大和田暁(香川照之)のモノマネをSNSやYouTubeで連発し、そのたびにネットニュースに採り上げられるなど、一躍時の人となっている。

近年、安田大サーカスとしてメディア出演は少なく、個人としても団長安田の話題は少なかった一方、クロちゃんのキモキャラが大フィーバー。この日の『水曜日のダウンタウン』でも1つ前のコーナーにクロちゃんが出演するなど、制作サイドは特筆すべきキモキャラを重用しているが、ここに来て「団長が凄すぎる。ぜひ企画を考えてオファーしたい」という声があがっているという。

安田大サーカスは今年で結成20年を迎えるが、団長安田にはどんな期待が寄せられ、どんな未来が予想されているのか。各局のテレビマンたちに聞いた話をもとに探っていきたい。

「やりすぎ」「芸人魂」の賛否両論

団長安田は『水曜日のダウンタウン』で「水中息止め対決」「激熱おでん対決」「ゴムパッチン耐久対決」「足つぼ直立不動対決」などのハードな戦いに挑んだ。なかでも「超熱湯風呂対決」では、肌が紫色に腫れ上がりながら約50℃超の熱湯に3分間耐え抜き、その姿は多くのメディアが衝撃をもって報じた。

近年はコンプライアンスの順守やクレーム予防の観点から、バラエティの罰ゲームですら健康にいい足つぼマッサージや青汁が多用されているだけに、これらの映像は極めて刺激的。実際ネット上には、「やりすぎ」「笑えない」などの批判と、「芸人の凄さを見た」「これぞ芸人魂」などの称賛で二分されていた。

少し前なら制作サイドは批判があると萎縮してしまい撤退するばかりだったが、現在は「これくらいの批判は必要悪」「称賛だけの番組ではつまらない」とみなしはじめているという。40代前半のあるディレクターに話を聞いたところ、「多くのディレクターが『本当はハードな企画をやりたい』と思っている。でもそれを実現させるためには、まずこちらが『大丈夫ですか?』とお伺いを立てなければいけないタレントではなく、団長のような必ずやり切ってくれる人が必要」と言っていた。

また、深夜番組を手がける30代後半のディレクターは、「団長はキツくても必ず笑い、明るい姿を見せているのが凄い。だから痛々しさは他の芸人より少ないし、今回の件でしばらくハードな企画のオファーが増えるだろう」と言っていた。

今春、「純粋なお笑い番組はゴールデンタイムでは成功しない」という業界内の常識を『有吉の壁』(日本テレビ系)が突き破ったため、各局のテレビマンたちは「かつてのような自由度の高いバラエティを再び作れないか」と模索しているという。その中には団長安田がその力を発揮できるハードな企画をベースにした番組もあるはずだ。

「地道な努力家」という業界の評価

もともと団長安田は業界内で「地道な努力家」と見られていた。彼はネタを作るだけでなく、アイドル志望だったクロちゃん、元力士のHIROというド素人にイチからお笑いを教え、徹底的に育成。失敗を繰り返しながらも、猛獣のような2人を操り、ブレイクを果たした。

また、仕事と趣味を兼ねた“自転車芸人”としての露出は多く、さらに「トライアスロンの年代別日本代表になり、世界選手権出場を目指して本気でトレーニングしている」という。実は2015年のトライアスロン大会中に転倒して頭部を強打し、一時意識不明となるなど休養を余儀なくされたつらい過去を持っている。各局のテレビマンたちは団長安田がそんなアクシデントを経ても努力を重ねてきた姿を知っているから、「自転車絡みの仕事なら団長」とみなしてオファーが減ることはない。

『半沢直樹』でも団長安田の努力家ぶりを示すエピソードがある。同作が大ヒットした2013年の最終話放送終了後、団長安田は「大和田の土下座シーンをモノマネしすぎてヒザを痛めてしまった」という。香川照之本人から「バンバンやってください」と公認されたのも、あまりに熱がこもったモノマネだったからであり、努力家の人柄あってのものだろう。このあたりは、業界内で「ウソつきで小ズルイ」と言われがちなクロちゃんとは対照的だ。

大和田のモノマネはずっとやり続けてきた上に、今回の続編ドラマでも日曜夜の放送に合わせてYouTube生配信をしている地道さがいかにも団長安田らしい。さらに、劇中で反響を呼んだ第2話の「お・し・ま・い・DEATH!」をすかさずSNSにアップしたフットワークのよさに、番組関係者が感心しているとも聞いた。

週替わりのホットワードがネタに

伊佐山泰二(市川猿之助)のモノマネをしているレイザーラモンRGとコラボしているだけに、TBSの番組はもちろん他局からのオファーもあるだろう。『半沢直樹』がヒットするほど他局でもパロディなどが放送されるため、少なくとも今年いっぱいは団長安田の姿を何度も見るのではないか。

そもそも大和田は続編ドラマの原作小説『ロスジェネの逆襲』には登場しない。あまりの人気に制作サイドが大和田の登場シーンを作っているのだが、これは団長安田にとってラッキーだった。しかもモノマネを披露するチャンスを得られただけでなく、第1話では「施されたら施し返す。恩返しです」、第2話では「お・し・ま・い・DEATH!」という週替わりのホットワードが発信されている。

団長安田は7年前から得意のモノマネフレーズとして「やれるものならやってみな」を多用してきたが、もしこのまま週替わりのホットワードが続いていくのなら、毎週ネタが増えていくことになる。当然ながらそれらのフレーズは局を問わず、どの番組でも使えるし、ネットでもイベントでもOK。やはり注目されるチャンスは多そうだ。

ハードな企画への出演と大和田のモノマネで、もしかしたら団長安田は子どもを含む幅広い世代の人気者になるかもしれない。少なくとも今年いっぱいはクロちゃんと同等以上にメディアをさわがせてくれそうだ。

  • 木村隆志

    コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。ウェブを中心に月20本強のコラムを提供し、年間約1億PVを記録するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演。取材歴2000人超の著名人専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、地上波全国ネットのドラマは全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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