「ALS患者殺人事件」妻が明かした大久保愉一容疑者の闇
京都での「バイト」の翌週、思い出のホテルで子供から手紙をもらって号泣
「ママの言う事をちゃんと聞くんだよ」
子供たちにそう声をかけた後、大久保愉一(よしかず)容疑者(42)は警察官に連行されていった。妻の三代(みよ)さん(44)が逮捕当日の朝をそう振り返る。大久保容疑者は、一昨年12月にSNS上で出会ったALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の林優里さん(当時51)から安楽死の依頼を受け、昨年11月30日に京都市内の林さん宅で山本直樹容疑者(43)とともに薬物を投与し、殺害した疑いをかけられている。
「夫は何度も健康診断などのアルバイトで遠方に行っていました。警察が来たとき、そこでちょっとした医療ミスをやらかしたのかなくらいにしか思いませんでした。でもその日の夜、報道を見て愕然としました」(三代さん)
元厚生労働省医系技官の大久保容疑者がクリニックを開業したのは’18年。しかし、そこに至るまで順風満帆な人生を送ってきたわけではない。
「虐待されて育った、と夫は出会った当初、私に教えてくれました。父親はギャンブル依存症で育児放棄、母親からは日常的に暴言を浴びせられていたそうです。その経験が彼の人生に暗い影を落としてきたのだと思います」(三代さん)
三代さんによると、大久保容疑者は長年うつ状態にあり、自殺願望を吐露していたという。実際にこの2年で3度の自殺未遂があったと話す。
事件の翌週「感動的」な家族の時間も
そんな大久保容疑者にも家族を大事にする一面はあった。三代さんが話す。
「昨年12月、私たちが結婚式を挙げたホテルに行って家族で食事をしたときのことです。そのホテルのチャペルで子供たちがサプライズの手紙を用意してくれました。『パパ、いつもお仕事がんばってくれてありがとう。ボーイスカウトに連れて行ってくれてありがとう』と読み上げる姿に夫は号泣していました」
その感動的な食事会があったのは、林さんを殺害したとされる日の翌週のことだった。大久保容疑者の涙の裏には一体どんな感情が渦巻いていたのだろうか。
フライデー2020年8月14日号より