打点より重要な得点の話!月間最多タイ記録の柳田悠岐はMVP?

運に左右される「打点」より「得点」が重要視されるワケ!

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7月10日の楽天戦でサヨナラホームランを放ち祝福される柳田悠岐(中央)

ソフトバンクの柳田悠岐が月間32得点のNPBタイ記録を樹立した。「得点=Run」は端的に言えば「ホームベースを踏んだ数」だ。MLBでは重要視される指標だ。

NPBの月間得点5傑

1.広瀬叔功 32得点(南海 1964年5月)
1.村田修一 32得点(巨人 2013年8月)
1.柳田悠岐 32得点(ソフトバンク 2020年7月)
4.王貞治 31得点(巨人 1967年8月)
4.山本浩二 31得点(広島 1978年8月)
4.落合博満 31得点(広島 1984年8月)
4.城島健司 31得点(ダイエー 2004年6月)
4.江藤智 31得点(広島 1994年8月)
4.梶谷隆幸 31得点(DeNA 2013年7月)

そうそうたる顔ぶれが並んでいる。柳田はホークスの先輩、広瀬叔功の記録に並んだわけだ。この記録は、リーグを代表するような強打者が全盛期にマークするものだということがわかる。9例のうち5例が8月。暑い季節は選手にとって過酷なはずだが、強打者が最も調子を上げる季節でもあるのだ。

柳田はこの7月、27試合で90打数39安打7本塁打20打点2盗塁25四球1死球、打率.433、出塁率.556という猛烈な打撃だった。出塁数は実に65。そしてほぼ半分の32回で本塁まで還ってきたのだ。

選手に得点が記録される状況は、大きく分けて3つある。

1.自分がホームランを打ったとき
2.出塁し後続の打者の安打、犠牲フライ、スクイズなどで本塁を踏んだとき。
3.出塁しホームスチールで本塁を踏んだとき。

これからわかるように、得点が多い選手は本塁打が多い選手、そして出塁数が多く、足が速い選手ということになる。

NPBの通算得点10傑( )は通算本塁打。

1.王貞治1967得点(868本塁打)
2.福本豊1656得点(208本塁打)
3.張本勲1523得点(504本塁打)
4.野村克也1509得点(657本塁打)
5.金本知憲1430得点(476本塁打)
6.衣笠祥雄1372得点(504本塁打)
7.山本浩二1365得点(536本塁打)
8.落合博満1335得点(510本塁打)
9.門田博光1319得点(567本塁打)
10.石井琢朗1298得点(102本塁打)

NPBの打撃記録のほとんどの部門で王貞治がトップに立っているが、得点でも2位の福本豊に311得点もの大差をつけて1位に立っている。

以下、福本を挟んで、NPB史上に残るホームランバッターが並んでいる。ホームランは自力で得点を稼ぐ唯一の手段だ。ホームランバッターは得点部門でも有利なのだ。

しかし、通算得点から通算本塁打を引くと、ベスト10の顔ぶれは一変する。

1.福本豊1448(1656得点208本塁打)
2.石井琢朗1196(1298得点102本塁打)
3.王貞治1099(1967得点868本塁打)
4.広瀬叔功1074(1205得点131本塁打)
5.柴田勲1029(1223得点194本塁打)
6.張本勲1019(1523得点504本塁打)
7.立浪和義1004(1175得点171本塁打)
8.大石大二郎968(1116得点148本塁打)
9.金本知憲954(1430得点476本塁打)
10.榎本喜八923(1169得点246本塁打)

NPB記録の1065盗塁の福本豊が1位に躍り出る、2位の石井琢朗も盗塁王4回の俊足。王貞治を挟んで、今度はリードオフマンタイプがずらっと並ぶ

王が3位に踏みとどまっているのは、2786安打に加えて2390もの四球を選んだからだ。このうち427敬遠。これだけ出塁があったから、本塁に還ってくる数も多かったのだ。

6位に張本勲がいる。いわずと知れたNPB記録の通算3085安打を打った安打製造機で504本塁打の強打者だが、同時に319盗塁。盗塁王こそとっていないが、デビューの1959年から1974年まで16年連続で二けた盗塁。塁に出てからも油断のならない選手だったのだ。

また金本知憲も2539安打に加え167盗塁。2000年には30本30本塁打、打率.315でトリプルスリーを記録している。

柳田悠岐も、張本勲や金本知憲などと同様、長打に加えて足もある選手だ。得点を量産する条件がそろっているのだ。

MLBで「得点」を重要視するのは、チームの勝利数とリンクすることが多いからだ。

日本では「打点=RBI」のほうが重視されるが、打点は走者がいるかいないかなど「運」に左右されるケースが多い。それよりも単純に「本塁を踏んだ数」である得点が多い打者の方が貢献度が高いという解釈だ。

過去5年間のリーグ最多得点と、その選手の所属チームの順位。

2015年
セ・山田哲人119得点(ヤ)1位
パ・柳田悠岐110得点(ソ)1位
2016年
セ・山田哲人102得点(ヤ)5位
パ・秋山翔吾98得点(西)4位
2017年
セ・丸佳浩109得点(広)1位
パ・秋山翔吾106得点(西)2位
2018年
セ・山田哲人130得点(ヤ)2位
パ・山川穂高115得点(西)1位
2019年
セ・鈴木誠也112得点(広)4位
パ・秋山翔吾112得点(西)1位

過去5年10人の最多得点のうち5人が優勝チーム、2人が2位チームから出ている。たくさんホームベースを踏む選手がいるチームは強いのだ。

なお、この顔ぶれのうち、2015年の山田哲人(ヤ)、柳田悠岐(ソ)、2017年の丸佳浩(広)、2018年の山川穂高(西)はMVPに輝いている。

7月のパの月間MVPは、柳田悠岐で決まりだろう。通算得点でも37試合で38得点とダントツだ。少し気が早いが、この調子で活躍すれば、2020年のMVPも視野に入ってくるだろう。

NPBでも「得点」の価値を見直すべきではないかと思う。

  • 広尾 晃(ひろおこう)

    1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイーストプレス)、『球数制限 野球の未来が危ない!』(ビジネス社)など。Number Webでコラム「酒の肴に野球の記録」を執筆、東洋経済オンライン等で執筆活動を展開している。

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