プロ野球 選手を泣かせる「クセがスゴい」スタジアムのヒミツ

凡ミス、珍プレーの裏にある、球場の落とし穴

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エラーの裏にあるものとは? 写真・アフロ

「なんであんなミスをするの? プロなのに! 高い給料もらっているのに!」

なんでもないゴロやフライをエラーする選手たちを見て、ファンは怒る。恥ずかしいミスの模様はテレビ中継やスポーツニュースやSNSで全国に拡散されていくーー。

これらのプレー、じつは球場の特徴に原因があることも多いという。

プレーヤーでないとわからない「選手泣かせの球場」を野球解説者・笘篠賢治氏に聞いてみた。

甲子園名物「スネーク打球」に敗れた阪神

まずは野球の聖地・甲子園球場から。外野に敷かれた美しい芝生は最高品質を誇るというのだが……。

「バミューダ芝という1年中緑色の天然芝なんですが、なんだか“ねっとり”しているんです。ボールが絡みつくというか、ボールが芝の抵抗を受けやすい。特に雨が降った後は余計ねっとりします。

そんな状態の芝にボールが入ると右、左、右とウネウネ動くんですよ。僕らはこれを『スネーク打球』って呼んでいます」(笘篠氏・以下同)

今年スネーク打球が見られたのは、7月11日の阪神―DeNA戦。阪神のセンター植田海が平凡なセンター前のゴロを捕りそこねた。この打球、VTRでよくみると、見事に「スネーク」しているではないか。

このエラーをきっかけに阪神は逆転負け。阪神はスネーク打球に負けたのだった。

今季のプロ野球はコロナ禍で開幕が遅れたため過密日程。今までなら雨天中止にしていた試合でも強行開催することもあると予想される。

スネーク被害は今後も阪神を襲うだろう。

甲子園にはスネークが潜んでいる! 写真・アフロ

楽天本拠地 美観が生むイレギュラー

ちなみに広島の本拠地「マツダzoom-zoomスタジアム広島」(天然芝)でも、7月15日、「スネーク」が発生。外野手・西川龍馬は腰を落として慎重にゴロを捕ろうとしたが、ボールが急激にうねってトンネル。この日も雨が落ちる時間があった。

美しい天然芝といえば楽天の本拠地「楽天生命パーク宮城」も思い浮かぶ。濃い緑、薄い緑が縞模様に描かれる外野は印象的だが……。

「あの縞模様は、芝の刈る方向を変えることで、できています。外野方向から内野に向かった刈った部分は甲子園ほどではないけど変化しやすいので要注意。内野方向から外野に刈った部分はあまり変化しません」

美観が生むイレギュラーもあるのだ。

広島の土は硬い

次は「土」。土が影響を与えている球場の代表が、広島の本拠地・マツダスタジアムだ。「守るのが難しい」と選手の間でも有名な球場である。その難しさは土の硬さが原因。土が硬いと打球が速くなり、イレギュラーも増えるのだ。

なぜ広島は土を硬くしているのか。

「広島といえば、昔から足の速い選手が多いチーム。土が硬いほうが走りやすくて走力を生かせるんです。走力のあるチームは、走路(選手が走る機会が多い場所)を中心に土を硬くします。逆に足に自信のないチームは、走られたくないので、本拠地を柔らかいグランドにします」

機動力を生かすために、守備のリスクをとった広島。だが、広島のセカンドには菊池涼介という球界屈指の名手がいるではないか。

「球場の特徴がすべて頭に入っているのでしょうが、マツダであれだけのプレーができる菊池は本当にすごいですよ。

マツダにはほかにもマウンドとセカンドの間にスプリンクラーがあって、イレギュラーなどがしやすい『危険スポット』なんですが、まったく気にするそぶりもなく、ファインプレーを連発しています」

西武ドームの“消える魔球”

ドーム球場ならではの特徴も多い。

まずは西武の本拠地・メットライフドーム。天井を覆う白い幕の下に、金属の支柱が格子状に張り巡らされている。この柱がクセものなのだ。

「昨年、センターの秋山(翔吾・2020年メジャーに移籍)がときどきフライを見失うシーンがありました。天井が白いから見えにくいんだとばかり思っていたら、違いました。

天井の金属の柱の一本が、ちょうどバッターボックスからセンターのポジションに向かって伸びていて、打球が柱に沿って飛んでくることがたまにあるそうなんです。そうなるとボールがまったく見えなってしまいます」

選手だけが体験する“消える魔球”が、メットライフにはある。

西武の本拠地・メットライフドーム。天井の格子とボールの軌道が重なったとき、ボールは消える(写真は野球以外のイベント時のもの)写真:Natsuki Sakai/アフロ

傾いている? 神宮球場

また、照明もボールを消すことがある。有名なのは横浜スタジアム。

「私も現役時代に苦労しました。ハマスタには2ヵ所、照明とボールが重なりやすい場所があるんですよ。レフトよりちょっと左中間寄りの地点と、ライトよりちょっと右中間寄りの地点。今でもその地点にボールが飛ぶと、選手がオロオロしてますね。今はLED照明でよりまぶしくなったのでもっと大変になったはずです」

ドームの特徴といえば、東京ドームで飛び出すホームラン、通称「ドームラン」が有名だ。

「東京ドームは空気の圧力で屋根を膨らませています。ですので、ボールは上昇気流に乗ってフワフワ~と飛んでいき、なかなか落ちてこないんです。ピッチャー泣かせのホームランの出やすい球場なのは確かです。

巨人の坂本勇人なんかは完全にドームランの打ち方をマスターした選手ですね。下からすくい上げて打球が放物線を描くように打つといいみたいです。

また、日本ハムが東京ドームで強い。しかもホームランをガンガン打っている印象があります。日本ハムもドームランをしっかり研究している可能性があります」

またグラウンドが平らではない球場もある。ヤクルトの本拠地・神宮球場だ。

神宮はセカンドベースの後ろあたりの標高が最も高く、ファウルゾーンやブルペンの方向に向かって下がっているという。

「守備は大変です。セカンドが一塁側、ショート三塁側にフライを捕りに行くときなどは、下っているから感覚がずれてしまう。スピードが出すぎたり遠近感が狂ったりして、捕球ミスをしてしまうんです。」

地の利を生かして2020年のペナントレースを制するのはどのチームだろうか。

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