「中国に媚びすぎ」と米国に名指しされた二階幹事長の焦りと本心

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名指しの理由

「安倍総理が首相官邸の執務室で7月6日、吐血した」という衝撃的な記事が、8月4日発売の写真週刊誌『FLASH』に掲載された。菅義偉官房長官は同日の記者会見で、「全く問題ないと思っている」と直ちにこれを否定したが、波紋が広がっている。

同誌によれば、7月6日午前10時59分から11時14分まで、小池百合子東京都知事と面談した後に、次の面会まで5時間強「空白の時間」があったとのことだ。

小池知事と会ってよほどストレスが溜まったのだろうか、総理はこの時間帯に体調を崩して応急措置を受けたのではないかという観測もある。

永田町事情に精通する政界関係者はこう言う。

「たしかに健康不安説は7月後半より囁かれてきました。しかし、総理は実際には吐血ではなく、嘔吐しただけだという話も複数の筋から流れてきています。

総理の持病である潰瘍性大腸炎は完治している訳ではなく、特効薬アサコールとステロイドを併用して体調を整えている状態。長引く新型コロナ対策や7月4日夜の熊本県を中心とする集中豪雨の対策で、疲労が溜まってしまったのではないでしょうか」

総理の健康不安説を一蹴した菅義偉官房長官だが、Go To トラベルから東京都を除外する荒業を繰り出すなど、最近になって、菅氏にかつての権勢が復活してきている。

7月末の霞が関人事異動では、森友加計学園問題で総理を一貫して支えた財務省の太田充主計局長が事務次官に昇格、今井尚哉総理補佐官ら安倍総理に忠誠を誓う「官邸系官僚」の「我が世の春」が継続するかにも見えた。

しかし、今回の人事では、官邸系官僚とは距離を置く、非主流派の官僚も出世を遂げている。そうした非主流派の中には、権勢を振るう官邸系官僚に嫌気がさして、次世代の「キングメーカー」として菅官房長官に改めて期待する声が高まっているのも実情だ。今回の「吐血」情報が、そうした人脈から吹聴されているという情報すらある。魑魅魍魎の世界という他ない。

さて、今井補佐官と言えば、7月23日に米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)が報告書「日本における中国の影響力」の中で、二階俊博幹事長と今井氏のふたりを「媚中派」(またの名前を「二階・今井派」)と名指しで指摘したばかりだ。

二階俊博幹事長は、志帥会という派閥を率いるドン。ポスト安倍をニラんで、菅官房長官だけでなく、小池知事から石破茂氏まで幅広い「選択肢」を手元に置く姿勢を隠そうともせず、政界を翻弄する天才的な寝業師である。その二階幹事長と並んで、経産省出身の官僚である今井補佐官が「媚中派の代表格」ならぬ、「派閥の長」になっていた…とは初耳だ。

CSIS報告書については、「日本の政界構造をまったく理解していない」と揶揄する向きもあるが、「知っていて、あえて『二階・今井』と実力者たちを名指しすることで米国が警告を発した」と理解する向きもある。その真意は不明だが、米国側から派閥の長に擬せられた官僚はおそらく初めてであろう。

その今井補佐官らが、麻生太郎副総理と歩調を合わせて推し進めようとした「9月下旬解散、10月25日総選挙」の線は現在、長引くコロナ禍の影響でほぼ消えたと言える。では、解散はいつあるのか。

「トランプ大統領の再選可能性や、EU離脱を受けた英国との二国間通商協定交渉の進捗次第ですが、10月下旬に招集する予定の臨時国会中に突如、解散に踏み切り、年内の総選挙に突入する可能性も十分にあります」(先の政界関係者)

その前に予定されている内閣改造・党役員人事では、コロナ禍で指導力不足が露呈し、総理や麻生副総理を失望させた岸田文雄政調会長の処遇がどうなるか、また、経済安全保障の観点からTikTok規制等の旗を振る甘利明氏が復権するかといった点が焦点となろう。

しかし、最も難しいのは、幹事長人事だ。二階氏は9月8日、田中角栄元首相が持つ自民党幹事長としての通算在任記録(1497日)を抜く。しかし、だからといって強大な権限を持つ幹事長職を卒業するということにはならないだろう。

二階幹事長が初当選したのは1983年の総選挙。他ならぬ師匠・田中角栄元首相のロッキード事件一審有罪判決を受けた解散・総選挙が、二階幹事長の国政デビューなのだ。

田中派の一年生議員として、米国に「刺される」ことの恐ろしさを痛感していたのだとしたら、今回のCSIS報告書を契機に、親中路線の軌道修正が図られるとともに、自身の地位保全が最優先事項になるかもしれない。あるいは「中国に媚びすぎるとは、何事か。こんな報告書は笑止千万だ」として相手にせず、動じない様を見せつけるかもしれないが、その場合でも、内心は複雑な心境かもしれない。

他方で、安倍総理も8月24日、大叔父である佐藤栄作首相の連続在任記録(2798日)を超える。空前絶後の最長政権となった安倍政権だが、レイムダック化が進む中で、権勢争いが激しさを増している。今回の「吐血情報」もその一つだろう。改造人事・党役員人事で判断を誤れば、一寸先は闇だ。

いよいよ、政治の世界でも、コロナ時代の「大乱世」が始まろうとしている。

  • 取材・文レイモンド・ベーダー

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